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首都【イザ】・・・3
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剣を抜いた兵士に対して、私の影が即座に動き、兵士の影に入り込む。
次の瞬間には、兵士は首、腕、指の一本すらも、動かせず、まさに身動き一つ取れない状態になっていた。
「……くっ、なんだ!」
兵士は、必死に動こうと力を込めているのか、顔が赤くなり、苛立ちを露にする。
「え、た、助かったのか……」と、死をまじかに絶望していた男は、言葉をもらした。
それを合図に私は、クイーンに念話を送る。
念話の内容は、単純に兵士を綺麗に始末してもらう為の物だ。
他の二人(ラクネ、ホーネット)だと、あとに酷い形で残骸が残る恐れがあるからだ。
クイーンは、即座に動き、兵士の首に液体の刃を振り抜き血飛沫ごと液体へと吸収する。
更にその直後、"強酸の壁"を放ち、兵士の全身を飲み込み、クイーンの体内へとその全てを素早く吸収する。
他の国民からは、一瞬の出来事であり、熟練した剣豪の如き、眼力があれば話は別だろうが、一般人からすれば、何が起きたか理解すら出来ないだろう。
その場にいた他の兵士も同様であり、何が起きたか理解出来ないと言った表情を浮かべている。
そのタイミングで私は、その場にいる民衆に対して声をあげる。
「さぁ、理解したでしょ……貴方達を助ける存在はいないの……私が助けるのはこの1回のみよ」
この言葉に、ケストア国民は僅かな沈黙を余儀なくされた。
当たり前が崩壊した事実をどう言葉にしたらいいか分からなかったからだろう。
そんな沈黙を打ち砕いたのは、他の兵士達の殺気混じりの怒号であった。
「ふざけやがってッ! 勝手を抜かすなァァァ!」
「皆で囲めッ! あの紫髪の女が頭だ、捕まえて首を晒すぞ!」
門を護る兵士達が一気に姿を現すと、私達を取り囲むように武器を構える。
はっきり言って、死に急ぐ連中の相手はダルいのよね。
「まぁいいわ、この場に居る全員に対して、警告するわ。
死にたくないなら、動かないでね……動いたら、首が飛んじゃうかもしれないから」
私の言葉に、ケストア国民はピタリと動きを止めた。
正式には、私の放つ威圧をケストア国民にのみ向けたせいで動けないと言うべきだろう。
威圧の制御は本当に面倒なんだけど、今回は目撃者の存在が必要になるから我慢してやってる感じだ。
逆に言えば、威圧を与えられなかった兵士達は、私の発言を聞き、僅かに躊躇っているのが分かるが、引く気はないらしい。
「ふふっ、動かないの? やっぱり私にビビっちゃったのかしら?」
煽るように笑みを浮かべた瞬間、クイーン達、三人もクスクスと笑みを浮かべる。
兵士からすれば、一瞬で面子を潰された形になり、一人の兵士が怒りのままに駆け出して来る。
その瞬間、駆け出した兵士の真横から、凄まじい勢いで片手斧の刃が振り抜かれる。
振り抜いた斧の主は、キングである。
「おい、いきなり大将に剣を向けるな、俺達を倒してからが筋だろうが?」
キングの言葉に、兵士を取り囲むようにフードを被っていた擬人化したゴブリン軍団が姿を現す。
一人の上位ゴブリンがキングの得物を手渡し、キングは巨大な戦斧を手にするとニヤリと笑みを浮かべる。
「あら、キングもそんな楽しそうに笑うのね? やっぱり(モンスター)本能ってやつなの?」
「馬鹿を言うな。俺は俺だ、本能かは知らんが、ダンジョンの外で得物を使うのが嬉しいだけだ」
私にそう語るキングの表情は擬人化しているのに、まるでモンスターのように見える。
他の者達からは、更に恐ろしく見えているだろうが、本人には黙っておこう。
どちらにしても、形勢逆転となり、私達は門を開放する。
可哀想だが、門兵の方々には、此処で人生をリストラさせて貰った。
運が良ければ、私やキングみたいに別の世界で復活できるだろうから、再スタートに期待かな。
ガレル側の扉が開かれると同時にケストア国民が首都【イザ】から駆け出して行く。
最初に駆け出した者達は、はっきり言えば賢いと言える。
戦場になる可能性がある【イザ】に残るよりも、形はどうあれ、大陸の端に存在するガレルに移動するのが最善策と言えるからだ。
そんな【イザ】と国境を隔てるサザル公国側から、風を切るように雲を切り裂き巨大な空船が複数姿を現す。
先頭のガレオン船を思わせる巨大空船を筆頭として横並びに並べられた大空船団が姿を現す。
中央に超巨大空船が陣取り、左右に大型空船が二隻づつ並び、中型空船が八隻、小型空船が八隻も同様に左右ならんでいる。
空に姿を現した大船団を地上から見上げるケストア国民達は顔を蒼く染める。
上空から、拡声魔法を通してケストア王国中に力強い女性の声が響く。
「聞けッ! ケストアの民達よ。
私は、サザル公国、サザン家が第三女、エリナ・フィル・サザンであるッ!
