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第17章 結婚しながら生きていこう
314.事なかれ主義者はサウナを作る
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ボウリングをずっとやっていたおかげで今日も良い感じにお腹が空き、夕食を食べ切る事はできた。
夕食後の食休みをしていると、同じく食堂でのんびりと過ごしていたレヴィさんが今日の出来事を話してくれた。
レヴィさんはドレスはまだ着ていて、お姫様のように見える。いや、お姫様なんだけど、いつもの格好で作業をしている所を見ているとお姫様って印象が薄れていく。
「お父様たちにシズトと正式に結婚する事を事前に伝えてきたのですわ。とても喜んでくれて良かったのですわー。近いうちにまた会いたいって言ってたのですわ」
「早い内にあった方が良いよね。まあ、明後日以降で向こうの都合がいい日にしてもらおうか」
「分かったのですわ。明日にでも伝えておくのですわー。後、お父様たちとたまたま一緒にいたランチェッタ様からお祝いの言葉を貰ったのですわ」
ああ、まだランチェッタ様帰ってなかったんだ。
リヴァイさんたちがファマリアに残っている事からもしかしたら、と思っていたけど。
「何かお返しした方が良いかな」
「特に必要ないのですわ。お礼は私がしておいたのですわ」
そっか、それならいいか。
魔力マシマシ飴を久しぶりに舐め、のんびりしながらリヴァイさんたちの事を考えていたが、ふとある事を思い出してレヴィさんを見る。彼女は青い瞳で僕をジッと見ていたようだ。
「どうしたのですわ?」
「いや……式ってあげた方が良いよね? レヴィさんお姫様だし」
「そうですわね……あった方が良いかもしれないですけれど、まあ、最悪なくても問題ないのですわ」
いや、流石に王女様の結婚式がなかったら色々問題あるでしょ。
あんまり人前に立つのは慣れてないし遠慮したいけど、王様の娘である彼女の結婚式をしなかったら変な印象を貴族たちに与えかねない。
「式を挙げるとしたらどんな感じでやるのが一般的なの?」
「そうですわね……。貴族の場合、最低限身内だけで行う事があるのですわ。場所は新郎側の信仰している神様の教会である事が多いのですわ。ただ、資金繰りが苦しい家の者たちがそうするだけで、普通はお披露目のパーティーを開くのですわ。もちろん、パーティーの前には教会で神様に結婚する事を報告する儀式があるのですわ」
勇者が手を加えているのかもしれないけど、結婚式と披露宴があるようだ。
んー……そのくらいならまあ、やってもいいかも。身内だけで粛々とできればいいんだけど、そうもいかないよなぁ。
実際結婚式を挙げるとしたら、レヴィさんとジューンさんはした方が良いだろう。いや、ジューンさんに限らず、身分問わず式を挙げた方が不公平感はない……か? ああ、でもそうなると平民や元奴隷と姫様を同列に扱った、とか何とか言われるかもしれないのかな。
うーん、分からん。
分からんけど、それを考える前に聞く事があった。
「平民は土地を統治している人に報告して承認を貰う必要があるってラオさんたちが言ってたけど、ここの統治って誰がしてるの? 土地をくれたリヴァイさん?」
「違うのですわ。シズトが貰った土地だから、治めているのはシズトなのですわ」
「……まあ、そうなるよね」
「ただ、統治は代理として私がやっているのですわ。だから私が了承すれば問題なく神前式を行う事はできるのですわ」
「そっか。……式をどうするか、ちょっと考えるね」
「分かったのですわ。私としては式を挙げても挙げなくてもいいから、シズトの好きなようにするといいのですわー。セシリアもそうですわ?」
「ええ、シズト様の御心のままに」
レヴィさんの後ろに姿勢よく待機していたメイド服を着た女性セシリアさんが淡々と答えてぺこりと頭を下げてきた。
御心のままに……と言われてもなぁ。頭の中がぐっちゃぐちゃだから、とりあえずお風呂入りながら考えるか。
そう思い、僕は食堂を後にした。
今日のお世話係であるルウさんとお風呂に入るが、彼女は特に何かしてくる事はなかった。
僕が考え事をしているのを察して、淡々と頭と背中、腕を洗ってくれただけだ。その後は水風呂に入っていた。
……水風呂に入るならやっぱりサウナも欲しいよな。
浴室内にそれっぽいのを作るならやっぱ端っこの方が良いんだろうか。
いや、水風呂に近い方が楽か。
「ちょっとアイテムバッグ取ってくる」
「分かったわ。行ってらっしゃい」
ニコニコしながら僕を見ていたルウさんに見送られ、浴室を出てすぐの所に置いておいたアイテムバッグを持つと、すぐに戻る。
水風呂の近くの空いたスペースに、まずはサウナ用の部屋を作らないといけない。
