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地下水路とダンジョン・・・3

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 私がダンジョンへ戻ると、ガストとセイナが出迎える。

「お帰りなさいませ。パンドラ様、ダンジョン内部は問題ありません」

「お帰りなさいませ。えっと、村も問題ありません。畑も耕し始めましたので、上手くいってます!」

 ガストの真似をするセイナの姿は可愛らしい物があるわね。
 連れてきて、半日程度だけど、もう畑を耕し始めたのね? ちゃんと休んだりしてるか、気にしてあげないとかな?

 セイナ達の存在を気にしつつ、私が歩き出すと、私より先に戻っていたクイーン達が、直ぐに私の帰りに気づき姿を現す。

「主様、お帰りなさいです」

「ご主人様! 沢山お疲れ様だよ~」

「御館様、ご無事の帰還、嬉しく思います!」

 元気に出迎える三人の姿に私も笑みを浮かべる。

「皆もありがとうね。詰まらない事に付き合わせてごめんなさいね」

 私がそう口にすると、三人は即座に膝をついて、頭を下げる。

「そんな事はないのです!」

「クイーンちゃんの言う通りだよ~ボク達ってば、ご主人様の為ならなんでもやるんだよ!」

 「そうで御座います! 我等の命は、マスターである御館様の為に存在しているのです!」

 改めて、忠義を語る三人の姿に私は喜びを感じながらも、マスターになる前のような上下の存在しない関係には戻れないのだろうと、少し悲しい気持ちも感じる。

 そんな私の頭に、ピョンっと、ガマ爺が飛び乗る。

「なんちゅう、顔をしよるんよ? 三人揃って、心配しておるんがわからんのかいな? 覚悟を決めたんじゃから、シャキッとしちゃりや!」

「分かってるわよ、まったく、ありがとうね。ガマ爺のその癖しかない言い方が凄く嬉しいわよ」

 気を取り直し、ダンジョン一層に作られたセイナ達の村に移動する。

 村と言っても、キングの部下である建築ゴブリン達が建てた木と巨大な葉っぱが重ねられた屋根で作られたシンプルな家が並んでいる感じだ。

 そんな出来たての小さな村の中で一番大きな家に私は通される。
 床は、しっかりと切り揃えられた木材が使われており、地面から一段あがった造りになっている。

 私は皆が見渡せる位置に座るとガマ爺も頭の上で座り直す。
 そして、クイーン達三人と、ガスト、セイナが続いて座り、入口から、キング、ジャバ、セーレが室内に入り腰掛ける。

 今回はこれからの流れを説明する為、三層と二層の管理を任せてあるセーレと、新たに仲間になった人族の代表であるセイナにも参加して貰っている。

 ダンジョン内部の実力者と管理者が集まると、私はゆっくりと深呼吸をした後に本題を語る。

「みんな、集まってくれてるわね。今回の一件は私の暴走から、始まってしまった事なのに、全力を出してくれた事を感謝するわ」

 私の言葉にガマ爺が軽く頷き、その場にいた皆も、静かに頷いて見せる。

「これから、私達はガレルの地下に存在するダンジョンを調査する事になるわ。ガレルの地下水路への道は、スラム以外の道を塞いできたけど、復旧されれば、調査が面倒になるわ」

 私の説明に対して、セーレが手をあげる。

「目指す目的は理解しましたが、何故、私が呼ばれてるのかが、分からないのですが?」

 そのセーレの言葉にガマ爺が、溜め息を吐く。

「ふぅ、相変わらずの脳足りんじゃの? ナメクジには、難し過ぎたかのぉ?」

「ガマ爺様! 相変わらず、顔と同じで口が悪いようで! 品性が疑われますよ」

 セーレが言葉を言い終わると、ガマ爺が私の頭から、床に降りると同時にセーレより僅かにデカいサイズに巨大化する。

「言いよったな! ナメクジ女がァァァ! ぐにゃぐにゃの体を更に潰してやろうかいやぁ? アアァ?」

 ガマ爺が苛立ちから、軽く睨みをきかせ、手を前に伸ばすと、セーレがビクッと体を震わす。

 見てられないと言わんばかりに、ジャバが立ち上がり、二人の前に移動すると手持ちの扇子を広げ、両者に割って入る。

「そこまでにして下さいませ。姫の御前で、最階層主であったガマ爺様ともあろう方がやり過ぎですよ。
 セーレ、貴女も少しは自重なさい! 口は災い、しかし、互いに放ったならば、どちらが悪いなどは存在しませんよ」

「ぐぬぬ、じゃかぁしい! チビ蛇が! お前も潰しちゃろか!」

「やれるなら、お殺りなさい! 幾ら最階層主様が相手とて、簡単に私を殺れるなどと、考えませぬように、私の命は姫の為の物、無駄死になど致しませぬ!」

 ガマ爺を前に、一歩も譲らないジャバ。

 流石にまずいと思い、私が動こうとした瞬間、セイナが口を開く。

「あ、あの、皆さんはパンドラ様の大切な仲間なんですよね、なのに争うなんて、パンドラ様が悲しみませんか……と、思うんですが……」

 その言葉に、キングとガストが頷いて見せる。

 何より、私が動こうとした瞬間から、クイーン達、三人は既に動く用意をしていた。

 皆が一度座り直すと、ガマ爺も、頭を軽く描きながら、謝罪を口にする。

 セイナの一言が、一触即発を止めた事実に私はビックリさせられた。

「セイナ、アンタ勇気あるわね? 普通、口出しできないわよ、あの三人相手に」

 私はくすくすと、笑いながら語る。

「いえ、次は遠慮したいです、心臓に悪いので……」

 セーレに私は考えを伝える為、喋り始める。

「先ず、ダンジョンの二層、三層を管理しているセーレを呼んだのは、これから調べるダンジョンが私達の探すダンジョンなら、階層が増える事になるわ。その時の為に伝えたくて呼んだのよ」

「ああ、確かに。いきなり増えても困りますものね。納得ですわ」

「それと、一層をセイナ達の村にしてあるから、守りに対しても力を貸してあげて欲しいの。問題ないとは思うけど、予想通りに行かない場合もあるからね」

「はい、このセーレに【毒王の庭・ポイズンガーデン】ダンジョンの守りはお任せ下さいませ!」

 話が終わると、その日は、ゆっくり休むように私は皆に伝える。

 疲れた一日が終わりを迎える。


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