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ダンジョン生活・・・3

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 一層目を、スライムちゃんの背中に籠ごと担がれて、進んでいく。

 これはもうアレね。素敵な旅の思い出みたいな、感覚ね。

 スライムちゃんと、意思疎通なんて、言っても、私が直接分かるのは、イメージのみで、会話が出来ないでいるのが、もどかしい。

 本来なら"自動翻訳"で言葉が分かると思うんだけどなぁ? なんでかしら。

『はーい。ピーン、ポーン、パーン、ポーン』

 嫌な声が聞こえたわ、きっと聞き間違いね。

『呼ばれなくても、こんにちは、女神よ。相変わらずひねくれてるわね、バブちゃん?』

だぁまじ! あぅああぁなんのようよ!」

『本当に、おバカさんすぎるから、助け舟をあげようと思ってね? まぁ助け舟の名前は【タイタニック】だけど』

 イラッ

 このクソ女神様は、私をからかいに来たんだわ……よし、無視しよう!

『あらあら、強気ね? でも、本当に助け舟よ。沈むか沈まないかは、バブちゃん次第だけどね』

 不気味な笑み、気に入らないくらい、全部を見透かしたような顔に腹が立つ。

『いいかしら、バブちゃん? 一度しかいわないわよ? 従魔には、特別な名前の付け方があるのよ』

 特別な名前の付け方? なにそれ、本当に知らない話じゃない!

『ちなみに・・・間違うと普通のモンスターと変わらない弱々しい従魔になっちゃうのよね』

 突然、頭の中に凄まじいイメージが流れ込んでくる。

 ちょ、まって・・・頭がパンクしちゃう・・・

 私はそのまま眠るように意識が無くなっていく。

 最悪な気分の目覚め、私はまだ、一層目をスライムちゃんの背中に乗って移動していたわ。

 サポートさん、私はどのくらい気を失ってたのかしら?

〘認識の範囲は、約9分です。秒数もお伝え致しますか?〙

 いいえ、結構よ。

 それよりも、今やるべき事が決まったわ!

 スライムちゃんにをつけ~る!

 あのクソ女神様の提案なのは、気に食わないけど、今の私には強くて、頼れる存在が必要なんだから!

 従魔の名付け、これは本当に大切みたい、普段の通称と名付けによる真名は別もので、野良のモンスターなんかが、真名を得ると《ネームドモンスター》になる。

 ネームドモンスターは、かなり厄介な存在だから、普通は回避したいモンスターね。

 それくらい真名は、これからの私の安全を左右するわ。

 ただ、あのクソ女神は、沈まないとか沈むとか、言ってきたのが気になるわね?

 まぁ、こんな楽しそうな事、やらないなんてありえないんだけどね。

 スライムちゃんは、どんな名前が好みなのかしら、なんでも頑張ってくれるし?

 う~ん? スライムらしい名前もいいけど、渋いのもいいわね?

 スライムなのに《セバスチャン》とか?

〘真名を従魔が拒絶しました。1個体(スライム)への真名契約が残り回数2回になります〙

 は? はあぁぁ! 何よあと2回って、しかもさっきのが1回扱いなの!

 安易な発言や、思考は、自分を滅ぼすと知り、私は真面目に考えた。

 そして、答えは保留よ! 今焦るより、ひらめきが大切だもの。

 自分で自分を納得させるなんて、流石は私ね。

 さて、色々悩んでたら、一層の終わりが見えてきたわね。

 一層の終わりは、短い通路の先に下の層に伸びる石の階段があるだけで、ボスステージのようなものは存在しなかった。

 有難いような、拍子抜けのような、とにかく無駄な争いなく、次の目的、地森林エリアだわ。

 楽しみの泉ちゃんがそこに、私は胸の高鳴り・・・え、何よこれ!

 二層目は、既に荒れ始めているってことかしら、悔しいけど。

 
 私達が足を踏み入れた二層は、まさに弱肉強食の世界だった。

 一層、洞穴型。

 小さな虫型のモンスターが基本で、たまにスライム、あとはモグラのようなモンスターが出るくらいで、足の速いモンスターは、生息して居ない。

 本当に初心者なら、いい修行場になるだろうな。

 二層、森林型。

 階段を抜けた先に広がる、緑、翠、ミドリ! ジャングルじゃない!

 しかも、私達の目と鼻の先で、《一角ウサギ》の大群が《ゴブリン》達を一斉に襲う。

 5匹のゴブリンに対して、10匹の一角ウサギが次々に加速して、角を突き出して突撃していく。
 一匹、また一匹と、ゴブリン串が出来上がる。

 一角ウサギの圧勝に、私は言葉を失う。

 ダンジョン内のモンスターが連携して、狩りをするなんて、すごすぎるわ。

 感心しながらも、私は既に頭のなかで、角ウサギをどう料理するか考えていた。

 あのウサギ達は危険すぎるもの。
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