我々はサザル公国より、国際救出要請を受諾し、救援にきたサザル公国、最強にして最大のサザル大空船団である!」
サザル公国、サザル大空船団。
巨大空船には、数千の戦闘員が同乗しており、武装は超大型魔導砲台が搭載されており、数百人の魔導士達が魔力を注ぐ事で発射可能となる。
巨大空船一隻のみで、他国の城や街を一晩で灰にする事すら可能であり、巨大空船一隻の為にケストア王国を含む四大国家はサザル公国の存在を認めたとも言える。
更に大型空船にも街を沈黙させる程度の装備が与えられており、同乗人数が少なくなるが、かなりの戦力となっている。
中型と小型に関しては、補充や空中で整備等を担当する船と戦闘用の船に別れており、巨大空船が超大型魔導砲台を発射する際には、鎖で連結し反動による船体の後退を防ぐ役割りもになっている。
「即ちッ! 我々は今より、武装放棄しない者を危険排除の対象とする。
ケストア王国に対しても同様であり、我々は忠告する! 敵対行動とみなした時点で攻撃をする! 死にたくないなら、武装放棄しなさい!」
なんか、うるさい奴が参戦してきたわね、まったく……
サザル公国のジャジャ馬娘って感じかしら?
次の瞬間には、兵士は首、腕、指の一本すらも、動かせず、まさに身動き一つ取れない状態になっていた。
「……くっ、なんだ!」
兵士は、必死に動こうと力を込めているのか、顔が赤くなり、苛立ちを露にする。
「え、た、助かったのか……」と、死をまじかに絶望していた男は、言葉をもらした。
それを合図に私は、クイーンに念話を送る。
念話の内容は、単純に兵士を綺麗に始末してもらう為の物だ。
他の二人(ラクネ、ホーネット)だと、あとに酷い形で残骸が残る恐れがあるからだ。
クイーンは、即座に動き、兵士の首に液体の刃を振り抜き血飛沫ごと液体へと吸収する。
更にその直後、"強酸の壁"を放ち、兵士の全身を飲み込み、クイーンの体内へとその全てを素早く吸収する。
他の国民からは、一瞬の出来事であり、熟練した剣豪の如き、眼力があれば話は別だろうが、一般人からすれば、何が起きたか理解すら出来ないだろう。
その場にいた他の兵士も同様であり、何が起きたか理解出来ないと言った表情を浮かべている。
そのタイミングで私は、その場にいる民衆に対して声をあげる。
「さぁ、理解したでしょ……貴方達を助ける存在はいないの……私が助けるのはこの1回のみよ」
この言葉に、ケストア国民は僅かな沈黙を余儀なくされた。
当たり前が崩壊した事実をどう言葉にしたらいいか分からなかったからだろう。
そんな沈黙を打ち砕いたのは、他の兵士達の殺気混じりの怒号であった。
「ふざけやがってッ! 勝手を抜かすなァァァ!」
「皆で囲めッ! あの紫髪の女が頭だ、捕まえて首を晒すぞ!」
門を護る兵士達が一気に姿を現すと、私達を取り囲むように武器を構える。
はっきり言って、死に急ぐ連中の相手はダルいのよね。
「まぁいいわ、この場に居る全員に対して、警告するわ。
死にたくないなら、動かないでね……動いたら、首が飛んじゃうかもしれないから」
私の言葉に、ケストア国民はピタリと動きを止めた。
正式には、私の放つ威圧をケストア国民にのみ向けたせいで動けないと言うべきだろう。
威圧の制御は本当に面倒なんだけど、今回は目撃者の存在が必要になるから我慢してやってる感じだ。
逆に言えば、威圧を与えられなかった兵士達は、私の発言を聞き、僅かに躊躇っているのが分かるが、引く気はないらしい。
「ふふっ、動かないの? やっぱり私にビビっちゃったのかしら?」
