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第15章 三本の世界樹を世話しながら生きていこう
276.事なかれ主義者は忘れてた
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都市国家トネリコに停車している転移陣に到着すると、クーがスヤスヤ眠っていた。
普段だったら、僕から連絡が入るとすぐに起きるそうなんだけど今日は起きなかったらしい。だから同性であるジュリエッタさんが馬車の中のベッドを収納して転移陣を起動できるようにしてくれていたようだ。
ただでさえエルフは性別が分かり辛いのに、凛々しい顔つきのジュリエッタさんが武装をしていると男性なのか女性なのか分からなくなる。前世の学校にこんな人がいたら『お姉様』とか『王子様』とか呼ばれそう。
金色の髪は邪魔にならないようにバッサリ切ってしまったらしく、マッシュショートのような髪型になっていた。前髪も短く、キリッとした印象を与える短い眉毛にツリ目がちな緑色の目がはっきり見える。
「ジュリエッタ、ありがと」
「いえ、当然の務めを果たしたまでです」
以前会った時はひょろっとした感じの細さだったけど、鍛錬を欠かさずに行っているみたいで、すらりと伸びた手足がアスリートのように引き締まっているようだった。
ジュリウスもそうだけど、世界樹の番人たちは基本的に細マッチョって感じだ。
彼らが取り締まるのは同じエルフだったり、エルフ以外の賊だったりと様々なため、精霊魔法以外の近接戦でも戦えるように鍛錬しているらしい。
魔法が使えない状態になっても戦えるようにしている、と以前言っていた。
僕も魔道具や加護が使えないような場所で足手まといにならないように、多少は動けるようになりたいと思っている。今度ジュリエッタさんの鍛錬の時間にお邪魔させてもらおうかなぁ。
「クー、全然起きないね」
「昨日、夜分遅くに『散歩してくる』と言ってどこかへ行ってしまいましたので、寝足りないのでしょう」
「散歩?」
「はい。時々馬車から出てきてはそう言い残してその場から消える事があるんです。私たちとしてはできればそういうのは止めて欲しいと再三注意しているのですが……」
「ふーん」
クーも一人ぼっちで暇なのかな。
ただ、夜更かしは良くないからそこは注意して……見た目が幼い女の子だったらから忘れがちだけど魔法生物だからそういうのはないか……?
うーん、分からん。
分からないけど、置いていくと戻ってきた時に駄々を捏ねると思うので、ジュリエッタさんに手伝ってもらってクーをおんぶする。紐で結んでもらって手の自由を確保したらジュリエッタさんの後に続いて外に出た。
ジュリウスとラオさん、ルウさんが僕が出てくるのを待っていた。
レヴィさんとセシリアさん、ドーラさんは既にエルフの案内の元、どこかに行ってしまったようだ。
ラオさんとルウさんはこの場に留まってもらって、変な人が馬車に何かしないか見張っておいてもらって、僕は禁足地の森に足を踏み入れた。
ジュリウスは僕の近くでアイテムバッグを背負ってついて来る。
他の世界樹の番人たちも、一定の距離を保って僕の周囲を守るように移動しているようだ。
鼠一匹入れないほどの警戒網のような気がするけど、普通にその警戒網を潜り抜ける者たちもいる。
「人間さん、こんにちは~」
「こんちはー」
「ちは~~~」
ここの世界樹周辺に住んでいる褐色肌のドライアドたちだ。
彼女たちは『精霊の道』と呼ばれる物を使っていきなり現れるため、警戒網を簡単に潜り抜ける事ができるようだ。
わらわらと小さい褐色肌のドライアドを引き連れた、大きなドライアドがぺこりと頭を下げると、その後ろの小さなドライアドたちもガバッと頭を下げた。頭の上に咲いている色とりどりの花が揺れている。
「嫌な感じがするから早く行こ」
「はやくはやくー」
「いくよ~~~」
「え、ちょっと待って!」
ひょいっと髪の毛を操った彼女たちに持ち上げられて運ばれるけど、ジュリウスは特に何もしない。
彼女たちに害意がないのは分かっているのと、ドライアドと戦闘になると厄介な事になるから手出しをしないらしい。
結構な速度で駆けるドライアドたちのおかげで、世界樹トネリコまですぐについた。
地面に出ているトネリコの根っこの上では、青バラちゃんが待っていた。
「…………ねぇ、ジュリウス」
「なんでしょう?」
「青バラちゃんに転移陣を設置してもらえば早かった気がするんだけど……」
「他国へのパフォーマンスを目的として、そうされなかったのかと愚考しましたが……違いましたか?」
「そ、そうだね! パフォーマンスって大事だよね!」
なんかバタバタしてて青バラちゃんが精霊の道を繋げてる可能性を忘れていたとかじゃないから!
