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試練の神殿・・・1
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セーレは、約束をその場で果たしたの。
湖にセーレが両手を大きく広げて円を描く。
円の先には、人工的に造られているであろう煉瓦の壁が見える。
『さぁ、繋がりましたよ。ゲートは一定の位置に設置されました。見張りを置いていただければ、閉じずに開いたままにさせていただきます』
セーレが涼しい顔でそう語る反面、見張りがやられるような状況になれば、私達が内部を調べていてもゲートを閉じると言うことになる。
セーレさん、この人悪女だわ。
私の表情から何かを察したようにセーレは微笑む。
『現実主義な性格なので、ゲートの死守には、それなりの方を置くことをオススメします』
悩む時間が惜しい、私はクイーン達に、念話を送る。
『三人とも準備はいい、此処から先は私の我儘だから、本当に嫌なら、ついてこなくても大丈夫よ?』
私の発言に、念話の返答が一瞬止まる。
『主様、おバカさんになられましたか?』
『御館様に失礼だぞ、クイーンよ!』
『でも、ご主人様、悲しいよ? ボク達は最後までついていくよ?』
三人は私について行くのだと、心から言ってくれた、私の我儘なのに、いい子すぎるんだから、まったく。
キングは、私達と神殿に向かう部隊と、湖で妖精を見張る為の部隊にわかれる。
同盟も、契約も、裏を返せばどんな事にも抜け道が存在する。
「なら、行くとするか。俺を含む上位ゴブリン部隊と中位ゴブリン部隊は続け、下位ゴブリンは湖の警戒だ! 敵だと判断したら容赦するなよ」
キングの命令で下位ゴブリンの半数がその場に残され残りの下位ゴブリンがゲート死守の中位ゴブリンの指揮に入る事になる。
中位ゴブリンは上位ゴブリンよりも、人数が少ない、理由は上位ゴブリンを作る方がキングからしたら、楽だからだそうだ。
自然進化の中位ゴブリンは、ホブゴブリンであり、良くてゴブリンメイジや、ゴブリンナイト、ゴブリンソルジャー程度の進化に過ぎない。
上位ゴブリンである、ゴブリンジェネラルやゴブリンチャンピオン等とは力の差は歴然だわ。
守りが決まると、私達はゲートに身を投げる。
ゲートの先には、まるでゲームの中に存在するダンジョンがそのまま存在していた。
「すごい、ダンジョンみたい」
「何言ってんだ、ダンジョンにきまってんだろ? 嬢ちゃん、頭でも打ったのか?」
キングの発言に、イラッとするも、間違いないから、言い返せないわ。
「さて、先ずは千里眼が通じるか試してくれ、出来るなら"地図作成"も頼む」
以前、神殿内部は外からの千里眼は使えなかった、内部からなら出来るかもしれないとキングが考えたからだろう。私はすぐに千里眼を発動する。
ギイィィィンっと、今まで感じた事のない音が聞こえ、そのまま痛みになり、脳内を駆け巡る。
「ひぎぃ、うあああ」
「どうした! 大丈夫か嬢ちゃん!」
「主様!」
「御館様!」
「ご主人様ッ!」
慌てて、ゴブリンクレリック達が、私の元にやってくるのがわかる。
声が出せない、念話も使えない。
ギリギリで意識が保たれている、でも、いきなり何なのよ……黒板を爪で引っ掻いた音を100倍にしたような酷い音だったわね。
数分回復魔法を掛けられてから私は、千里眼が使えなかった事実を伝える。
「無理するな、とりあえず、足で探せばすむ。調査のメンバーは二手に分けるか悩んでいたが、ゲートの死守を優先しようとおもう」
「私も賛成よ。幸い、"地図作成"は使えるから、移動したルートは分かるわ」
ルートを埋めることを最優先にキングと上位ゴブリン数名と私達で神殿内の調査が開始される。
神殿を道なりに進んでいく。神殿内部は不思議な緑の光を放つ苔が煉瓦の壁に出来た繋ぎ目や隙間から内部を照らしている。
私達の進む先の通路から、複数の足音が近づいて来る事に気づく。
何かくる、皆もきづいてるみたいね。
逃げ場のない通路、正面から近づく何者かに警戒を強める。
ビュンッ! っと、風を切るような音が一瞬の間に私達の横を通り抜ける。
ぐわっ!
