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絶望と希望・・・3
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ガストは、静かにマリアだった物をその場に寝かすと、私が与えた選択肢から、三つ目の、ダンジョン内での復活を選択した。
「どちらにしても、記憶なんかは戻らないわよ、 いいのね、ガスト?」
「はい、今のまま、別れを受け入れられないのです、悔しく、悲しく、もう一度だけでも、動き笑うマリアが見たい……愚か過ぎる親であると、分かっております」
「ふふ、いいじゃない! なら、コレを持たせてからダンジョンに吸収させるわよ」
私は、一粒の花な種をガストに手渡す。
「パンドラ様、コレは?」
「コレは試練の神殿で手に入れた種よ。アナタの鎧と同じ場所で見つけてしまっておいた物よ。鑑定してあるから安心しなさい」
鑑定して分かっていることは、種は魔草の一部、つまりダンジョン内の花の種だ。
しかも、本来ならば、九層で育つ意志を持つ花、アルラウネの種である。
種と共に、マリアの肉体がダンジョンに吸収されれば、自然と姿を模して復活するだろう。
ある意味ギャンブルとも言える行動だ。
それでも、ガストからすれば、救いに感じるだろう。
ガストは自身の冷たく硬い鎧の腕で、優しくマリアの心臓部分に種を埋め込む。
その背中は、悲しみと辛さが滲み出るように見える。
私は、ガストを連れて、ダンジョン内を移動する。好きな場所にマリアだったそれを吸収させて構わないと伝える。
ガストが選んだのは、一層の奴隷達がクラス事になった村のすぐ裏手であった。
理由は聞くまでもない。まあ、予想になるが、マリアを寂しくさせたく無かったのだろう。
私はそれを承認する。
ガストは、頭を下げるとマリアだった物を地面に寝かせると、静かにその場に座り込む。
私はその場を後にする。ガストはマリアがダンジョンに吸収されるまでの間、その場を離れる事はないのだろう。
クイーンからの念話が届く。
『どうしたの?』
『主様、スラムの制圧が完了です。これより、ラクネと共に、戻りますです』
『分かったわ。気をつけて戻りなさい。お疲れ様』
クイーン、ラクネは、無事にスラムを制圧したようね。
あとはデュバルを使えば、ガレルの町でも動きやすくなるわ。
まあ、あまり長いする気はないけどね。
私達の目的は本来はダンジョンの欠片探しだもの。
今回みたいなイレギュラーは、ごめんだわ。
しかし、念話が終わろうとした瞬間だった。
念話がクイーン達に向けられた会話を拾い、私へと送信する。それは知らぬ者達の慌ただしい声と、焦りに満ちたものであった。
『お前達、何をしているか! スラムで喧嘩と聞いていたが、こいつは?』
『大変だ、全員、死んでやがる。応援を呼べ!』
『全兵は、敵を包囲! 逃がすなよ』
ここまでの会話から、私はクイーン達が予想していない者達(冒険者ギルド)以外の何かに接触したと推測する。
数分だが、念話が途切れる……
クイーンとラクネの強さならば、問題は無いと思いたいが実際にどうなるかは、その場の勝敗でしか分からないのだ。
僅かな不安が時間の感覚を更に長いものへと感じさせていく。
すると念話が再開される。
『主様、いきなりごめんです』
申し訳なさそうな、落ち込んだ声に私は、一瞬だけ、二人の身に何かあったのかと、心配する。
『クイーン、大丈夫なの? ラクネも無事のの?』
『ごめんなさいです、主様への大切な報告の最中だったですが、有象無象のクソ野郎達が、話しかけて来たのです』
『構わないわ? それで二人とも、大丈夫なの?』
『あ、はいです。15、6人くらいですから、ラクネがアッサリと八つ裂き、いえ、十六裂き、くらいにしてしまったです』
問題は無いみたいね。でも少し気になるわね。
今の冒険者ギルドで、スラムに対して、そんな人数を出す余裕があるのかしら?
