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第3章 居候して生きていこう
33.事なかれ主義者はお湯に浸かりたい
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電話もどきを作る事ができそうだったけど、魔力がなきゃどうしようもない。
今日は大人しく魔力マシマシ飴を使って魔力を使い切ろう、と食後の甘味を楽しむ。
ホムラとラオさんはすでに寝間着姿だ。
電話もどきよりも早くラオさん用の寝間着を作った方がよさそう。
目のやり場に困る。
見なきゃいい、って話なんだけどどうしても目が動いちゃうから仕方ないじゃん?
あと、寝間着と一緒に一階にあったお風呂場も手入れしておきたい。
ちょっと広い部屋だと思っていた奥に浴場があったのだ。
高圧洗浄機を使えばだいたい綺麗になるでしょう。
どうやってお湯沸かすのかとか水を溜めるのかとか、わかんないけど以前何となく作った沸騰魔石を使えば何とでもなる。
何なら、浴槽に魔法を付与してお湯が溜まるようにすればいいか。……うん、やっぱりなんとでもなりそう。
ただあそこまで大きな浴槽だとランクの高い魔石の方がいいかもしれない。
「ホムラ。お風呂で魔石たくさん使うかもだから買いだめておいて」
「わかりました、マスター」
「風呂なんかに魔石使う必要あんのか? 拭くだけだろ?」
「お湯につかりたいんだよ」
「あー……なるほどな。勇者が祖先の家ではお湯に浸かるの当たり前らしいしな」
まあ、祖先じゃなくてその勇者なんですけどね。
昔から日本人はお風呂大好きだもんね、そりゃ家族が影響されるのは仕方ないと思う。
防衛面強化はちょっと置いといて、ラオさんにお風呂の魅力を教えて差し上げようではないか。
とかなんとか考えていたらラオさんがなんか近づいてきて、頭を叩かれた。
「あいたっ! なにすんのさ」
「なんか変な事考えてんだろ」
「失敬な。お風呂の事しか考えてないんですー」
「どうだかな」
翌日、僕はサクッと残りの2か所の丸太設置も済ませ、無事に作動するか点検中。
姿隠しの魔法を使える人がいないのでわかんないけど、無事に四カ所とも魔法陣が輝いている事を確認したら屋敷に入って脱衣所? に向かう。
僕のマイルーム予定の場所のすぐ近くにあったその部屋は、奥の方に目隠し目的だと思われる衝立が置かれていたので何の部屋かいまひとつわかっていなかった。
壁に大きな鏡が設置されているから普通の部屋ではないんだろうなぁ、とは思っていたけど。
ちょっとここに着替えを入れる事ができる収納棚を置こうと考えているけど、魔力は有限だ。あれもこれもと今日はできない。
とりあえず今日はお風呂に入る事が目標なのでホムラに高圧洗浄機を出してもらい、奥の浴室へと向かう。
浴室も人が何人も入ることが出来るような広さだった。おそらく前使っていた人は、結構な権力を持った人だったんだろう。
人が何人も入れるような浴槽の他に、横になれる台のようなものもある。サウナはないのかな。サウナがあればあそこたぶん休憩スペースみたいな感じで使えそうだし。
あと大きな浴槽があるのに変な四つ足のお風呂がある。いい感じにもたれてのんびりできそうだ。
シャワーもあるけど、これどこからお湯引いてるんだろ。お湯出るのかな。……蛇口ひねってもなんも出ない。仕組みがわかんね。【付与】しとこ。
あとは……とりあえず変色とかしている壁や床は高圧洗浄機で綺麗にしていこうか。
「ホムラは脱衣所の掃除しておいて。なんかあったら呼ぶから」
「……わかりました、マスター」
「とりあえず埃吸い吸い箱使って空気綺麗にしておいてね」
ちょっと返答に間があったけど、今回は従ってくれた。
向こうの部屋の作業はホムラに任せて面白いようにきれいになっていく壁のタイルを見る。