上位ゴブリンの一人が、肩を押さえながら膝をつく。
「弓矢か、盾を前にッ! 次がくるぞ」
キングの声が通路に響くと、前方からドス、ドスと重低音のある力強い足音が近づいてくる。
「クイーンッ! シールド展開ッ!」
「はい、主様~派手に広げるよ!」
クイーンのアシッドシールドが通路に展開されると前方から突撃してきたモンスター達が次々に、シールドにぶつかる。次々と体当たりした者から、苦しみ悶えて絶命していく。
襲ってきたモンスターの正体は、オークだったわ。
弓矢や、槍なんかを装備しており、遠距離からの一撃は予想より厄介だと感じたわ。
そこからは、数回のオークとの戦闘があり、敵が下級オークである事実がわかる。
上級オーク達が未だに出てこない事実が怖いくらいだわ。
そんな私の不安は現実になる。
神殿を先に進むと、広い闘技場のようなスペースに辿り着いた。
私達の入ってきた通路の後ろ側でガシャンっと、門が降りる様な音が響く。
閉じ込められた! そして、反対側の通路から、次々とオークの大群が姿を現す。
「ガハハ、ニク、ニク、ニクだ!」
オーク達が下卑た笑いを浮かべる。武器を手に品定めと言わんばかりに私達を見つめている。
そんなオーク達の背後に明らかに重装備のオークが数体と輝かしい鎧を着込んだオークの姿があった。
「久々の宴だ! 奴らを逃がすな!」
いっせいにオーク達が私達に襲い掛かる。
激しい戦闘が開始されたのだ。
湖にセーレが両手を大きく広げて円を描く。
円の先には、人工的に造られているであろう煉瓦の壁が見える。
『さぁ、繋がりましたよ。ゲートは一定の位置に設置されました。見張りを置いていただければ、閉じずに開いたままにさせていただきます』
セーレが涼しい顔でそう語る反面、見張りがやられるような状況になれば、私達が内部を調べていてもゲートを閉じると言うことになる。
セーレさん、この人悪女だわ。
私の表情から何かを察したようにセーレは微笑む。
『現実主義な性格なので、ゲートの死守には、それなりの方を置くことをオススメします』
悩む時間が惜しい、私はクイーン達に、念話を送る。
『三人とも準備はいい、此処から先は私の我儘だから、本当に嫌なら、ついてこなくても大丈夫よ?』
私の発言に、念話の返答が一瞬止まる。
『主様、おバカさんになられましたか?』
『御館様に失礼だぞ、クイーンよ!』
『でも、ご主人様、悲しいよ? ボク達は最後までついていくよ?』
三人は私について行くのだと、心から言ってくれた、私の我儘なのに、いい子すぎるんだから、まったく。
キングは、私達と神殿に向かう部隊と、湖で妖精を見張る為の部隊にわかれる。
同盟も、契約も、裏を返せばどんな事にも抜け道が存在する。
「なら、行くとするか。俺を含む上位ゴブリン部隊と中位ゴブリン部隊は続け、下位ゴブリンは湖の警戒だ! 敵だと判断したら容赦するなよ」
キングの命令で下位ゴブリンの半数がその場に残され残りの下位ゴブリンがゲート死守の中位ゴブリンの指揮に入る事になる。
中位ゴブリンは上位ゴブリンよりも、人数が少ない、理由は上位ゴブリンを作る方がキングからしたら、楽だからだそうだ。
自然進化の中位ゴブリンは、ホブゴブリンであり、良くてゴブリンメイジや、ゴブリンナイト、ゴブリンソルジャー程度の進化に過ぎない。
上位ゴブリンである、ゴブリンジェネラルやゴブリンチャンピオン等とは力の差は歴然だわ。
守りが決まると、私達はゲートに身を投げる。