『死体から色々調べるから、一番偉そうにしてた奴を持ち帰ってきて、あまり損傷してないと助かるわ』
『了解です! あ、ラクネ、偉そうなのを持ち帰りになったですから、バラバラにしたらダメです!』
ラクネに注意するクイーンの声と同時に念話が終わる。
それから、一時間程で、クイーン、ラクネの二名がダンジョンへと帰還する。
戦利品の偉そうに指揮をしていた男だった物、1つ。
次にクイーンとラクネを襲った者達が全員身に着けていたというワッペンが15枚。
15枚の理由は、16人の内、クイーンが持ち帰った男だった物がつけている物だけが別の色で作られていたからである。
ワッペンのには、ライオンの後ろにクロスする様に、黄色の宝玉がついた二本の剣が描かれ、その後ろに更に城を思わせる建物の描かれた物である。
指揮をしていた物だけが、二本の剣の柄と宝玉の色が緑になっている。
私は、死体に対して、鑑定を発動する。
・名前 オルドア
・性別 男
・種族 人間
・職業 ケストア王国 騎士団所属 小隊長
・耐性 恐怖耐性【中】 睡眠耐性【大】
・スキル 団体戦術【小】 剣術の心得【中】 斬撃 中段切り
・説明 ケストア王国の騎士団所属、15人の部下を任された小隊の隊長である。小隊は基本、6小隊を2つの部隊にして3つのチーム分ける、3の部隊に中隊長がおり、小隊長を含む96名を三人の中隊長が指揮を取り、更に中隊長、三人に対して指示を出す大隊長が存在する。
オルドアは100人からなる部隊の小隊長である。
説明を読む限り、最悪だわ、希望の欠片もない絶望フラグじゃないのよ。
なんで、一日でケストア王国の騎士団が、ガレルの町に現れるのよ、意味わからないわ……はぁ、とりあえず、この死体をどうするか、考えないと、ついでに、スラムの死体もまずいわね。
まだまだ、忙しいわね。
「どちらにしても、記憶なんかは戻らないわよ、 いいのね、ガスト?」
「はい、今のまま、別れを受け入れられないのです、悔しく、悲しく、もう一度だけでも、動き笑うマリアが見たい……愚か過ぎる親であると、分かっております」
「ふふ、いいじゃない! なら、コレを持たせてからダンジョンに吸収させるわよ」
私は、一粒の花な種をガストに手渡す。
「パンドラ様、コレは?」
「コレは試練の神殿で手に入れた種よ。アナタの鎧と同じ場所で見つけてしまっておいた物よ。鑑定してあるから安心しなさい」
鑑定して分かっていることは、種は魔草の一部、つまりダンジョン内の花の種だ。
しかも、本来ならば、九層で育つ意志を持つ花、アルラウネの種である。
種と共に、マリアの肉体がダンジョンに吸収されれば、自然と姿を模して復活するだろう。
ある意味ギャンブルとも言える行動だ。
それでも、ガストからすれば、救いに感じるだろう。
ガストは自身の冷たく硬い鎧の腕で、優しくマリアの心臓部分に種を埋め込む。
その背中は、悲しみと辛さが滲み出るように見える。
私は、ガストを連れて、ダンジョン内を移動する。好きな場所にマリアだったそれを吸収させて構わないと伝える。
ガストが選んだのは、一層の奴隷達がクラス事になった村のすぐ裏手であった。
理由は聞くまでもない。まあ、予想になるが、マリアを寂しくさせたく無かったのだろう。
私はそれを承認する。
ガストは、頭を下げるとマリアだった物を地面に寝かせると、静かにその場に座り込む。
私はその場を後にする。ガストはマリアがダンジョンに吸収されるまでの間、その場を離れる事はないのだろう。
クイーンからの念話が届く。
『どうしたの?』
『主様、スラムの制圧が完了です。これより、ラクネと共に、戻りますです』
『分かったわ。気をつけて戻りなさい。お疲れ様』
