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第10章 婚約(仮)をして生きていこう
178.事なかれ主義者は面倒くさい
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パメラの相手をしていると、気づいたら夕方だった。
いつの間にか帰ってきていたルウさんに捕まり、ジューンさんはレヴィさんにどこかへ連れられて行った。
夕食の準備はまだという事だったので、ルウさんに連れられてお風呂場に向かう。今日の当番はルウさんだ。気を張っておかないと……。
「さ、シズトくん。お姉ちゃんとお風呂に入りましょうねー」
「分かったから下ろしてもらえませんか……」
はい、お姫様抱っこをされながら移動中です。
ルウさんは冒険者関係の仕事をしていたらしく、防具を着ているので黒くて固い胸当てが当たるので恥ずかしさは半減だけど、それでもやっぱりこれはちょっと……。
でも知ってるんだ。暴れたらぎゅってされるって。柔らかい時は良いけど今は絶対痛いって。大人しく時が過ぎ去るのを待つのが良いって学んだのです。
脱衣所の前に着くと、ルウさんには先に行ってもらってチューブトップブラとショートパンツといういつもの姿に着替えをしてもらい、浴室に入っておいてもらう。
「やっぱり僕も湯浴み着着た方が良いかなぁ。いや、でも結局体を洗うためにもう一度お風呂に入る事になるし、そうなるとついて来るから意味ないか」
「シズトくーん、まだかしら~? お姉ちゃんがお手伝いしてあげた方が良いかしら?」
やば、マジで来るから早く着替えてタオル巻こう。
慌てて服を脱いで腰にタオルを巻き、浴室に向かうとルウさんがすでに準備を整えて待っていた。
「さ、こっちに座ってー。ラオちゃんほど上手じゃないけど、頑張って洗うわ!」
「ほどほどでいいです」
ほっとくとずっとごしごし洗われるからね。釘刺しとこ。
ドーラさんほど長い時間ではないが、時間をかけて頭を洗われて背中も擦られた。
後は自分でやるから、とルウさんには浴槽に入っていてもらう。
「は~~~、やっぱり水風呂は良いわねー」
「普通はサウナとか熱いお風呂とかと交互に入ってするものなんだけどね」
「サウナって何かしら?」
「サウナはサウナだよ。勇者様がそういうの伝えてないの?」
「どうかしら? ニホンに行けばあるかもしれないわね」
「日本??」
何でそこでその名前出てくるの? っていうか、行けるの? 世界違うけど?
「勇者様たちが作った国よー。正式名称はニホン連合国だったかしら。それぞれの地区を選ばれた人が代わりばんこで治めてるらしいの。王様はもちろんいるんだけど、それとは別で国を運営しているらしいわ。不思議な国よね」
「んー……過去の日本人たちが作った国かぁ。一回行ってみるのもありかなぁ」
「そうね、ある程度落ち着いたら行くのもありだと思うわ」
体を洗い終わったので、僕はいつもの普通のお風呂に入る。電気風呂飽きた。
次はどんなお風呂作ろうかなぁ、なんて考えながらいい香りのお湯を堪能した。
……その後はルウさんと一緒に水風呂にも入った。
お風呂から上がると、すでに夕食の準備は終わっている様だった。
髪の毛を魔動ドライヤーでしっかりと乾かされてから向かうと、皆揃っている。
「待ってなくてもいいんだけどなぁ」
「そういう訳にも行かないのよ。ほら、シズトくん、座って座って」
ルウさんは僕を座らせると、ラオさんの正面に回った。
その左隣には新しく婚約者になったジューンさんが席についている。
食事は何事もなく進み、食後ののんびりタイムを満喫していると、紅茶を飲んでいたレヴィさんが何かを思い出したかのように声をあげた。
「そういえば、明日からジューンもお世話係になるのですわ」
「まあ、そうなるよね」
「それで、二人同時にお世話されるのと、一人にお世話されるの、シズトはどっちが良いのですわ?」
「……一人っすね」
一時期、皆でお風呂に入ってたけど、あの時も基本一人にしか世話……というかお風呂のお手伝いはされてなかった。
寝る時はホムラやユキもいるから二人以上が室内にいるけど、朝は最近ホムラたちはこない。
「だと思ったのですわ。ジューン、明日からよろしくお願いするのですわ」
「精一杯頑張りますぅ」
そういう事になったらしい。
まあ、予想通りだから別にいいんですけどね。
レヴィさんがしてるのに、同じ婚約者のジューンさんがしなかったらおかしいもんね。
……ん? 婚約者じゃない人にもされてるけどそれはどうなんだ……?
