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砂漠の地下へ・・・2

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 私は早速、分身を作成してみる事にする。

 影に魔力を流しながら、私自身のイメージを確りと流し込んでいく。
 影の中で何かが動き出し、それはゆっくりと影から姿を現した。

「ハァイ、ウチの本体。ウチはアンタの分身だん。よろしくね」

 かなりアットホームな子が生まれた気がするわね。

「流石は我輩が絶対神と決めた主、パンド~ラ様。一回目から、これ程とは、まさにファンタスティックッ!」

 激しく回転するロアル、そこからのポージングで一度会話を戻す。

「いきなりで悪いわね、よろしく、私がパンドラで、こっちのムキムキな叔父ちゃんがロアルよ。でも、なんか不思議な感じね、自分が二人いるなんて」

「よろしくねぇ、あ、でも分身って、そう言うもんしょ、 あ、でも、ウチの性格は多分、本体とは、違うんかな? まあ、分からないけどさ、あはは」

 かなり明るいわね……まるで従姉妹かなんかみたいにすら感じるわ。

 見た目は想像通りなんだけど、肌は何故か小麦色で、私と並べば顔や姿はそっくりだが、明らかに違いが分かるレベルだ。

 影から生まれたからなのか、よく分からないが、瓜二つって言うよりは、なんか落ち着く感じがするわ。

「あ、そうだ、名前とかないの! ウチは、名無しなの! ねぇねぇ~本体ぃー」

「むむむ! いきなり名前を求めるなど」

 ロアルが話を割って入って来ようとした瞬間だったわ

「ロアルっていったやん? ウチと本体が話してるんよね、邪魔しないで、はい! お口にチャック!」

 次の瞬間には、ロアルがチェーンでグルグル巻きにされている。
 口には布が巻かれており、顔には目隠しと徹底している。
 単純に私のスキルなのだが、あまりにアッサリとロアルが捕まった事に驚きだわ。

「ふふふ、女の子の話に首を突っ込んだから、酷い目に合うの刑よ。
 さて、本当に名前頂戴よ~名前ないとやる気出ないよぅ~」

 名前と言われても……なんかいいのあったらなぁ、悩むわね。

「え、な、なら、クロミとか?」

「え~安易じゃない? でも、名無しよりはいっか、ならクロミでよろしく~」

 そう言いながら、満面の笑みでVサインをするクロミ。

「名前くれるとか、本当に本体は良い奴じゃん。で、なんでウチを作り出したん?」

「あ、そうだったわ。本題を忘れてたわ、貴女に、調査に行って欲しい場所があるのよ」

 そこから私は、地下を調査して欲しい事実を伝え、更にそこが危険な場所かも知れない事実を伝える。

「ふーん、つまり、マジに大変そうなんだね。まあ、言ってみれば分かるっしょ! それに私ってばさ、本体の分身だし、かなり強いんだしさ」

 クロミは笑ってみせると、私同様に、影魔法を使いながら、浮遊してみせる。

「本体~ウチってば、基本的なスキルなんか、全部コピーしてるから、マジに安心してってば、でも部下は欲しいかな?」

 そう語るとクロミは、魔力を使い、クロミ自身の影から、大量の影の兵士を作り出していく。

「ウチってば、凄くいい感じじゃん! 自分の才能にびっくり、って、本体の才能か、とりあえず、行ってくるよ。帰りを待っててねぇ~」

 まるで嵐のように去っていくクロミと影軍団。

 クロミの使った拘束スキルが解除されると、ロアルが自由を取り戻す。

「酷い目にあったのである。主パンド~ラ様、名前を与えたのは、余りに危険な行為かと思われますが」

 深刻そうな表情でそう私に語るロアル。

「よくある、名前を与えると強くなるとかってやつ?」

「何の冗談を、オホン、いいであるか、本来の名前とは自身の存在を証明する為の物なのである、即ち、名前とは生きる事を許されて初めて与えられるのであ~る」

「ふむふむ? それで?」

「分身に、名前を与えれば分身は分身出なくなるのである。即ちそっくりな他人になるのである! 主パンド~ラ様は、御自分と同じ強者を、生み出し、自由を与えたと言えるのである」