クイーン、ラクネは、無事にスラムを制圧したようね。
あとはデュバルを使えば、ガレルの町でも動きやすくなるわ。
まあ、あまり長いする気はないけどね。
私達の目的は本来はダンジョンの欠片探しだもの。
今回みたいなイレギュラーは、ごめんだわ。
しかし、念話が終わろうとした瞬間だった。
念話がクイーン達に向けられた会話を拾い、私へと送信する。それは知らぬ者達の慌ただしい声と、焦りに満ちたものであった。
『お前達、何をしているか! スラムで喧嘩と聞いていたが、こいつは?』
『大変だ、全員、死んでやがる。応援を呼べ!』
『全兵は、敵を包囲! 逃がすなよ』
ここまでの会話から、私はクイーン達が予想していない者達(冒険者ギルド)以外の何かに接触したと推測する。
数分だが、念話が途切れる……
クイーンとラクネの強さならば、問題は無いと思いたいが実際にどうなるかは、その場の勝敗でしか分からないのだ。
僅かな不安が時間の感覚を更に長いものへと感じさせていく。
すると念話が再開される。
『主様、いきなりごめんです』
申し訳なさそうな、落ち込んだ声に私は、一瞬だけ、二人の身に何かあったのかと、心配する。
『クイーン、大丈夫なの? ラクネも無事のの?』
『ごめんなさいです、主様への大切な報告の最中だったですが、有象無象のクソ野郎達が、話しかけて来たのです』
『構わないわ? それで二人とも、大丈夫なの?』
『あ、はいです。15、6人くらいですから、ラクネがアッサリと八つ裂き、いえ、十六裂き、くらいにしてしまったです』
問題は無いみたいね。でも少し気になるわね。
今の冒険者ギルドで、スラムに対して、そんな人数を出す余裕があるのかしら?
『死体から色々調べるから、一番偉そうにしてた奴を持ち帰ってきて、あまり損傷してないと助かるわ』
『了解です! あ、ラクネ、偉そうなのを持ち帰りになったですから、バラバラにしたらダメです!』
ラクネに注意するクイーンの声と同時に念話が終わる。
それから、一時間程で、クイーン、ラクネの二名がダンジョンへと帰還する。
戦利品の偉そうに指揮をしていた男だった物、1つ。
次にクイーンとラクネを襲った者達が全員身に着けていたというワッペンが15枚。
15枚の理由は、16人の内、クイーンが持ち帰った男だった物がつけている物だけが別の色で作られていたからである。
ワッペンのには、ライオンの後ろにクロスする様に、黄色の宝玉がついた二本の剣が描かれ、その後ろに更に城を思わせる建物の描かれた物である。
指揮をしていた物だけが、二本の剣の柄と宝玉の色が緑になっている。
私は、死体に対して、鑑定を発動する。
・名前 オルドア
・性別 男
・種族 人間
・職業 ケストア王国 騎士団所属 小隊長
・耐性 恐怖耐性【中】 睡眠耐性【大】
・スキル 団体戦術【小】 剣術の心得【中】 斬撃 中段切り
・説明 ケストア王国の騎士団所属、15人の部下を任された小隊の隊長である。小隊は基本、6小隊を2つの部隊にして3つのチーム分ける、3の部隊に中隊長がおり、小隊長を含む96名を三人の中隊長が指揮を取り、更に中隊長、三人に対して指示を出す大隊長が存在する。
オルドアは100人からなる部隊の小隊長である。
説明を読む限り、最悪だわ、希望の欠片もない絶望フラグじゃないのよ。
なんで、一日でケストア王国の騎士団が、ガレルの町に現れるのよ、意味わからないわ……はぁ、とりあえず、この死体をどうするか、考えないと、ついでに、スラムの死体もまずいわね。
まだまだ、忙しいわね。
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