首を傾げて考え込んでいると、壁際に控えていたジュリウスがスッと僕の近くまで来て跪く。
「シズト様、お伝えしたい事があるのですが、今よろしいでしょうか」
「ん、いいよ。立ってね」
「はい」
スッと立って僕を見下ろすジュリウスは、懐から一通の手紙を取り出した。
封は既に開けられている。
「先日、世界樹の使徒宛に手紙が届きました。念のため、内容を確認し、他の方々にも相談させていただきましたが、シズト様の判断を仰ごうと思いまして」
「どこからの手紙なの?」
「都市国家トネリコ。世界樹トネリコが有名なエルフの国です」
あー……なるほど。
ジュリウスさんの渋い顔で何となく面倒事だと理解した。
ただ、見てもいいと言われているのでとりあえず見る。
ふんふん、なるほどね。
なんか長ったらしく書いてあるけど、要するにあれだ。
「世界樹の世話をしに来てほしいって事っすね?」
「そのようです」
なるほどなぁ……どうしよっか、これ。
いつの間にか帰ってきていたルウさんに捕まり、ジューンさんはレヴィさんにどこかへ連れられて行った。
夕食の準備はまだという事だったので、ルウさんに連れられてお風呂場に向かう。今日の当番はルウさんだ。気を張っておかないと……。
「さ、シズトくん。お姉ちゃんとお風呂に入りましょうねー」
「分かったから下ろしてもらえませんか……」
はい、お姫様抱っこをされながら移動中です。
ルウさんは冒険者関係の仕事をしていたらしく、防具を着ているので黒くて固い胸当てが当たるので恥ずかしさは半減だけど、それでもやっぱりこれはちょっと……。
でも知ってるんだ。暴れたらぎゅってされるって。柔らかい時は良いけど今は絶対痛いって。大人しく時が過ぎ去るのを待つのが良いって学んだのです。
脱衣所の前に着くと、ルウさんには先に行ってもらってチューブトップブラとショートパンツといういつもの姿に着替えをしてもらい、浴室に入っておいてもらう。
「やっぱり僕も湯浴み着着た方が良いかなぁ。いや、でも結局体を洗うためにもう一度お風呂に入る事になるし、そうなるとついて来るから意味ないか」
「シズトくーん、まだかしら~? お姉ちゃんがお手伝いしてあげた方が良いかしら?」
やば、マジで来るから早く着替えてタオル巻こう。
慌てて服を脱いで腰にタオルを巻き、浴室に向かうとルウさんがすでに準備を整えて待っていた。
「さ、こっちに座ってー。ラオちゃんほど上手じゃないけど、頑張って洗うわ!」
「ほどほどでいいです」
ほっとくとずっとごしごし洗われるからね。釘刺しとこ。
ドーラさんほど長い時間ではないが、時間をかけて頭を洗われて背中も擦られた。
後は自分でやるから、とルウさんには浴槽に入っていてもらう。
「は~~~、やっぱり水風呂は良いわねー」
「普通はサウナとか熱いお風呂とかと交互に入ってするものなんだけどね」
「サウナって何かしら?」
「サウナはサウナだよ。勇者様がそういうの伝えてないの?」
「どうかしら? ニホンに行けばあるかもしれないわね」
「日本??」
何でそこでその名前出てくるの? っていうか、行けるの? 世界違うけど?
「勇者様たちが作った国よー。正式名称はニホン連合国だったかしら。それぞれの地区を選ばれた人が代わりばんこで治めてるらしいの。王様はもちろんいるんだけど、それとは別で国を運営しているらしいわ。不思議な国よね」
「んー……過去の日本人たちが作った国かぁ。一回行ってみるのもありかなぁ」
「そうね、ある程度落ち着いたら行くのもありだと思うわ」
体を洗い終わったので、僕はいつもの普通のお風呂に入る。電気風呂飽きた。
次はどんなお風呂作ろうかなぁ、なんて考えながらいい香りのお湯を堪能した。
……その後はルウさんと一緒に水風呂にも入った。
お風呂から上がると、すでに夕食の準備は終わっている様だった。
髪の毛を魔動ドライヤーでしっかりと乾かされてから向かうと、皆揃っている。
「待ってなくてもいいんだけどなぁ」
「そういう訳にも行かないのよ。ほら、シズトくん、座って座って」
ルウさんは僕を座らせると、ラオさんの正面に回った。
その左隣には新しく婚約者になったジューンさんが席についている。
食事は何事もなく進み、食後ののんびりタイムを満喫していると、紅茶を飲んでいたレヴィさんが何かを思い出したかのように声をあげた。
「そういえば、明日からジューンもお世話係になるのですわ」
「まあ、そうなるよね」
「それで、二人同時にお世話されるのと、一人にお世話されるの、シズトはどっちが良いのですわ?」
「……一人っすね」
一時期、皆でお風呂に入ってたけど、あの時も基本一人にしか世話……というかお風呂のお手伝いはされてなかった。
寝る時はホムラやユキもいるから二人以上が室内にいるけど、朝は最近ホムラたちはこない。
「だと思ったのですわ。ジューン、明日からよろしくお願いするのですわ」
「精一杯頑張りますぅ」
そういう事になったらしい。
まあ、予想通りだから別にいいんですけどね。
レヴィさんがしてるのに、同じ婚約者のジューンさんがしなかったらおかしいもんね。
……ん? 婚約者じゃない人にもされてるけどそれはどうなんだ……?
首を傾げて考え込んでいると、壁際に控えていたジュリウスがスッと僕の近くまで来て跪く。
「シズト様、お伝えしたい事があるのですが、今よろしいでしょうか」
「ん、いいよ。立ってね」
「はい」
スッと立って僕を見下ろすジュリウスは、懐から一通の手紙を取り出した。
封は既に開けられている。
「先日、世界樹の使徒宛に手紙が届きました。念のため、内容を確認し、他の方々にも相談させていただきましたが、シズト様の判断を仰ごうと思いまして」
「どこからの手紙なの?」
「都市国家トネリコ。世界樹トネリコが有名なエルフの国です」
あー……なるほど。
ジュリウスさんの渋い顔で何となく面倒事だと理解した。
ただ、見てもいいと言われているのでとりあえず見る。
ふんふん、なるほどね。
なんか長ったらしく書いてあるけど、要するにあれだ。
「世界樹の世話をしに来てほしいって事っすね?」
「そのようです」
なるほどなぁ……どうしよっか、これ。
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