 うーん、それは、結構やばい話かもしれないわね。

「どうしよう、私と同じ力とか、マズイわよね?」

「うーむ、よろしい。増援と言う名目で我輩の部下達を追わせるのである。とりあえず、様子を見るのであ~る」

 ロアルはそう言うと、三十体ばかりの泥の兵士と、自身の泥分身を一体作り、クロミを追跡させる。

 私はその後の流れを待つつもりだった。

 しかし、私もロアルも、予想していなかった出来事が起こる。

 突然、私に念話と念視を合わせた、オリジナルの念話が飛んできたの。

『やほ、本体~クロミちゃんだよ~ もうすぐで穴に着くからビバテレビ電話してみました、てへっ』

 私の頭に直接流れる光景は今まさにクロミが見ている光景なのだ。

 砂漠を凄まじい勢いで移動しているクロミは、影で二人乗りサイズののあるサーフボードを作り、部下を一人後ろに乗せている。
 部下は風魔法を放ち、無限に風を利用して加速していく。

 部下達も同様に二人乗りで、帆のあるサーフボードに乗り、クロミに続いているのが分かる。
 全員がリュックの様な物を装備しており、クロミの能力の高さが再確認できる。

『凄い速さで進むわね? あ、これね! 本体の記憶にあったやつを真似したの、テレビ? ってヤツの記憶かな?』

 私の分身なのに、優秀だわね。
 変に隠し事する方がリスキーな気がするわね。

『あと、増援を送ったんだけど、追いつけないかも知れないわね。無駄になるわね』

『あ、マジで、本体てば、優しいじゃん。もし、ウチらが失敗しても、情報は絶対に届けるから、無駄なんかにならないし。頑張るからね』

 声でわかる、クロミからの視線でしか念視は見えないが、笑いながら覚悟を決めた瞬間だと感じる。

『絶対に帰って来なさいよ!』

『絶対って、本体的に命令みたいな?』

『命令じゃないわよ。心配よ、いいわね! 約束よ』

『分かったよ、まあ、待っててよ! 飛び切り凄い報告してあげるからさ』

 そんな念話の最中、巨大な穴がクロミの視界を通して念視される。

『今から中に降りるよ。このまま念視を繋いでおこうか?』

『それは助かるけど、負担とか、大丈夫なの?』

『それは問題ないかなぁ? それに"百聞は一見にしかず"みたいな?』

 クロミはそのままの状態で地下に向かうことを決めると、穴の周りから階段が確認された位置に移動する。

 確かに階段らしき物があった痕跡や、下の方に崩れ掛けた階段の一部が目視できる。

 壁は外からは分からないが、強化された巨大なレンガ状のブロックが無数に積まれて作られており、元々自然に作られた穴でない事が即座に理解できる。

 クロミ達は地上から、用意していたリュックの中からロープを取り出す。

 ロープを近くにあった岩にしっかりと結び、部下達がそれを確認するのが分かる。

 全員で用意したロープが次々に連結され、確りと結ばれたかを皆が確認していく。

 全ての用意が整うと、クロミ本人が穴の地下に向けて、降りていき、ロープを部下達が支えながら、ゆっくりと下降させていく。

 ある程度、降りながら数メートル単位で壁に穴を開ける。
 そして、初級の光魔法を作り出す。
 球体状作られており、魔力を十分に与えてやれば数時間は消えない、そんなライトの様な球体を設置していく。

 それを部下達を含めて五箇所から五人で同じ様に作業をしながら、下降を繰り返して行く。

 光のリングが数メートル単位で下に伸びていく。

 次第に地下に続く穴がが明るく照らされていく。

 大人数だからこそ、できる調査の仕方に私は感心していた。

 そして、クロミ達は2時間程で地下に到着する。

 かなりの速度で、下降と作業をしていたが、螺旋階段で下に降りる事を考えたなら、更に数時間はかかるだろう。

『やほ、本体~、地下についたよ。凄く、カビ臭いし、なんか、ジメジメしてるから、地下水が流れてるかもね』

 クロミは、そう言いながら、周囲を警戒しつつ、無数の通路があるのを確認する。

『とりあえず、調査してみるよ』

『気をつけなさいよ?』

『変わってるって、にゃはは』

 クロミは、そこから、上に待たせていた部下達を次々に降下させていく。

 クロミ達は作業の関係状、ゆっくりだったが、二便目からは、ジャンプによる降下になる。

 光が存在する為、影でパラシュートと、蜘蛛の巣の様な網を無数に作り出し、無事に地下へと到着していく。

 クロミ達、調査隊がある程度、地下に到着する。
 地下の調査が開始される。



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