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試練の神殿・・・3
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船の前方から、頭を出して、怒り狂う顔のダーク・クロコダイル・ママさん。
当然、興奮状態で話なんか、通じなさそうなんだけど……
『ママァァァ! ママーー!』
このチビちゃんのママなのは、理解出来るわ、たださ、興奮してる相手に子供返しても大丈夫なの、子供ごとパクリなんて笑えないわよ!
「返して、私の子を返して!」
ハッキリわかる! 意識はしっかりしてるんだわ、なら話し合いが通じる!
「どうするんだ、俺にはワニの言葉はわからんのだが、嬢ちゃん」
戦斧を構えるキングの姿に慌てて私は前にでる。
「ストップッ! 話し合えるわ!」
私はとりあえず、子供をクロコダイル・ママに返す事にしたの。
『ママ~』と頬を擦り寄せる姿は、返して良かったと心から感じたわ。
それから、クロコダイル・ママと話し合いになったの。
私達を船に乗せて、上陸まで行って欲しいとお願いしたの。
理由は下流から船がきた事から、下流はオークの支配してる基地みたいな物だと考えたからよ。
それに、下流に戻れば、またクロコダイルの親子が酷い目にあうかもしれないし、それは嫌だもの。
交渉が終わり、私達は落下した水路の先にある通路まで船で進み、降りる事にしたわ。
勿論、船はボロボロに壊させて貰ったわ。
ダーク・クロコダイル親子とも、此処でお別れになったわ。
なんでも水路の先はジャングルエリアらしいの、意外なところで繋がってたのね。
通路から本来のルートまでの道を確認する。
水路を通ったおかげで、水路の真上のマップまで手に入ったのは、ラッキーだったわ。
私の探す宝箱の位置はまだ見えないけど、試練の神殿は円状に造られているから、未だに調べてないエリアは限られている。
逆に言えば水路のおかげで半分が埋まったようなものだもの。
今いる通路から道なりに進めば裏手に出れる。そうすれば、ほぼ八割のマップが埋まるわ。
「キング、他の皆も大丈夫?」
私が気掛かりなのは、キングとゴブリン達である。
オークとの戦闘で大部分の中位ゴブリンがやられ、上位ゴブリンも半数がやられ、残った半数もかなりの傷を負っている。
「キング、今から裏手に向かうけど、私達、四人で向かうわ。キング達はこの場で待ってて欲しいの」
「ふざけんなよッ! いきなり何を言ってやがる!」
激怒するキング、しかし、他のゴブリン達は、反応に困るように下を向いていたわ。
ゴブリンは本来、数の暴力にて戦う種族であり、今の状況は本能が避けたいと信号を出しているのだろう。
『ホーネット……キングに麻酔針をお願い、ラクネ、この通路を一時的に塞ぐから、粘着糸で石を、一つの塊にして頂戴、クイーン、周囲の通路を溶かして、元の道が分からないくらいに、ドロドロにして』
私の念話に三人は小さく頷くと、キングの一瞬の隙をついて、全てを実行に移したわ。
「ぐあっ、な、何をしやが……る、くそ……」
キングが意識を失うとゴブリン達は武器を構え、私達を見つめる。
「キングを頼むわよ。あと、勝手でゴメンって、起きたら伝えて、お願いね」
そう言い残し、私達は通路の入口を塞ぎ、道を溶かしながら、先に進んでいく。
私は影を生み出したいと願い、女神からスキルの一つ"火の玉"をスキル解消したわ。
それから直ぐに、オーク達が隊列を組んで私達の前方からやってくる。
今の私は、かなり冷めてる……キングに嫌われちゃったかもしれない、全部嫌われたら、全部無くなっちゃうかもしれないのに……
心の闇を全てぶつけるように、私はスキルを発動する。
「"スキルマスター"発動、スキル作成……"毒球"と"水弾"を融合するわ」
頭の中で、毒の霧をイメージする。
〘"スキルマスター"が発動しました。スキル融合開始、イメージ適合、新スキルを取得しました。確認しますか? YES/NO〙
YES……早くして、お願い。
〘新スキル"猛毒の霧" 猛毒の霧にて敵にダメージを与え、体調不良(麻痺、毒、発熱、目眩)を発動します〙
成功ね、あとはあれかな……
私は、最初に"火の玉"を相手目掛けて、数発放つと、即座に"影移動"を発動する。
"火の玉"で生まれた相手の影に移動してから、"猛毒の霧"を一気に発動する。
"猛毒の霧"発動後、直ぐに、クイーン達の影に移動する。
タイミングをミスると私までヤバいであろう賭けだった。
上手くクイーンの影に移動した瞬間、"猛毒の霧"が最初に放った"火の玉"に触れる。
ズッガァァァンッ! っと、激しい爆音が神殿内部を揺らす。
そう、私がやった事は、"猛毒の霧"を使った誘爆だった。
普通の霧だと、爆発はしない、でも、有毒ガスを放つ"猛毒の霧"なら、話は別だわ。
私は容赦しない……私のせいで、キングの仲間を失わせたんだもん、もうあんな悔しい思いしたくない!
