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ダンジョン二層目・・・2

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 クイーンの一族は、思っていたとおり、ポイズンスライムで間違いなかった。

 ポイズンスライムは、グリーンゴブリンや、毒蛙ポイズントードなどを、狩り、成長する。

 ある日、招かれざる客が毒沼を訪れた事で、生活がいっぺんに変化する。

 巨大猪グレートボアだ。

 三メートルはあろう、傷だらけの巨大猪グレートボアが毒沼に倒れ、沈んでいったという。
 ポイズンスライム達は、気にも止めなかったが、すぐに巨大猪グレートボアが毒沼から姿を現したのである。

 傷口はただれ、眼は真っ赤に血走り、身体全体の毛皮が黒紫に変色していた。

 巨大猪グレートボアは、毒猪ベノムボアに変化していたのだ。

 それから、すぐに毒猪ベノムボアは行動を開始する。

 毒沼から遠くない場所に存在した毒蛙ポイズントードの住処である泥沼を襲い始める。

 毒蛙ポイズントードが、勝てるわけもなく、次々と喰われ、更にグリーンゴブリンを含む複数のゴブリン種を襲い始めた。

 見境なしに次々とモンスターを喰らい尽くし、毒沼に戻り眠る。

 ポイズンスライム達も毒沼を取り戻そうと戦うが、逆にやられてしまい、結果的に、一層に逃げたのだ。

 クイーンは、ポイズンスライムの生き残りであり、一層の安全な入口付近に連れてかれた。
 他の仲間達は、再度、戦う為に毒沼に向かってから、帰らなかったとクイーンは語った。

 最初のサポートさんの警告は、毒沼の毒に対してだったけど、あの場に毒猪ベノムボアがいたら、私終わってたかも……

 でも、二層のボス的なやつは、理解したし、クイーンの為にも、グリーンゴブリンか、毒蛙ポイズントードを見つけないと。

 何故、私が二匹のモンスターにこだわるのかと言うと。

 真名がついたクイーンを鑑定した際に、出た"進化ランク1【仮】"って表示にあったわ。

 最初は【仮】ってなに? 分からないので調べたら、進化にはランクがあり、その為には、合計で毒蛙ポイズントード級を30体 グリーンゴブリン級を50体、捕食する必要があるとわかったの。

 今のままだと、かなり、厄介なのよね……毒猪ベノムボアを何とかしたいわ。

 だから、苦肉の策を使うことに決めたわ。

 本来ならば、使いたくなかったけど、可愛いクイーンの為だもの。

 嗚呼、偉大なる女神様、私に力をください!

 必殺、女神召喚! あの女神の性格なら絶対に来るはず!

 ほら、頭の中になんか聞こえるわ!

『・・・ただいま、留守にしております。御用の方は、女神様を尊敬してお待ちください。・・・ただいま・・・』

 使えない女神! 

 今どき、こんなのありえないわ。

 作成変更よ。先ずはなんでもいいから、ゴブリンとか倒してクイーンに変化があるかを確かめてみる事にするわ。

 少しでも女神に期待した私が馬鹿だった! ちくしょう!

 私とクイーンは先ずは、一層で虫型のモンスターを蹴散らしていく。

 一層にいるのは、蜘蛛型や、芋虫型のモンスターで鑑定しても???スパイダー幼体のような感じで、今回のテイムは見送りにしている。

 テイムしたら、なんか同じモンスターを倒すのが申し訳ない感じするし。

 だから、あまりいい考えじゃないけど、テイムする時は、狩り尽くして、罪悪感なんか感じなくなってからって決めた。

 それからの数日を予定通りに、一層の狩りに時間を使い。

 拠点を一層と二層の階段にしている為、たまに現れる二層から逃げ出したゴブリンなどを逃さずに狩っていく。

 クイーンは、ゴブリンなどを軽く倒すようになり、明らかに強くなっていくのを感じる。

 ただ、相変わらず、私達は、二層を避けている。

 理由は、毒猪ベノムボアを毒沼から引き離す為である。

 今の毒猪ベノムボアは、毒沼を拠点に近場で狩りを行っている。
 しかし、いつまでもそんな事は続かないは、それが自然の摂理せつりだもの!

『はい、残念賞~ダンジョンでそんな常識は通じません。バブちゃんたら、知ったかなんだから~』

 久々だなぁ、この前来なかったのが、少しきになるけど。

『気にしてくれてたの、優しいバブちゃんね。キスしてあげましょうか?』

 いらないわよ!

『でも、バブちゃん、ダンジョンは普通にモンスターが生まれるのよ。一定数までは増え続けるわ、だ・か・ら~摂理なんてないのよ』

 ダンジョンって、そうなの、いや本当にそうなら、ポイズンスライム達は復活してるんじゃないの? 

『スライムは、幼体になるまでに、数週間かかるのよ。核は出来てるし、今はあれだけど、あと二週間もしたら形が分かるようになるわよ』

 二週間って・・・

 でも、行かないと、またポイズンスライム達が、どうしてらいいのよーーまったく。
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