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第4章 助手と一緒に魔道具を作って生きていく。
54.事なかれ主義者は土地を手に入れた
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大騒ぎになった翌日、レヴィさんはメイドのセシリアさんとどこかに行ってしまった。
ドーラさんは鳥と何やら頻繁にお喋りをしている。
僕はとりあえず、神様から言われた通り不毛の大地で苗木を育てるためアンデッド対策の魔道具をノエルと一緒に考え中。
「やっぱりある程度の範囲を柵で囲ってしまって、その中に結界を張るのがいいと思うっす」
「勝手に柵を立てるのはまずいんじゃない?」
「んー、まあ、そうっすね」
「どのくらいの祈りが必要なのかもよく分かんないしねぇ」
「にしても、特定の加護を持つ者の祈りでしか育たない木って聞いた事ないっすね」
「でも、ここにあるから仕方ないじゃん?」
とりあえず枯れませんように! と朝にお祈りをしたが特に変化はない。
植木鉢に入れて水を入れてあげているけど、劇的な変化はない。まあ、ここでニョキニョキ成長したらジャックと豆の木ほどではないけど屋敷が大惨事になるだろうしね。
「……なんか、さっきより縮んでないっすか?」
「え、そう? ……気のせいな気もするけど、長さ測って観察日記でもつけるか」
と、いう事で作るのは魔動測定器。
イメージしたらできそうだったので、見た目虫眼鏡を作成した。
かざすだけであら不思議。その植物の生育状態が表示される優れものだ。ってか、めちゃくちゃ魔力吸われたんですけど!? 魔道具制作の五倍くらい持ってかれた感じがする。
「シズト様大丈夫っすか?」
「うん、大丈夫。ちょっと急に魔力消費したからびっくりしただけ」
「今の魔力消費でびっくり程度で済むのがびっくりっす。『鑑定』の魔道具みたいですし、あのくらいの魔力消費だけで済んでるのもびっくりっすよ」
なんかぶつぶつ言っているノエルは置いておいて作業部屋と化した愛しのマイルーム予定地の作業台でノートを開いて先程計測した長さや重さ、植物の健康状態を書いていく。
ノートには『この木何の木気になる木観察日記』と書いて閉じる。
何の木なのか聞く前に礼拝堂に戻っていたので、結局どんな木なのか分からないのが現状だ。
ちょっと魔力を予定外に使っちゃったし、木についての記述がある分厚い本を片っ端から読む事にした。
お昼から夕方まで読んだが、情報収集はうまくいっていない。
ノエルを引き摺りながら食堂に向かうと、すでにレヴィさんが仁王立ちで僕を待っていた。
「シズト、よく聞くのですわ! 土地が手に入ったのですわ!!」
「………どこの?」
そういえばこの人王女だったなぁ、とか。なんかすごい興奮して張り切ってたなぁ、とか。いろいろと嫌な予感がする。聞かずに帰る事ができたらどれだけよかった事か……秘密基地的なセーフティールーム作ろ。
案の定、レヴィさんのお父さんに直談判したらしく、不毛の大地を好きに使っていい、と了承を得たらしい。というか、僕の土地になったんだとか。
これってやっぱり王様に借りを作ったって事になるのかな。
「シズトが気にしているであろう事はもう対策済みですわ!」
「え、まじで?」
「マジですわ! しっかりと契約書を交わしてきたのですわ!」
「そこじゃないよ!?もっと根本的な厄介事の事なんだけど?」
駄目だこの王女なんも分かってない気がする。
そんな事を考えながら不毛の大地を突き進む僕とホムラ、ノエルにドーラさん、レヴィさん、セシリアさん。
不毛の大地に入って三時間は歩き続けていたが見えるのは何も生えてない乾いた大地。
ラオさんもこの道を通ったのかなぁ、なんて思いながら浮遊台車に座ってのんびりする。後ろを振り向くと、縛った髪が後ろにたなびいているホムラと目が合う。