アイテムバッグから取り出した木材を使ってパパッと四人くらいは入れそうな大きさの小屋を作る。
ラオさんたちも使うかもしれないと思ったので、天井は少し高めにしたけど、浴室の天井はとても高いので問題ない。
蝶番をアダマンタイトで作ってみたけど、ちゃんと開く。
中は石を積む場所をコの字型に囲むように、加工で座る場所を作る。一段あれば十分かな。
明かりがないのでアイテムバッグから魔石を取り出し、試しに【付与】で光魔法のライトをつけてみた。
イメージ通り、照明として良い感じの光になったので、四隅の壁に埋め込む窪みを作り、設置しておく。
石を積むための場所に【付与】をして魔法陣の上の物を温めるようにしておいて、その上に石を積んでいく。
……魔石とかこの小屋とか魔道具化すれば石は不要な気がしたけど、見た目の雰囲気って大事だよね。
「こんなものかな」
「これはなにかしら?」
振り向くと、ルウさんが入り口から中の様子を見ていた。
説明するよりも実際に体感してもらった方が早いかな。
「サウナ……のつもり」
「へぇ、これが前言ってたサウナなのね」
作ろう作ろうと思っていたけど、別に作らなくてもいいかなと思って先延ばしになっていたサウナです。ドワーフたちの国にあったからそれを真似て作りました。
実際に試してみよう、と思ったけれどルウさんに止められた。
「これも魔道具なんでしょ? だったらまずは実験してみないと」
「別に危ない物じゃないよ?」
「シズトくんはそう思って作っても、実際そうじゃないかもしれないからダメなの。すぐにお姉ちゃんが確認するから、良い子にして待ってて?」
ルウさんは頭を軽く撫でると、僕の両脇に手を差し込んでひょいッと持ち上げると、サウナ室の外に出された。
扉を閉められると中の様子が分からんな。ガラス製にした方がよかったかもしれない。
そんな事を考えながらのんびり待っていると、しばらくしてルウさんが出てきた。
めちゃくちゃ汗をかいている。
「水風呂に入るといいよ」
「分かったわ……」
「サウナに入ってもいい?」
「いいわよ。とっても暑いから、気を付けてね?」
分かってますとも。
水風呂に入って気持ちよさそうな声をあげたルウさんを尻目に、僕もサウナに入った。
入ってから気付いたけど、石に掛けるための水がない。
柄杓のような物と桶を【加工】でサッと作り、桶に【付与】をして魔力を込めれば水が溜まるようにした。
最初はちょっとずつ水をかけて楽しんでたけど、調子に乗って掛け過ぎて慌ててサウナから出ると、僕も水風呂に浸かった。
夕食後の食休みをしていると、同じく食堂でのんびりと過ごしていたレヴィさんが今日の出来事を話してくれた。
レヴィさんはドレスはまだ着ていて、お姫様のように見える。いや、お姫様なんだけど、いつもの格好で作業をしている所を見ているとお姫様って印象が薄れていく。
「お父様たちにシズトと正式に結婚する事を事前に伝えてきたのですわ。とても喜んでくれて良かったのですわー。近いうちにまた会いたいって言ってたのですわ」
「早い内にあった方が良いよね。まあ、明後日以降で向こうの都合がいい日にしてもらおうか」
「分かったのですわ。明日にでも伝えておくのですわー。後、お父様たちとたまたま一緒にいたランチェッタ様からお祝いの言葉を貰ったのですわ」
ああ、まだランチェッタ様帰ってなかったんだ。
リヴァイさんたちがファマリアに残っている事からもしかしたら、と思っていたけど。
「何かお返しした方が良いかな」
「特に必要ないのですわ。お礼は私がしておいたのですわ」
そっか、それならいいか。
魔力マシマシ飴を久しぶりに舐め、のんびりしながらリヴァイさんたちの事を考えていたが、ふとある事を思い出してレヴィさんを見る。彼女は青い瞳で僕をジッと見ていたようだ。
「どうしたのですわ?」
「いや……式ってあげた方が良いよね? レヴィさんお姫様だし」
「そうですわね……あった方が良いかもしれないですけれど、まあ、最悪なくても問題ないのですわ」
いや、流石に王女様の結婚式がなかったら色々問題あるでしょ。
あんまり人前に立つのは慣れてないし遠慮したいけど、王様の娘である彼女の結婚式をしなかったら変な印象を貴族たちに与えかねない。
「式を挙げるとしたらどんな感じでやるのが一般的なの?」
「そうですわね……。貴族の場合、最低限身内だけで行う事があるのですわ。場所は新郎側の信仰している神様の教会である事が多いのですわ。ただ、資金繰りが苦しい家の者たちがそうするだけで、普通はお披露目のパーティーを開くのですわ。もちろん、パーティーの前には教会で神様に結婚する事を報告する儀式があるのですわ」
勇者が手を加えているのかもしれないけど、結婚式と披露宴があるようだ。