富士山が描かれていたら本当に銭湯の印象が強くなるんだけど、そういうものはなかった。
ないなら自分で描いちゃおうかな。絵心ないけど。
あれもこれもやりたいけど魔力が足りない。
高圧洗浄機を使う時も魔力使うし、こういう誰にでもできる作業は他の人に任せたいなぁ。
そんな事を考えていたら、ラオさんが遅れて浴室に入ってきたのでバトンタッチ。
「便利だな、これ。売らねぇのか?」
「うーん……売らないかな。今は他に作りたいものあるし、しばらくは自分用で持っておきたいし」
「レンタルとかすればいいんじゃね?」
「使いたい時になかったら困るでしょ」
「そういうもんかねぇ」
そういうもんなの。
それに今はそこまでお金が必要ってわけじゃない。
魔石はたくさん買うようには言ってるけど、何かあった時に困らないように多少はお金を残しておくようにホムラに伝えている。
それに、宿泊代がないから毎日の浮遊台車の納品だけでも元が取れるのだ。
今は納品どころではないので、作るだけ作って取りに来た冒険者の人に渡すだけなのだが。
毎朝ホムラに対応するように言っているのでおそらくしてくれているだろう。
お喋りをしながら僕も僕のすべき事をやる。
縁をまたいで浴槽の内側に入る。段差があって丸みを帯びた四隅に、凭れる事ができるよう少し傾斜の付いた壁があったり銭湯が思い浮かぶ。
とりあえず浴槽に【付与】を行い、魔法陣の上に魔石が置かれると四十度のお湯が溜まるようにした。
なんか入浴剤が入ったお湯をイメージしちゃったけど。ゆずの香りの入浴剤が好きなんだよね。
「ホムラ~、ちょっとお使いしてきてほしいんだけど~」
ちょっと大きな声でホムラを呼ぶと浴室内に声が反響する。
少しすると、ホムラが浴室に入ってきた。
「ちょっと体洗う石鹸買ってきて。あと髪を洗うやつも。無かったらいいや」
「かしこまりました、マスター」
よし!
これで後は浴室内の清掃が終われば完璧かな。
そんな事を思いつつ、他に【付与】でいい感じにできないか考え続ける僕を、ラオさんが横目で見ながらため息をついていた。
今日は大人しく魔力マシマシ飴を使って魔力を使い切ろう、と食後の甘味を楽しむ。
ホムラとラオさんはすでに寝間着姿だ。
電話もどきよりも早くラオさん用の寝間着を作った方がよさそう。
目のやり場に困る。
見なきゃいい、って話なんだけどどうしても目が動いちゃうから仕方ないじゃん?
あと、寝間着と一緒に一階にあったお風呂場も手入れしておきたい。
ちょっと広い部屋だと思っていた奥に浴場があったのだ。
高圧洗浄機を使えばだいたい綺麗になるでしょう。
どうやってお湯沸かすのかとか水を溜めるのかとか、わかんないけど以前何となく作った沸騰魔石を使えば何とでもなる。
何なら、浴槽に魔法を付与してお湯が溜まるようにすればいいか。……うん、やっぱりなんとでもなりそう。
ただあそこまで大きな浴槽だとランクの高い魔石の方がいいかもしれない。
「ホムラ。お風呂で魔石たくさん使うかもだから買いだめておいて」
「わかりました、マスター」
「風呂なんかに魔石使う必要あんのか? 拭くだけだろ?」
「お湯につかりたいんだよ」
「あー……なるほどな。勇者が祖先の家ではお湯に浸かるの当たり前らしいしな」
まあ、祖先じゃなくてその勇者なんですけどね。
昔から日本人はお風呂大好きだもんね、そりゃ家族が影響されるのは仕方ないと思う。
防衛面強化はちょっと置いといて、ラオさんにお風呂の魅力を教えて差し上げようではないか。
とかなんとか考えていたらラオさんがなんか近づいてきて、頭を叩かれた。
「あいたっ! なにすんのさ」
「なんか変な事考えてんだろ」
「失敬な。お風呂の事しか考えてないんですー」
「どうだかな」
翌日、僕はサクッと残りの2か所の丸太設置も済ませ、無事に作動するか点検中。