僕は何でもない、と前を向いてちょっとポジションを調整してまたのんびり前を見つめる。
ここら一帯が僕の土地になったって事は、領地持ちの貴族になってしまったのかと焦ったけれど、王様の計らいでただの土地持ちで止めてくれている。まあ、レヴィさん曰く、いつでも貴族にする事はできるとレヴィさん経由で言われたけど……そんな責任がある立場になったら気軽に旅行とか楽しい事できなくなるからパスした。
一時間ほどすいすいと進んで、少し休憩してまたすいすいと進む。
それを数回繰り返すと、唐突に標識が見えた。
「ちょうどここで真ん中なのですわ!」
「それじゃ、この標識の近くに植えようか」
「本当にこんなとこに植えて大丈夫なんすかねぇ」
「神様のお言葉を疑うなんて不敬ですわ!」
「僕的にはどっちでもいいかなぁ」
「シズトもそんな事言ってないでしっかり祈るんですわ!」
「なんか魔力持ってかれるから、万が一の時のために転移陣敷いておこうか」
「ちょっと待つっす! 転移の魔法陣を書けるなんて聞いてないっす!! ホムラ様邪魔しないでほしいっす~~~」
「邪魔なのは貴女です」
なんか騒がしいけど、転移陣も人が一人くらい乗れる鉄板に刻み設置を終える。それから持ってきたスコップで適度な穴を掘り終えたので植木鉢からそのまま移し替えた。
……なんか土の色全く違うんですけど大丈夫なんすかね?
不安になってきたけど、とりあえず手を合わせてお祈りをする。
「神様のためにも無事に成長しますように」
言い終わると同時に一気に魔力が持ってかれる感じがして……気が付いたら次の日でした。
どんだけ魔力持ってくんだあの苗木!
そう思って寝かしつけられていたのであろうテントから出ると、標識の後ろに僕の背丈くらいに伸びた木があった。
「異世界の木って、成長早いな~」
「いや、あれおかしいっすから」
「この調子でどんどん成長を促すのですわー!」
「いや、拠点を作るのが先だからね??」
と、いう事で極楽生活のお屋敷生活とはしばらくお別れしてご近所さんのアンデッドと仲良くサバイバルライフをしていく事になりそうだ。
いや、普通に転移陣で帰るけどね。
ドーラさんは鳥と何やら頻繁にお喋りをしている。
僕はとりあえず、神様から言われた通り不毛の大地で苗木を育てるためアンデッド対策の魔道具をノエルと一緒に考え中。
「やっぱりある程度の範囲を柵で囲ってしまって、その中に結界を張るのがいいと思うっす」
「勝手に柵を立てるのはまずいんじゃない?」
「んー、まあ、そうっすね」
「どのくらいの祈りが必要なのかもよく分かんないしねぇ」
「にしても、特定の加護を持つ者の祈りでしか育たない木って聞いた事ないっすね」
「でも、ここにあるから仕方ないじゃん?」
とりあえず枯れませんように! と朝にお祈りをしたが特に変化はない。
植木鉢に入れて水を入れてあげているけど、劇的な変化はない。まあ、ここでニョキニョキ成長したらジャックと豆の木ほどではないけど屋敷が大惨事になるだろうしね。
「……なんか、さっきより縮んでないっすか?」
「え、そう? ……気のせいな気もするけど、長さ測って観察日記でもつけるか」
と、いう事で作るのは魔動測定器。
イメージしたらできそうだったので、見た目虫眼鏡を作成した。
かざすだけであら不思議。その植物の生育状態が表示される優れものだ。ってか、めちゃくちゃ魔力吸われたんですけど!? 魔道具制作の五倍くらい持ってかれた感じがする。
「シズト様大丈夫っすか?」
「うん、大丈夫。ちょっと急に魔力消費したからびっくりしただけ」
「今の魔力消費でびっくり程度で済むのがびっくりっす。『鑑定』の魔道具みたいですし、あのくらいの魔力消費だけで済んでるのもびっくりっすよ」
なんかぶつぶつ言っているノエルは置いておいて作業部屋と化した愛しのマイルーム予定地の作業台でノートを開いて先程計測した長さや重さ、植物の健康状態を書いていく。
