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砂漠の地下へ・・・3

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 クロミ率いる調査隊は、三チームに別れて三方向へ、調査を開始する。

 余ったメンバーは待機となり、入口であり、出口でもある脱出ポイントとなる穴を警戒する役目となる。

 クロミは、私と念視と念話を続けながら、調査を行い、地下の構造を調べていく。

『クロミ、"地図作成マッピング"とかは、しないの?』

『"地図作成マッピング"なんだけど、上手く発動しないんだよね、多分、ウチには使えないのかもね、ダメなコピーだよね、許せ本体』

 クロミは、そう語るが、実力は間違いない事は理解している。
 地下が特殊なのだと思うと更に心配になるわ。

 そんな念話をしながら、クロミのチームは通路で一度停止する。

 壁に違和感を感じるのか、クロミ達は壁を調べ始める。

『どうしたのよ? 壁に何かあるの』

『うーん、確信は無いんだけど、カビ臭さが少し変わった気がするんだよね、通路以外に壁しかないし、少し気になる感じかな』

 そんな念話をしていると、クロミの部下が壁にダイヤル状になった丸いブロックを発見する。軽く触ると微かに動く事を再確認する。

『本体~ビンゴだよ。何かありそうだよ。とりあえず、回せるか確かめるね』

 クロミが慎重にダイヤルに手を当て、"鑑定"を発動する。

 ダイヤルに触れたからだろうか、なにか理解した様にクロミが頷く。

『本体、この壁は鍵みたい。上手く回せば入口が開くみたいなんだけど、上手く開く自信がないんだよね……どうしよ、あはは』

『入口はわからないの?』

『う~ん、分かるんだけど、壊していいの? 後で調べたくても、調べられないってパターンに、なっちゃうよ?』

 あ、私に気を使ってるんだ。

『構わないわよ。やりたいように調べて』

『本体ってば、マジに最高じゃん。なら、暴れさせてもらっちゃおうかな!』

 次の瞬間、壁に手を当てたクロミ、力任せに壁を奥に押し込む。

 ピキ……ピキと、音を鳴らす壁、それは次第に激しい音に変わり、限界を超える負荷が掛かると最後は悲鳴をあげるように、壁が崩壊する。
 通路の壁が隠し通路になっており、クロミ達は入口から内部を調べる為、調査を続行する。

 そんな時、私は背後から肩を叩かれる。

 私の肩を叩いたのは、ロアルであった。

「偉大なる主、パンド~ラ様! 言われていた通り、砂漠周辺の魔石の回収が無事に済んだのである。まさか、本当に見つかるなんて、このド・ロアル・デス! も、びっくりデェスッ!」

「しかし、予想よりも、胸糞悪い物が出てきてしまったのであるが、なんとも、アレが人間の考えた事ならば、我輩達、魔に属する者に人も入れねば、ならなくなるのである」

「なんとも言えないわね、とりあえずは、報告感謝するわ。ロアルありがとう」

「お褒めの言葉に、最高のポージングであ~るッ!」

 私はクロミとやり取りが始まった直後に、追跡は無駄になると確信した為、ロアルに対して、分身達に「砂漠にある魔石回収」を命令させておいた。

 前回の戦闘で、かなり回収し忘れていたからだ。
 黒い砂漠に生息していたモンスター達は、私のダンジョンには吸収されない、つまり倒したモンスターも、魔石もそのままになっている。

 それを回収しないなんて勿体なすぎるじゃない。

 ただ、今回、ロアルに探させたのは、巨大鬼の魔石よ。
 巨大鬼からは既に魔石を手に入れていたわ、かなり巨大で綺麗な魔石だったから、私もびっくりしたもの、でも私が探させたのは、普通サイズの魔石になるわ。

 巨大鬼には、無理矢理、造られた様な魔力の痕跡があった。

 つまり本来の核になる魔石と後から無理矢理取り付けられた魔石、最低でも、二つの魔石が巨大鬼の体内に存在していたんじゃないかと考えたの。

 その結果はビンゴよ。ただ、予想外だったのは、各関節に魔石が埋め込まれていた事実ね。
 巨大鬼は、黒いオーラで全身が分からなくなっていた。
 ロアルからの報告には、オーラの消えた巨大鬼の体は無数と言うには余りに多すぎる縫い目と繋ぎ目があり、何者かによって体すら作り出された事は明らかになっている。

 興味はあるけど、気分のいい話じゃないわね。

「ロアル、巨大鬼についてだけど、ジャバとガマ爺、あと、キングにも連絡して、繋ぎに使われたモンスターを分かる範囲で構わないから、調べて頂戴。頼むわよ」

「うむ、かしこまりました! 今すぐに動くのである!」

「あ、あと、ヘルリーパーにも、来るように伝えて頂戴」

「御意、わかったのである」

 ロアルが私の側を離れるてから直ぐ、ヘルリーパーが私の前に姿を現す。

「お呼びと聞き、参じました。どうなされたのですか?」

「わざわざ、ありがとうね、ヘルリーパー。貴方には屍を操る力があるわね、声なんかも聞けるのかしら?」

「……声ですか? 確かに、強い感情があれば聞けますが、全てでないのが事実です」

「分かったわ、もしかしたら、その力を使う時も来るかもしれないわね」

 軽く考えた後、静かに息を吐くとヘルリーパーにも、ロアル達に合流させる。

 話が一段落すると、クロミ側から念話が再開される。

『本体も大変だね。あと、そっちが話してる間に、隠し通路をすすんでるんだけど、まるで牢屋だよ、マジにヤバい雰囲気だよ』 

 クロミは、少し惹き気味に語る。

『牢屋か、広さはどれくらいあるの?』

『そうだね、6畳くらいの牢屋が隠し通路の壁いっぱいに広がってる感じ』

『かなりの規模ね、なんでダンジョン内部にそんな空間が広がってるのよ、意味わからないわね』

 謎ばかり増える地下の調査、私は更に明らかになった牢屋のせいで、更に混乱していた。

『クロミ、一度戻って頂戴、確りとしたチームを作り直して、再調査しましょう』

『えー、ここまで調べたのに、はぁ、仕方ないね。分かったよ。直ぐに戻るよ』

 クロミは、直ぐに戻る事を決めると部下達に向けて指示を出す。

 今回、クロミ達は凄くいい仕事をしている。
 しかし、地下は思った以上に厄介な場所だと理解出来た。

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