慌てるオーク達、でも最初の爆発で、辺りの壁に群生していた苔が燃え始め、全ての影が浮き上がる。
「 "影縫い" "影遊戯" アンタ達なんか、食べる気にもならないわ」
単なる排除、命の重さすら分からないほどに冷めた心が悲しかった。
次から次に現れるオーク達、次第に強いクラスのオークになっているのが分かるわ。
明らかに私を狙ってる。いつから? 最初からおかしかった気がする。
最初の雑魚オーク達は多分、偶然だった。
闘技場におびき寄せられるような配置、そして、闘技場での大部隊、明らかにモンスターだけの知恵で出来るものじゃないわ。
キングみたいな転生者が敵にいる、しかも私を狙うやつが。
私は目的の通路を突き進む。
探している宝箱なんて、今はどうでもいいとすら感じる、ただ……私のせいでこうなったなら、必ず相手に代償を払わせる。
歩き続けた私達は、闘技場程の広さのホールにでる。当然の待ち伏せがあり、私は敵の頭であろうオークを静かに見つめる。
「久しいな、随分と待ったぞ、エルトリア・エル・アルバー、会えて嬉しいぞ……この手で貴様を殺せるのだからな……」
「オークに知り合いはいないわ、アンタ誰よ?」
「……この醜い姿は貴様への怨みの証だッ! 貴様を引き裂いて、全てが終われば、理解もできよう!」
話にならないわね、まぁ、潰すんだけどの。
当然、興奮状態で話なんか、通じなさそうなんだけど……
『ママァァァ! ママーー!』
このチビちゃんのママなのは、理解出来るわ、たださ、興奮してる相手に子供返しても大丈夫なの、子供ごとパクリなんて笑えないわよ!
「返して、私の子を返して!」
ハッキリわかる! 意識はしっかりしてるんだわ、なら話し合いが通じる!
「どうするんだ、俺にはワニの言葉はわからんのだが、嬢ちゃん」
戦斧を構えるキングの姿に慌てて私は前にでる。
「ストップッ! 話し合えるわ!」
私はとりあえず、子供をクロコダイル・ママに返す事にしたの。
『ママ~』と頬を擦り寄せる姿は、返して良かったと心から感じたわ。
それから、クロコダイル・ママと話し合いになったの。
私達を船に乗せて、上陸まで行って欲しいとお願いしたの。
理由は下流から船がきた事から、下流はオークの支配してる基地みたいな物だと考えたからよ。
それに、下流に戻れば、またクロコダイルの親子が酷い目にあうかもしれないし、それは嫌だもの。
交渉が終わり、私達は落下した水路の先にある通路まで船で進み、降りる事にしたわ。
勿論、船はボロボロに壊させて貰ったわ。
ダーク・クロコダイル親子とも、此処でお別れになったわ。
なんでも水路の先はジャングルエリアらしいの、意外なところで繋がってたのね。
通路から本来のルートまでの道を確認する。
水路を通ったおかげで、水路の真上のマップまで手に入ったのは、ラッキーだったわ。
私の探す宝箱の位置はまだ見えないけど、試練の神殿は円状に造られているから、未だに調べてないエリアは限られている。
逆に言えば水路のおかげで半分が埋まったようなものだもの。
今いる通路から道なりに進めば裏手に出れる。そうすれば、ほぼ八割のマップが埋まるわ。
「キング、他の皆も大丈夫?」
私が気掛かりなのは、キングとゴブリン達である。
オークとの戦闘で大部分の中位ゴブリンがやられ、上位ゴブリンも半数がやられ、残った半数もかなりの傷を負っている。
「キング、今から裏手に向かうけど、私達、四人で向かうわ。キング達はこの場で待ってて欲しいの」
「ふざけんなよッ! いきなり何を言ってやがる!」
激怒するキング、しかし、他のゴブリン達は、反応に困るように下を向いていたわ。
ゴブリンは本来、数の暴力にて戦う種族であり、今の状況は本能が避けたいと信号を出しているのだろう。