姿隠しの魔法を使える人がいないのでわかんないけど、無事に四カ所とも魔法陣が輝いている事を確認したら屋敷に入って脱衣所? に向かう。
僕のマイルーム予定の場所のすぐ近くにあったその部屋は、奥の方に目隠し目的だと思われる衝立が置かれていたので何の部屋かいまひとつわかっていなかった。
壁に大きな鏡が設置されているから普通の部屋ではないんだろうなぁ、とは思っていたけど。
ちょっとここに着替えを入れる事ができる収納棚を置こうと考えているけど、魔力は有限だ。あれもこれもと今日はできない。
とりあえず今日はお風呂に入る事が目標なのでホムラに高圧洗浄機を出してもらい、奥の浴室へと向かう。
浴室も人が何人も入ることが出来るような広さだった。おそらく前使っていた人は、結構な権力を持った人だったんだろう。
人が何人も入れるような浴槽の他に、横になれる台のようなものもある。サウナはないのかな。サウナがあればあそこたぶん休憩スペースみたいな感じで使えそうだし。
あと大きな浴槽があるのに変な四つ足のお風呂がある。いい感じにもたれてのんびりできそうだ。
シャワーもあるけど、これどこからお湯引いてるんだろ。お湯出るのかな。……蛇口ひねってもなんも出ない。仕組みがわかんね。【付与】しとこ。
あとは……とりあえず変色とかしている壁や床は高圧洗浄機で綺麗にしていこうか。
「ホムラは脱衣所の掃除しておいて。なんかあったら呼ぶから」
「……わかりました、マスター」
「とりあえず埃吸い吸い箱使って空気綺麗にしておいてね」
ちょっと返答に間があったけど、今回は従ってくれた。
向こうの部屋の作業はホムラに任せて面白いようにきれいになっていく壁のタイルを見る。
富士山が描かれていたら本当に銭湯の印象が強くなるんだけど、そういうものはなかった。
ないなら自分で描いちゃおうかな。絵心ないけど。
あれもこれもやりたいけど魔力が足りない。
高圧洗浄機を使う時も魔力使うし、こういう誰にでもできる作業は他の人に任せたいなぁ。
そんな事を考えていたら、ラオさんが遅れて浴室に入ってきたのでバトンタッチ。
「便利だな、これ。売らねぇのか?」
「うーん……売らないかな。今は他に作りたいものあるし、しばらくは自分用で持っておきたいし」
「レンタルとかすればいいんじゃね?」
「使いたい時になかったら困るでしょ」
「そういうもんかねぇ」
そういうもんなの。
それに今はそこまでお金が必要ってわけじゃない。
魔石はたくさん買うようには言ってるけど、何かあった時に困らないように多少はお金を残しておくようにホムラに伝えている。
それに、宿泊代がないから毎日の浮遊台車の納品だけでも元が取れるのだ。
今は納品どころではないので、作るだけ作って取りに来た冒険者の人に渡すだけなのだが。
毎朝ホムラに対応するように言っているのでおそらくしてくれているだろう。
お喋りをしながら僕も僕のすべき事をやる。
縁をまたいで浴槽の内側に入る。段差があって丸みを帯びた四隅に、凭れる事ができるよう少し傾斜の付いた壁があったり銭湯が思い浮かぶ。
とりあえず浴槽に【付与】を行い、魔法陣の上に魔石が置かれると四十度のお湯が溜まるようにした。
なんか入浴剤が入ったお湯をイメージしちゃったけど。ゆずの香りの入浴剤が好きなんだよね。
「ホムラ~、ちょっとお使いしてきてほしいんだけど~」
ちょっと大きな声でホムラを呼ぶと浴室内に声が反響する。
少しすると、ホムラが浴室に入ってきた。
「ちょっと体洗う石鹸買ってきて。あと髪を洗うやつも。無かったらいいや」
「かしこまりました、マスター」
よし!
これで後は浴室内の清掃が終われば完璧かな。
そんな事を思いつつ、他に【付与】でいい感じにできないか考え続ける僕を、ラオさんが横目で見ながらため息をついていた。
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