ノートには『この木何の木気になる木観察日記』と書いて閉じる。
何の木なのか聞く前に礼拝堂に戻っていたので、結局どんな木なのか分からないのが現状だ。
ちょっと魔力を予定外に使っちゃったし、木についての記述がある分厚い本を片っ端から読む事にした。
お昼から夕方まで読んだが、情報収集はうまくいっていない。
ノエルを引き摺りながら食堂に向かうと、すでにレヴィさんが仁王立ちで僕を待っていた。
「シズト、よく聞くのですわ! 土地が手に入ったのですわ!!」
「………どこの?」
そういえばこの人王女だったなぁ、とか。なんかすごい興奮して張り切ってたなぁ、とか。いろいろと嫌な予感がする。聞かずに帰る事ができたらどれだけよかった事か……秘密基地的なセーフティールーム作ろ。
案の定、レヴィさんのお父さんに直談判したらしく、不毛の大地を好きに使っていい、と了承を得たらしい。というか、僕の土地になったんだとか。
これってやっぱり王様に借りを作ったって事になるのかな。
「シズトが気にしているであろう事はもう対策済みですわ!」
「え、まじで?」
「マジですわ! しっかりと契約書を交わしてきたのですわ!」
「そこじゃないよ!?もっと根本的な厄介事の事なんだけど?」
駄目だこの王女なんも分かってない気がする。
そんな事を考えながら不毛の大地を突き進む僕とホムラ、ノエルにドーラさん、レヴィさん、セシリアさん。
不毛の大地に入って三時間は歩き続けていたが見えるのは何も生えてない乾いた大地。
ラオさんもこの道を通ったのかなぁ、なんて思いながら浮遊台車に座ってのんびりする。後ろを振り向くと、縛った髪が後ろにたなびいているホムラと目が合う。
僕は何でもない、と前を向いてちょっとポジションを調整してまたのんびり前を見つめる。
ここら一帯が僕の土地になったって事は、領地持ちの貴族になってしまったのかと焦ったけれど、王様の計らいでただの土地持ちで止めてくれている。まあ、レヴィさん曰く、いつでも貴族にする事はできるとレヴィさん経由で言われたけど……そんな責任がある立場になったら気軽に旅行とか楽しい事できなくなるからパスした。
一時間ほどすいすいと進んで、少し休憩してまたすいすいと進む。
それを数回繰り返すと、唐突に標識が見えた。
「ちょうどここで真ん中なのですわ!」
「それじゃ、この標識の近くに植えようか」
「本当にこんなとこに植えて大丈夫なんすかねぇ」
「神様のお言葉を疑うなんて不敬ですわ!」
「僕的にはどっちでもいいかなぁ」
「シズトもそんな事言ってないでしっかり祈るんですわ!」
「なんか魔力持ってかれるから、万が一の時のために転移陣敷いておこうか」
「ちょっと待つっす! 転移の魔法陣を書けるなんて聞いてないっす!! ホムラ様邪魔しないでほしいっす~~~」
「邪魔なのは貴女です」
なんか騒がしいけど、転移陣も人が一人くらい乗れる鉄板に刻み設置を終える。それから持ってきたスコップで適度な穴を掘り終えたので植木鉢からそのまま移し替えた。
……なんか土の色全く違うんですけど大丈夫なんすかね?
不安になってきたけど、とりあえず手を合わせてお祈りをする。
「神様のためにも無事に成長しますように」
言い終わると同時に一気に魔力が持ってかれる感じがして……気が付いたら次の日でした。
どんだけ魔力持ってくんだあの苗木!
そう思って寝かしつけられていたのであろうテントから出ると、標識の後ろに僕の背丈くらいに伸びた木があった。
「異世界の木って、成長早いな~」
「いや、あれおかしいっすから」
「この調子でどんどん成長を促すのですわー!」
「いや、拠点を作るのが先だからね??」
と、いう事で極楽生活のお屋敷生活とはしばらくお別れしてご近所さんのアンデッドと仲良くサバイバルライフをしていく事になりそうだ。
いや、普通に転移陣で帰るけどね。
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