蜜空間

ぬるあまい

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七空間目

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「あぁっ、ん、んぐ、ふぅっ」

今まで通りに性欲を溜め込んでは寝て忘れる方法もあった。トイレに駆け込んでバレないように処理をする方法もあった。

……だけど俺はそうしなかった。


「あ、ぅ……、神田、さん……っ」

………つまり。

「触って、ッ…ん、っ……俺に、触って、くださぃ」

俺は最初から彼を誘っていたのかもしれない。

縋るように神田さんの服をギュッと掴む。
そうすれば、珍しくも彼の身体は大袈裟なほどに跳ねた。

「……ひっく、っぅ…神田さん、」
「っ、」
「足りないよぉ……っ、触って、俺をあなたでいっぱいにしてくださいっ」
「……、お前なぁ…っ」

服を握っていた手を強く掴み返される。暗闇で神田さんの顔は見えないが、今彼がどんな表情をしているかは何となくだが予想ができる。
どうやらこの様子だと、俺の自慰に気付いて途中で起きていたのだろう。

「こっちは必死に抑えてたというのに、そんな方法で誘いやがって」
「神田さん、っ」
「……きっちり責任を取りやがれ」
「あ、ッん!」

ボフッと布団に押し倒される。
……暗闇の中の俺たちを映すように監視カメラが光ったように見えた。

「か、んださん……っ」

上に覆い被る神田さんの太い首に腕を回して抱き着こうとした。

「ッ、…だ、ダメ!駄目ですっ!」

だけど、やはりキラリと光る監視カメラが気になってしまい、俺は寸前のところでそれを止めた。

「……あ、ゃ……ぁっ!」
「っ、今更そんな言葉が通用するわけねえだろうが」
「ん、っ」

肌蹴た胸元に痕を付けるように神田さんは、チュッ、チュッと音を立てて吸い付いてくる。神田さんの首に回さなかった手で抵抗を試みたものの、手首を痛いほどに強く掴まれ、そのまま敷き布団に縫い付けるように押さえ込まれてしまった。

「ぁ、んっ」
「お前だって俺が欲しかったんだろ?」
「…そ、れは……」
「俺は、お前に触れたくて仕方がない」
「……っ、」

僅かな明かりで見える、神田さんの表情。
俺を見下ろすその目は、熱が籠っているのが分かった。

「ぁ、ぅ」

神田さんが俺を求めてくれているのが分かる。それを理解すると同時に、自分から誘ったくせに、すごく恥かしい気持ちになってしまう。

「か、神田さん」

神田さんの全てを与えて欲しいと望んでいる気持ちに嘘偽りは一切ない。
しかし、監視カメラで見られている上、録画されている状況の中、行為に没頭ができそうにないのもまた本音だ。

「だって見られちゃうから…っ」

だから俺は、彼の肩に顔を埋めて自分の姿を隠す。
そうすれば神田さんは、俺の拘束の手を緩めると、近くにあった目覚まし時計を、おもいきり監視カメラに投げつけた。

「……な、っ!?」

ガッシャーン、と音を立ててガラスが割れる音が聞こえてきた。床にはガラスの破片が、パラパラと落ちている。

「な、なにを?」
「確かに、他の奴に見せる気はねえな」
「神田、さん」
「だけど、これ以上お預けを食らう気もねえよ」
「……ひぁ…っ、」

白濁液で濡れそぼった自身の先端の窪みに、軽く爪を立てられる。
痛いはずの刺激。それなのにその刺激を与えてくれているのが、神田さんだと分かると、不思議と快楽しか感じない。

「ぁっ、んぁ…あ、ッん」
「今まで触れられなかった分、……好きなだけ、可愛がらせろ」
「……ん…っ」

神田さんはそう言うと、俺の肉が付いた頬に齧り付いてきた。

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