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始まりから、過去へ・・・五大貴族の娘4

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 最悪の初陣は私の勝利に終わる結果に繋がる、敵であるバルバロ連合国は死を恐れない第三騎士団の存在を軽視してい、それが最大のミスと言えたわ。

 シャガナ隊長が道を開くように、正面から突撃し、私達が後から続く。

 その際に知ったのは、シャガナ隊長の祝福ギフトが、"魔法無効化"と言うとんでもないギフトであった事ね。

 バルバロ連合国の攻撃は近接を含め魔法に頼るものばかりであり、シャガナ隊長は天敵でしかなかったわ。

 だからと言って、第三騎士団の被害も甚大で、団長のゲイル・ノーム死亡、副団長 ミル・ケウルは、片足を失う重傷にて戦線離脱と最悪の結果になったの。

 本来なら一度、王都に帰還するべきだけど、シャガナ隊長は残る1万5千の兵を使い奇襲作戦を行う事を決める。

 敵もルティア領で私達が戦い、勝つか負けるかまでは考えるだろう、しかし、そのまま奇襲作戦に転じるとは考えない筈とシャガナ隊長は考えたのだ。

 戦線離脱した副団長と重傷者を護衛する別働隊が組まれ、私達を残し、王都に向けて帰還する。
 その際に歩兵部隊と合流し、副団長を預けた後に再度此方に戻る事になる。

 敵陣の場所は、相手から聞き出してあり、あとはタイミングを見計らい、作戦決行するのみだ。

 しかも、敵陣には、バルバロ連合国の指揮官とバルバロ連合国の次期当主様が勝利を確信しているらしい。

 当然狙うは、敵大将!

 夕暮れを待ち、私達、第三騎士団は動き出す。

 ルティア領から、敵陣までは普通なら馬を飛ばして、数時間程だが、迂回路を使い、森を抜ける。

 森から敵陣の背後に周り、更に逃げ道を塞ぐ為に複数のルートに少数の伏兵を配置する。

「いいかい、チャンスは一度、雑魚に時間を使うな、奴らは敵だ。人と思うな」

 シャガナの言葉が心臓に突き刺さる。

 敵陣の無数の焚き火と見張りのバルバロ兵達、複数のテント、そして、数台の車輪の付いた牢屋……

 牢屋の中には、女、子供ばかりが入れられており、奴隷として捕まったルティア領の者達であると理解する。

 全ての物の位置を確認し、シャガナの合図で1万の第三騎士団が一斉に襲い掛かる。

 切り込み部隊が一気に駆け抜ける後方から、火矢が敵陣内に一斉に撃ち込まれ、テントが次々に炎に包まれる。

 慌てて出てくるバルバロ兵を次々に切り伏せると、私を含む20人程の兵が、シャガナ隊長と共に敵大将のテントを目指す。

 敵指揮官と大将であるバルバロ連合国の次期当主はすぐに見つけることになる。

 指揮官だけなら、何とかなったのだろうが、バルバロの次期当主は頭が悪いらしく、ルティア領から奪われた財宝を持ち逃げしようと時間を無駄にしたらしい。

 そこからの戦闘は呆気なかった、指揮官と護衛達はシャガナ隊長の剣にアッサリと切り刻まれ、逃げようとした次期当主様は私が生け捕りに成功した。

 圧倒的な戦力差がありながら、バルバロ連合国の次期当主を生け捕りにしての勝利に終わったのだ。

 私達はルティア領奪還と、バルバロ連合国に対する交渉のカードを手にした。

 それと同時にガルバドから停戦の申し入れと言う驚く報せがアステリア王国に届いたのである。

 ガルバドはバルバロ連合国とアステリア王国の動きをずっと監視しており、バルバロ連合国の思いもよらぬ早期敗北に停戦のカードを切る他なかったのだ。

 しかし、ガルバド王国も、簡単に停戦が受け入れられるとは考えておらず、手土産として、アステリア王国内にいる裏切り者のリストをカードとした。

 今回の戦争を本当の意味で引き起こした者達が居た事実に、アステリア王国は混乱に包まれるも、ガルバド王国との停戦が決まる。

 更にバルバロ連合国との次期当主引渡し、賠償金とバルバロ連合国の支配地域であった土地の一部をアステリア王国の物とすることで、苦い解決となった。

 だが、それ以上に悲しい報せは、ガルバド王国との戦闘でアルバー領、領主ギルブリンデ・ディ・アルバーが戦死した事であった。

 私は、初陣の勝利を父に報告出来ぬまま、別れを告げる事になるのだ。

 父の葬儀の後、家督は長男、ルギル・ディ・アルバー兄様に受け継がれ、領地復興を誓う。

 悲しみの癒えぬまま、私やムバル兄様には、新たな伝令が届けられる事になる。

 アステリア王からの勅命であった。
 内容はアステリア王国内に存在する裏切り者害虫をすべて切り捨てよ。

 第四騎士団を除く、第一から第七までの王国騎士団にこの勅命が言い渡され、その日の内にアステリア王国内にで悲鳴がこだまする。

 第三騎士団も動き出す。

 シャガナ・ベル隊長はゲイル・ノーム元団長に変わり、団長を任命される。
 副団長は不在と言う形になっていた。

 そして、私は"切り込み隊長"を命じられ、それを受け入れた。

 私の部隊は、すぐにリストにあった達を次々に切り捨てる事になるのだ。

 父の仇は、私が討つ……

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