なんて、言い訳をする相手も言わないので、心の中に留めておく。
ドライアドたちは僕を下ろすと、青バラちゃんのように木の根っこの上や、世界樹の幹を登って行った。まだ『嫌な感じ』が残っているようで、あんまり地面に触れていたくないようだ。
それなのに迎えに来てくれた彼女たちにお礼を言ってから、まずは転移陣を設置するためのウッドデッキを作る。
別になくてもいいんだけど、地面の上にそのまま直置きはユグドラシルでもファマリーでもしていないからそれに合わせた。
その後、トネリコへ向けて加護を使ったけど、今日もほとんどの魔力を持っていかれた。
ただ、そのかいもあって葉っぱが芽吹き始めたようだ。
もうしばらく通う事になりそうだけど、今度からは転移陣を使って直接来よう。
そんな事を思いながら、疲れて歩きたくなくなったのでクーと一緒に浮遊台車に乗せられて森の外まで連れて行ってもらった。
普段だったら、僕から連絡が入るとすぐに起きるそうなんだけど今日は起きなかったらしい。だから同性であるジュリエッタさんが馬車の中のベッドを収納して転移陣を起動できるようにしてくれていたようだ。
ただでさえエルフは性別が分かり辛いのに、凛々しい顔つきのジュリエッタさんが武装をしていると男性なのか女性なのか分からなくなる。前世の学校にこんな人がいたら『お姉様』とか『王子様』とか呼ばれそう。
金色の髪は邪魔にならないようにバッサリ切ってしまったらしく、マッシュショートのような髪型になっていた。前髪も短く、キリッとした印象を与える短い眉毛にツリ目がちな緑色の目がはっきり見える。
「ジュリエッタ、ありがと」
「いえ、当然の務めを果たしたまでです」
以前会った時はひょろっとした感じの細さだったけど、鍛錬を欠かさずに行っているみたいで、すらりと伸びた手足がアスリートのように引き締まっているようだった。
ジュリウスもそうだけど、世界樹の番人たちは基本的に細マッチョって感じだ。
彼らが取り締まるのは同じエルフだったり、エルフ以外の賊だったりと様々なため、精霊魔法以外の近接戦でも戦えるように鍛錬しているらしい。
魔法が使えない状態になっても戦えるようにしている、と以前言っていた。
僕も魔道具や加護が使えないような場所で足手まといにならないように、多少は動けるようになりたいと思っている。今度ジュリエッタさんの鍛錬の時間にお邪魔させてもらおうかなぁ。
「クー、全然起きないね」
「昨日、夜分遅くに『散歩してくる』と言ってどこかへ行ってしまいましたので、寝足りないのでしょう」
「散歩?」
「はい。時々馬車から出てきてはそう言い残してその場から消える事があるんです。私たちとしてはできればそういうのは止めて欲しいと再三注意しているのですが……」
「ふーん」
クーも一人ぼっちで暇なのかな。
ただ、夜更かしは良くないからそこは注意して……見た目が幼い女の子だったらから忘れがちだけど魔法生物だからそういうのはないか……?
うーん、分からん。
分からないけど、置いていくと戻ってきた時に駄々を捏ねると思うので、ジュリエッタさんに手伝ってもらってクーをおんぶする。紐で結んでもらって手の自由を確保したらジュリエッタさんの後に続いて外に出た。
ジュリウスとラオさん、ルウさんが僕が出てくるのを待っていた。
レヴィさんとセシリアさん、ドーラさんは既にエルフの案内の元、どこかに行ってしまったようだ。
ラオさんとルウさんはこの場に留まってもらって、変な人が馬車に何かしないか見張っておいてもらって、僕は禁足地の森に足を踏み入れた。
ジュリウスは僕の近くでアイテムバッグを背負ってついて来る。
他の世界樹の番人たちも、一定の距離を保って僕の周囲を守るように移動しているようだ。
鼠一匹入れないほどの警戒網のような気がするけど、普通にその警戒網を潜り抜ける者たちもいる。
「人間さん、こんにちは~」
「こんちはー」
「ちは~~~」
ここの世界樹周辺に住んでいる褐色肌のドライアドたちだ。
彼女たちは『精霊の道』と呼ばれる物を使っていきなり現れるため、警戒網を簡単に潜り抜ける事ができるようだ。
わらわらと小さい褐色肌のドライアドを引き連れた、大きなドライアドがぺこりと頭を下げると、その後ろの小さなドライアドたちもガバッと頭を下げた。頭の上に咲いている色とりどりの花が揺れている。
「嫌な感じがするから早く行こ」
「はやくはやくー」
「いくよ~~~」
「え、ちょっと待って!」
ひょいっと髪の毛を操った彼女たちに持ち上げられて運ばれるけど、ジュリウスは特に何もしない。
彼女たちに害意がないのは分かっているのと、ドライアドと戦闘になると厄介な事になるから手出しをしないらしい。
結構な速度で駆けるドライアドたちのおかげで、世界樹トネリコまですぐについた。
地面に出ているトネリコの根っこの上では、青バラちゃんが待っていた。
「…………ねぇ、ジュリウス」
「なんでしょう?」
「青バラちゃんに転移陣を設置してもらえば早かった気がするんだけど……」
「他国へのパフォーマンスを目的として、そうされなかったのかと愚考しましたが……違いましたか?」
「そ、そうだね! パフォーマンスって大事だよね!」
なんかバタバタしてて青バラちゃんが精霊の道を繋げてる可能性を忘れていたとかじゃないから!
なんて、言い訳をする相手も言わないので、心の中に留めておく。
ドライアドたちは僕を下ろすと、青バラちゃんのように木の根っこの上や、世界樹の幹を登って行った。まだ『嫌な感じ』が残っているようで、あんまり地面に触れていたくないようだ。
それなのに迎えに来てくれた彼女たちにお礼を言ってから、まずは転移陣を設置するためのウッドデッキを作る。
別になくてもいいんだけど、地面の上にそのまま直置きはユグドラシルでもファマリーでもしていないからそれに合わせた。
その後、トネリコへ向けて加護を使ったけど、今日もほとんどの魔力を持っていかれた。
ただ、そのかいもあって葉っぱが芽吹き始めたようだ。
もうしばらく通う事になりそうだけど、今度からは転移陣を使って直接来よう。
そんな事を思いながら、疲れて歩きたくなくなったのでクーと一緒に浮遊台車に乗せられて森の外まで連れて行ってもらった。
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