煽るように笑みを浮かべた瞬間、クイーン達、三人もクスクスと笑みを浮かべる。
兵士からすれば、一瞬で面子を潰された形になり、一人の兵士が怒りのままに駆け出して来る。
その瞬間、駆け出した兵士の真横から、凄まじい勢いで片手斧の刃が振り抜かれる。
振り抜いた斧の主は、キングである。
「おい、いきなり大将に剣を向けるな、俺達を倒してからが筋だろうが?」
キングの言葉に、兵士を取り囲むようにフードを被っていた擬人化したゴブリン軍団が姿を現す。
一人の上位ゴブリンがキングの得物を手渡し、キングは巨大な戦斧を手にするとニヤリと笑みを浮かべる。
「あら、キングもそんな楽しそうに笑うのね? やっぱり(モンスター)本能ってやつなの?」
「馬鹿を言うな。俺は俺だ、本能かは知らんが、ダンジョンの外で得物を使うのが嬉しいだけだ」
私にそう語るキングの表情は擬人化しているのに、まるでモンスターのように見える。
他の者達からは、更に恐ろしく見えているだろうが、本人には黙っておこう。
どちらにしても、形勢逆転となり、私達は門を開放する。
可哀想だが、門兵の方々には、此処で人生をリストラさせて貰った。
運が良ければ、私やキングみたいに別の世界で復活できるだろうから、再スタートに期待かな。
ガレル側の扉が開かれると同時にケストア国民が首都【イザ】から駆け出して行く。
最初に駆け出した者達は、はっきり言えば賢いと言える。
戦場になる可能性がある【イザ】に残るよりも、形はどうあれ、大陸の端に存在するガレルに移動するのが最善策と言えるからだ。
そんな【イザ】と国境を隔てるサザル公国側から、風を切るように雲を切り裂き巨大な空船が複数姿を現す。
先頭のガレオン船を思わせる巨大空船を筆頭として横並びに並べられた大空船団が姿を現す。
中央に超巨大空船が陣取り、左右に大型空船が二隻づつ並び、中型空船が八隻、小型空船が八隻も同様に左右ならんでいる。
空に姿を現した大船団を地上から見上げるケストア国民達は顔を蒼く染める。
上空から、拡声魔法を通してケストア王国中に力強い女性の声が響く。
「聞けッ! ケストアの民達よ。
私は、サザル公国、サザン家が第三女、エリナ・フィル・サザンであるッ!
我々はサザル公国より、国際救出要請を受諾し、救援にきたサザル公国、最強にして最大のサザル大空船団である!」
サザル公国、サザル大空船団。
巨大空船には、数千の戦闘員が同乗しており、武装は超大型魔導砲台が搭載されており、数百人の魔導士達が魔力を注ぐ事で発射可能となる。
巨大空船一隻のみで、他国の城や街を一晩で灰にする事すら可能であり、巨大空船一隻の為にケストア王国を含む四大国家はサザル公国の存在を認めたとも言える。
更に大型空船にも街を沈黙させる程度の装備が与えられており、同乗人数が少なくなるが、かなりの戦力となっている。
中型と小型に関しては、補充や空中で整備等を担当する船と戦闘用の船に別れており、巨大空船が超大型魔導砲台を発射する際には、鎖で連結し反動による船体の後退を防ぐ役割りもになっている。
「即ちッ! 我々は今より、武装放棄しない者を危険排除の対象とする。
ケストア王国に対しても同様であり、我々は忠告する! 敵対行動とみなした時点で攻撃をする! 死にたくないなら、武装放棄しなさい!」
なんか、うるさい奴が参戦してきたわね、まったく……
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