んー……そのくらいならまあ、やってもいいかも。身内だけで粛々とできればいいんだけど、そうもいかないよなぁ。
実際結婚式を挙げるとしたら、レヴィさんとジューンさんはした方が良いだろう。いや、ジューンさんに限らず、身分問わず式を挙げた方が不公平感はない……か? ああ、でもそうなると平民や元奴隷と姫様を同列に扱った、とか何とか言われるかもしれないのかな。
うーん、分からん。
分からんけど、それを考える前に聞く事があった。
「平民は土地を統治している人に報告して承認を貰う必要があるってラオさんたちが言ってたけど、ここの統治って誰がしてるの? 土地をくれたリヴァイさん?」
「違うのですわ。シズトが貰った土地だから、治めているのはシズトなのですわ」
「……まあ、そうなるよね」
「ただ、統治は代理として私がやっているのですわ。だから私が了承すれば問題なく神前式を行う事はできるのですわ」
「そっか。……式をどうするか、ちょっと考えるね」
「分かったのですわ。私としては式を挙げても挙げなくてもいいから、シズトの好きなようにするといいのですわー。セシリアもそうですわ?」
「ええ、シズト様の御心のままに」
レヴィさんの後ろに姿勢よく待機していたメイド服を着た女性セシリアさんが淡々と答えてぺこりと頭を下げてきた。
御心のままに……と言われてもなぁ。頭の中がぐっちゃぐちゃだから、とりあえずお風呂入りながら考えるか。
そう思い、僕は食堂を後にした。
今日のお世話係であるルウさんとお風呂に入るが、彼女は特に何かしてくる事はなかった。
僕が考え事をしているのを察して、淡々と頭と背中、腕を洗ってくれただけだ。その後は水風呂に入っていた。
……水風呂に入るならやっぱりサウナも欲しいよな。
浴室内にそれっぽいのを作るならやっぱ端っこの方が良いんだろうか。
いや、水風呂に近い方が楽か。
「ちょっとアイテムバッグ取ってくる」
「分かったわ。行ってらっしゃい」
ニコニコしながら僕を見ていたルウさんに見送られ、浴室を出てすぐの所に置いておいたアイテムバッグを持つと、すぐに戻る。
水風呂の近くの空いたスペースに、まずはサウナ用の部屋を作らないといけない。
アイテムバッグから取り出した木材を使ってパパッと四人くらいは入れそうな大きさの小屋を作る。
ラオさんたちも使うかもしれないと思ったので、天井は少し高めにしたけど、浴室の天井はとても高いので問題ない。
蝶番をアダマンタイトで作ってみたけど、ちゃんと開く。
中は石を積む場所をコの字型に囲むように、加工で座る場所を作る。一段あれば十分かな。
明かりがないのでアイテムバッグから魔石を取り出し、試しに【付与】で光魔法のライトをつけてみた。
イメージ通り、照明として良い感じの光になったので、四隅の壁に埋め込む窪みを作り、設置しておく。
石を積むための場所に【付与】をして魔法陣の上の物を温めるようにしておいて、その上に石を積んでいく。
……魔石とかこの小屋とか魔道具化すれば石は不要な気がしたけど、見た目の雰囲気って大事だよね。
「こんなものかな」
「これはなにかしら?」
振り向くと、ルウさんが入り口から中の様子を見ていた。
説明するよりも実際に体感してもらった方が早いかな。
「サウナ……のつもり」
「へぇ、これが前言ってたサウナなのね」
作ろう作ろうと思っていたけど、別に作らなくてもいいかなと思って先延ばしになっていたサウナです。ドワーフたちの国にあったからそれを真似て作りました。
実際に試してみよう、と思ったけれどルウさんに止められた。
「これも魔道具なんでしょ? だったらまずは実験してみないと」
「別に危ない物じゃないよ?」
「シズトくんはそう思って作っても、実際そうじゃないかもしれないからダメなの。すぐにお姉ちゃんが確認するから、良い子にして待ってて?」
ルウさんは頭を軽く撫でると、僕の両脇に手を差し込んでひょいッと持ち上げると、サウナ室の外に出された。
扉を閉められると中の様子が分からんな。ガラス製にした方がよかったかもしれない。
そんな事を考えながらのんびり待っていると、しばらくしてルウさんが出てきた。
めちゃくちゃ汗をかいている。
「水風呂に入るといいよ」
「分かったわ……」
「サウナに入ってもいい?」
「いいわよ。とっても暑いから、気を付けてね?」
分かってますとも。
水風呂に入って気持ちよさそうな声をあげたルウさんを尻目に、僕もサウナに入った。
入ってから気付いたけど、石に掛けるための水がない。
柄杓のような物と桶を【加工】でサッと作り、桶に【付与】をして魔力を込めれば水が溜まるようにした。
最初はちょっとずつ水をかけて楽しんでたけど、調子に乗って掛け過ぎて慌ててサウナから出ると、僕も水風呂に浸かった。
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