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十空間目
6 R-15
しおりを挟む成人男性の平均体重を簡単に超えているはずの俺の身体を軽々と持ち上げる神田さんの逞しさの秘訣はなんなんだろう。そんな男らしい姿にさえもキュンキュンしてしまう今の俺は完全に乙女化してしまっている。これが惚れた弱みなのだろうか。今は神田さんの全てが格好良く見えて仕方がない。
まるで高級ホテルのような風呂場に連れて行かれ、俺はそのままゆっくりと床に下ろされた。そして着ている服を全て神田さんの手によって脱がされると、今度は神田さんも自分の着ていた服を全て脱いだ。
「……も、もしかして一緒に入るんですか?」
「ああ、当たり前だろ」
……当たり前なのか?よく分からないけれど、それが当然だというように言われてしまうとそれ以上は何も言えなくなってしまう。せめてもの抵抗として、俺は照明の光から自分の醜い身体を隠すように腕で覆うのだが、そんな些細な抵抗など無意味だったようで、神田さんによって外されてしまった。
「……で、電気消してくれませんか?」
「なんでだよ?」
「だ、だって、恥ずかしいじゃないですか」
「今更恥ずかしがる仲でもねえだろ。それに、俺は有希の全てが見たい」
「……あ、っぅ」
俺と神田さんが初めて交尾をしたのも風呂場だった。あの時とは違って今は勿論合意の上での行為だけれども、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。動く脂肪の塊のような俺なんかが、筋骨隆々の神田さんと一緒の空間で向き合うだけでもかなりの抵抗があるのに、今から彼と“そういう行為”をするのだと思うととんでもなく恥ずかしいのだ。
「この顔も、」
「ん、んっ、ぁ」
「この胸も、」
「……ん、んっ」
「この腹も、」
「あっ、ふぅ」
「この尻も、」
「か、神田さ……っ」
「全部俺に見せろ」
神田さんは部位の名前を言いながら、愛でるようにその場所に優しく触れてくれた。こんなデブで不細工な俺なんかを好きだなんて、神田さんはとことんまで物好きだと思う。そんなことを思いながらも、愛されていることが嬉しくて、俺は自分からも神田さんに抱き着いた。
「有希?」
「……久しぶりだから、俺すっごくドキドキしているんです。だから、優しくしてくださいね?」
「っ、馬鹿か。そんなこと言われると余計に手加減できなくなるだろうが」
「あっ!?ひぁ、あっ、ん」
そして神田さんは緩く出したシャワーのお湯を俺の身体に掛けながら、痛いほど勃起していた俺のペニスを触ってきた。神田さんの吐息も手の平もお湯も全て熱くて心地良くて気持ちが良くて堪らない。
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