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国・・・1
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私は周囲が慌ただしく焦りながらな過ごす日々の中、
ソファーに腰掛け、レイコの手作りの焼き菓子とクイーンの入れた紅茶を嗜みながら洋館内で報告を待つ事になる。
各領地から貴族の大半が領民により、裁かれ命を刈り取られた事実が報告される。
その後は、ルーズ達により、騒ぎを沈静化させて、新たな管理者を派遣する流れになっている。
本来は私達が駄目な貴族や領主を始末した方が早いが、それでは何も変わらないのだ。
意識改革と言うのだろうか? 駄目な領主を領主だからと見逃す事は愚かであると国民が理解する事に今回の行動その物の意味がある。
私からすれば、半数が残ればいいだろう程度にと考えていたが、結果はあっという間に領主の大半を失う形となっていた。
領主を失われた領地は直ぐに荒れ始めると多くの国民が考えていることだろう。
しかし、そうはさせない──
さっきも言ったが、目的は意識改革なのだ、領地を無駄にする気はない。
私は直ぐに、各領地に信頼出来る人員を送るようにデュバルに命令を出した。
流石のデュバルも、頭を悩ませていたけれど、各領地から、前領主が遊ばせていた無人の土地や、無駄な個人用の娯楽施設を選び、完全に解体して、小さいながらも屋敷を作り、今回のケストア王国での勝利の報酬として兵士に分け与える事にしたのだ。
更に税金の見直しを行う事にしたわ、単純に納税していた麦や農作物の量が無駄に多かった事が理由だ。
なので、各自にケストア王国が保有する土地を畑に作り直し、そこで税金分の麦や作物を生産してもらう。
そして、新たに兵士への税金の見直しを行う。
今までは、安い賃金や成功報酬と言う形で兵士も苦労していたみたいで、都市防衛や、農作業補助要員と言う形で給金を払う制度を新たに開拓した。
その結果、年間の労働に対して、毎月給金から僅かな税を引く事で大きな納税を無視する事が出来るようになったのだ。
兵士からすれば、分かりやすいだろう、今まで蓄えた金品等から更なる納税を強要されていた兵士達からすればストレスも減った事だろうと思う。
ケストアの税は本来、年に二回、夏と冬に行われていた。
かなりの国民が辛い生活を強いられていた事だろう。
本来、農民をして、必要になった際に兵士として、徴兵される者も少なくない。
その為、麦や作物を無理矢理奪われる現状が回避された為、私に反抗的な意見を口にする者は殆ど存在しない。
まぁ、今までの夏の年貢と、冬の税金など を考えれば、ずっとマシになったと言えるだろう。
ただし、これも本来なら私やデュバルだけでは、実際に上手く事を運ぶには時間が掛かり過ぎるのだ、なので、私は最初の段階である人物を国の最高指導者、つまり新しい王様を決めておいた。
それこそ、城で死にかけていたアレク・ドリアーノだ。
国王からすれば、一般兵扱いだったのだろうが、ノー・ルーズ同様に民衆にはその名を知られている。
それもそうだろう……軍司令の息子を支え、更に実力もあるのだから、頭脳と実力を持ち合わせた素晴らしい人材だ。
アレクとルーズが軍のトップだったなら、ケストアも私や、他の者と争う結果にはならなかっただろう。
そんなアレクを私は新たな王と決め、私の指示で動いて貰うことにしたのだ。
そして、監視役、裏切り防止の為にルーズを軍司令とした。
ケストアを手に入れて直ぐにルーズを呼び出した時の事を思い出し、少し笑みをこぼす。
「と、言う訳だから、ルーズ。頼んだわよ」
ルーズを洋館に呼び出し、軍の司令になるように伝えると、慌てたルーズが私に返事をする。
「いえ、自分ごときが軍のトップなど、仮に形だけだとしても……」
ルーズ本人は、ラクネや、キングの存在を理解しているからだろう、すごく嫌な顔をされたわ。
「ふーん、なら、私の側近から、そうね、ラクネに任命しようかしら、ルーズが嫌がるんだもの仕方ないわよね?」
「ラクネ様なら、ピッタリかと!」
「そうなると、私の傍にずっと置く訳には行かないわね。ルーズ、アナタがラクネに伝えなさい」
「いっ! あ、あ、自分がですか?」
「当たり前でしょ? それと、ラクネの代わりにルーズ、側近としての任を引き継ぎなさい」
そんなやり取りを数十秒した後、ルーズは自らの意思で軍司令になりたいと、涙ながらに語り話がまとまったわ。
余程、ラクネに話すのが嫌だった見たいね?