ゲートの先には、まるでゲームの中に存在するダンジョンがそのまま存在していた。
「すごい、ダンジョンみたい」
「何言ってんだ、ダンジョンにきまってんだろ? 嬢ちゃん、頭でも打ったのか?」
キングの発言に、イラッとするも、間違いないから、言い返せないわ。
「さて、先ずは千里眼が通じるか試してくれ、出来るなら"地図作成"も頼む」
以前、神殿内部は外からの千里眼は使えなかった、内部からなら出来るかもしれないとキングが考えたからだろう。私はすぐに千里眼を発動する。
ギイィィィンっと、今まで感じた事のない音が聞こえ、そのまま痛みになり、脳内を駆け巡る。
「ひぎぃ、うあああ」
「どうした! 大丈夫か嬢ちゃん!」
「主様!」
「御館様!」
「ご主人様ッ!」
慌てて、ゴブリンクレリック達が、私の元にやってくるのがわかる。
声が出せない、念話も使えない。
ギリギリで意識が保たれている、でも、いきなり何なのよ……黒板を爪で引っ掻いた音を100倍にしたような酷い音だったわね。
数分回復魔法を掛けられてから私は、千里眼が使えなかった事実を伝える。
「無理するな、とりあえず、足で探せばすむ。調査のメンバーは二手に分けるか悩んでいたが、ゲートの死守を優先しようとおもう」
「私も賛成よ。幸い、"地図作成"は使えるから、移動したルートは分かるわ」
ルートを埋めることを最優先にキングと上位ゴブリン数名と私達で神殿内の調査が開始される。
神殿を道なりに進んでいく。神殿内部は不思議な緑の光を放つ苔が煉瓦の壁に出来た繋ぎ目や隙間から内部を照らしている。
私達の進む先の通路から、複数の足音が近づいて来る事に気づく。
何かくる、皆もきづいてるみたいね。
逃げ場のない通路、正面から近づく何者かに警戒を強める。
ビュンッ! っと、風を切るような音が一瞬の間に私達の横を通り抜ける。
ぐわっ!
上位ゴブリンの一人が、肩を押さえながら膝をつく。
「弓矢か、盾を前にッ! 次がくるぞ」
キングの声が通路に響くと、前方からドス、ドスと重低音のある力強い足音が近づいてくる。
「クイーンッ! シールド展開ッ!」
「はい、主様~派手に広げるよ!」
クイーンのアシッドシールドが通路に展開されると前方から突撃してきたモンスター達が次々に、シールドにぶつかる。次々と体当たりした者から、苦しみ悶えて絶命していく。
襲ってきたモンスターの正体は、オークだったわ。
弓矢や、槍なんかを装備しており、遠距離からの一撃は予想より厄介だと感じたわ。
そこからは、数回のオークとの戦闘があり、敵が下級オークである事実がわかる。
上級オーク達が未だに出てこない事実が怖いくらいだわ。
そんな私の不安は現実になる。
神殿を先に進むと、広い闘技場のようなスペースに辿り着いた。
私達の入ってきた通路の後ろ側でガシャンっと、門が降りる様な音が響く。
閉じ込められた! そして、反対側の通路から、次々とオークの大群が姿を現す。
「ガハハ、ニク、ニク、ニクだ!」
オーク達が下卑た笑いを浮かべる。武器を手に品定めと言わんばかりに私達を見つめている。
そんなオーク達の背後に明らかに重装備のオークが数体と輝かしい鎧を着込んだオークの姿があった。
「久々の宴だ! 奴らを逃がすな!」
いっせいにオーク達が私達に襲い掛かる。
激しい戦闘が開始されたのだ。
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