『ホーネット……キングに麻酔針をお願い、ラクネ、この通路を一時的に塞ぐから、粘着糸で石を、一つの塊にして頂戴、クイーン、周囲の通路を溶かして、元の道が分からないくらいに、ドロドロにして』
私の念話に三人は小さく頷くと、キングの一瞬の隙をついて、全てを実行に移したわ。
「ぐあっ、な、何をしやが……る、くそ……」
キングが意識を失うとゴブリン達は武器を構え、私達を見つめる。
「キングを頼むわよ。あと、勝手でゴメンって、起きたら伝えて、お願いね」
そう言い残し、私達は通路の入口を塞ぎ、道を溶かしながら、先に進んでいく。
私は影を生み出したいと願い、女神からスキルの一つ"火の玉"をスキル解消したわ。
それから直ぐに、オーク達が隊列を組んで私達の前方からやってくる。
今の私は、かなり冷めてる……キングに嫌われちゃったかもしれない、全部嫌われたら、全部無くなっちゃうかもしれないのに……
心の闇を全てぶつけるように、私はスキルを発動する。
「"スキルマスター"発動、スキル作成……"毒球"と"水弾"を融合するわ」
頭の中で、毒の霧をイメージする。
〘"スキルマスター"が発動しました。スキル融合開始、イメージ適合、新スキルを取得しました。確認しますか? YES/NO〙
YES……早くして、お願い。
〘新スキル"猛毒の霧" 猛毒の霧にて敵にダメージを与え、体調不良(麻痺、毒、発熱、目眩)を発動します〙
成功ね、あとはあれかな……
私は、最初に"火の玉"を相手目掛けて、数発放つと、即座に"影移動"を発動する。
"火の玉"で生まれた相手の影に移動してから、"猛毒の霧"を一気に発動する。
"猛毒の霧"発動後、直ぐに、クイーン達の影に移動する。
タイミングをミスると私までヤバいであろう賭けだった。
上手くクイーンの影に移動した瞬間、"猛毒の霧"が最初に放った"火の玉"に触れる。
ズッガァァァンッ! っと、激しい爆音が神殿内部を揺らす。
そう、私がやった事は、"猛毒の霧"を使った誘爆だった。
普通の霧だと、爆発はしない、でも、有毒ガスを放つ"猛毒の霧"なら、話は別だわ。
私は容赦しない……私のせいで、キングの仲間を失わせたんだもん、もうあんな悔しい思いしたくない!
慌てるオーク達、でも最初の爆発で、辺りの壁に群生していた苔が燃え始め、全ての影が浮き上がる。
「 "影縫い" "影遊戯" アンタ達なんか、食べる気にもならないわ」
単なる排除、命の重さすら分からないほどに冷めた心が悲しかった。
次から次に現れるオーク達、次第に強いクラスのオークになっているのが分かるわ。
明らかに私を狙ってる。いつから? 最初からおかしかった気がする。
最初の雑魚オーク達は多分、偶然だった。
闘技場におびき寄せられるような配置、そして、闘技場での大部隊、明らかにモンスターだけの知恵で出来るものじゃないわ。
キングみたいな転生者が敵にいる、しかも私を狙うやつが。
私は目的の通路を突き進む。
探している宝箱なんて、今はどうでもいいとすら感じる、ただ……私のせいでこうなったなら、必ず相手に代償を払わせる。
歩き続けた私達は、闘技場程の広さのホールにでる。当然の待ち伏せがあり、私は敵の頭であろうオークを静かに見つめる。
「久しいな、随分と待ったぞ、エルトリア・エル・アルバー、会えて嬉しいぞ……この手で貴様を殺せるのだからな……」
「オークに知り合いはいないわ、アンタ誰よ?」
「……この醜い姿は貴様への怨みの証だッ! 貴様を引き裂いて、全てが終われば、理解もできよう!」
話にならないわね、まぁ、潰すんだけどの。
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