まぁ、同じ立場なら、私も確かに嫌だわね、私はともかく、ルーズだったら、絶対に八つ当たりされる筈だもの。
ルーズを軍のトップにする事で、クーデターの様な馬鹿なことは起こらないだろう、あとは、国名を変更する事で全てが終わるわ。
新たな国名──エルピス──
私がパンドラだと言うなら、最後に残された物は、希望になる。
新しい国になるのだから、ピッタリの名前だ。
その日の昼、私は元ケストア王国の広場にて、民衆を集め、新たな国名──エルピス──の名を伝える。
更に各村や街にも伝令者を送る事で国名を確実に全ての民に伝えたのである。
ソファーに腰掛け、レイコの手作りの焼き菓子とクイーンの入れた紅茶を嗜みながら洋館内で報告を待つ事になる。
各領地から貴族の大半が領民により、裁かれ命を刈り取られた事実が報告される。
その後は、ルーズ達により、騒ぎを沈静化させて、新たな管理者を派遣する流れになっている。
本来は私達が駄目な貴族や領主を始末した方が早いが、それでは何も変わらないのだ。
意識改革と言うのだろうか? 駄目な領主を領主だからと見逃す事は愚かであると国民が理解する事に今回の行動その物の意味がある。
私からすれば、半数が残ればいいだろう程度にと考えていたが、結果はあっという間に領主の大半を失う形となっていた。
領主を失われた領地は直ぐに荒れ始めると多くの国民が考えていることだろう。
しかし、そうはさせない──
さっきも言ったが、目的は意識改革なのだ、領地を無駄にする気はない。
私は直ぐに、各領地に信頼出来る人員を送るようにデュバルに命令を出した。
流石のデュバルも、頭を悩ませていたけれど、各領地から、前領主が遊ばせていた無人の土地や、無駄な個人用の娯楽施設を選び、完全に解体して、小さいながらも屋敷を作り、今回のケストア王国での勝利の報酬として兵士に分け与える事にしたのだ。
更に税金の見直しを行う事にしたわ、単純に納税していた麦や農作物の量が無駄に多かった事が理由だ。
なので、各自にケストア王国が保有する土地を畑に作り直し、そこで税金分の麦や作物を生産してもらう。
そして、新たに兵士への税金の見直しを行う。
今までは、安い賃金や成功報酬と言う形で兵士も苦労していたみたいで、都市防衛や、農作業補助要員と言う形で給金を払う制度を新たに開拓した。
その結果、年間の労働に対して、毎月給金から僅かな税を引く事で大きな納税を無視する事が出来るようになったのだ。
兵士からすれば、分かりやすいだろう、今まで蓄えた金品等から更なる納税を強要されていた兵士達からすればストレスも減った事だろうと思う。
ケストアの税は本来、年に二回、夏と冬に行われていた。
かなりの国民が辛い生活を強いられていた事だろう。
本来、農民をして、必要になった際に兵士として、徴兵される者も少なくない。
その為、麦や作物を無理矢理奪われる現状が回避された為、私に反抗的な意見を口にする者は殆ど存在しない。
まぁ、今までの夏の年貢と、冬の税金など を考えれば、ずっとマシになったと言えるだろう。
ただし、これも本来なら私やデュバルだけでは、実際に上手く事を運ぶには時間が掛かり過ぎるのだ、なので、私は最初の段階である人物を国の最高指導者、つまり新しい王様を決めておいた。
それこそ、城で死にかけていたアレク・ドリアーノだ。
国王からすれば、一般兵扱いだったのだろうが、ノー・ルーズ同様に民衆にはその名を知られている。
それもそうだろう……軍司令の息子を支え、更に実力もあるのだから、頭脳と実力を持ち合わせた素晴らしい人材だ。
アレクとルーズが軍のトップだったなら、ケストアも私や、他の者と争う結果にはならなかっただろう。
そんなアレクを私は新たな王と決め、私の指示で動いて貰うことにしたのだ。
そして、監視役、裏切り防止の為にルーズを軍司令とした。
ケストアを手に入れて直ぐにルーズを呼び出した時の事を思い出し、少し笑みをこぼす。
「と、言う訳だから、ルーズ。頼んだわよ」
ルーズを洋館に呼び出し、軍の司令になるように伝えると、慌てたルーズが私に返事をする。
「いえ、自分ごときが軍のトップなど、仮に形だけだとしても……」
ルーズ本人は、ラクネや、キングの存在を理解しているからだろう、すごく嫌な顔をされたわ。
「ふーん、なら、私の側近から、そうね、ラクネに任命しようかしら、ルーズが嫌がるんだもの仕方ないわよね?」
「ラクネ様なら、ピッタリかと!」
「そうなると、私の傍にずっと置く訳には行かないわね。ルーズ、アナタがラクネに伝えなさい」
「いっ! あ、あ、自分がですか?」
「当たり前でしょ? それと、ラクネの代わりにルーズ、側近としての任を引き継ぎなさい」
そんなやり取りを数十秒した後、ルーズは自らの意思で軍司令になりたいと、涙ながらに語り話がまとまったわ。
余程、ラクネに話すのが嫌だった見たいね?
まぁ、同じ立場なら、私も確かに嫌だわね、私はともかく、ルーズだったら、絶対に八つ当たりされる筈だもの。
ルーズを軍のトップにする事で、クーデターの様な馬鹿なことは起こらないだろう、あとは、国名を変更する事で全てが終わるわ。
新たな国名──エルピス──
私がパンドラだと言うなら、最後に残された物は、希望になる。
新しい国になるのだから、ピッタリの名前だ。
その日の昼、私は元ケストア王国の広場にて、民衆を集め、新たな国名──エルピス──の名を伝える。
更に各村や街にも伝令者を送る事で国名を確実に全ての民に伝えたのである。
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