上 下
68 / 310
2章 外の世界へ

ザカメレアの戦士達

しおりを挟む
 私のせいなのか分からないけど、ペンネって呼び方なの!

「何でそうなるのよ!」

「それは妾のセリフじゃ! 妾は魔王なのじゃ、何が悲しくて人間の……しかも! 女神の手先なんぞに使い魔にされねば為らぬのじゃ!」

 外にはザカメレアの艦隊、マドラッドには怒るペンネ……カオスな状況だわ……

「あの、カミルは私の手下じゃありませんよ? 寧ろ……私も使い魔扱いなんです」

 少し小さめな声でそう口にするアララ、女神が使い魔をカミングアウトするなんて、勇気あるわね?

 そこから、女神と魔王の話し合い。

 私はそんな数分をメルリ達と作戦会議に使ったの。

 簡単に考えれば、氷を陸地として使えば間違いなく勝機は魔王軍にあるわ。
 問題はペンネが力を貸してくれるかよね?

「アハハハ、五次元世界“ララリルル”の 女神アラナラムルが食べ物で使い魔にされたのか! なんと愚かな! アハハハ」

 いきなり、笑い転げるペンネに私は驚いたわ。
 アララは真っ赤な顔でペンネに笑わないように言ってるけど、無理みたいね。

「妾と女神が同等ならば! 今回はカミルよ妾が女神にかわり力を貸してやろうではないか!」

「私も戦えますから! カミルからも言ってください、このままじゃ私の立場がありません!」

 よく分からないけど、アララもペンネも遣る気みたい、あとは“死亡者0”って言うマルルの無茶な言い分を貫くだけね。

「ペンネ、今から言うことを確り聞いて、他の魔族の皆もよ。今から敵は全員生け捕り、誰も死なない様にして勝つのよ!」

「ふざけでないぞ! 何故、妾達が人間の為にそんな手間を!」

 怒り狂うペンネの声に私は冷静に受け答えをしたわ。

「いい……ペンネ、貴女は先に喧嘩を売って、私達を危険視して襲って、ついでに敗北したのよ? なのに自由に行動してるの、意味が分かるかしら? 既に文句を言う資格なんて無いのよ!」

「うぅぅぅ……」

 ペンネが折れたわ。

 私達はマドラッドの周りを更に氷を作り、その氷に目には分からないような角度をつけて坂のようにしたの。

 私達が作業を終わらせる頃に艦隊から次々に姿を現すザカメレア兵の姿、私達も急いで戦闘の準備を開始したわ。

 向かってくる大軍に対して私達の取った行動は“油大作戦”よ!

 マドラッドには油を大量に作る植物型の魔物モンスターが居たの。

 当然、魔物モンスターでも、植物ならジュレは自在に操り複製を作る事ができるの。
 魔物モンスターの名前はア・ブラナー。

「さぁ、油を吐き出しなさい!」

 私の指示で一斉に吐き出される油、ザカメレア兵が油で足を滑らせ、坂になっている氷を振り出しまで戻って行ったわ。
 正直、勝つとか負けるとかじゃない。止めれるか止めれないかの2択しかないの。

 次々に滑り落ちるザカメレア兵達、でも、確実に距離を縮められてる。
 問題は相手に自分達が攻めてると思わせる事にあるの。

 坂の先には滑り台式の落とし穴があり、落ちてきた敵はクラブスパイダー達の巣で押さえてから、ビルクの力で小さくして、タウリ達と魔族達が籠に捕まえる。
 勢いで登りきれば捕まり、下に滑り落ちれば、振り出しに戻る。
 心が砕けるまで何度でも氷を再生するわ。

 そんな、私の作戦を打ち砕く為に次に向かってくる巨大な人影、そう、カルメロだったわ。

 両手に大きな斧を持って手を大きく開き鼻息を荒くするカルメロ、本当に暴れ牛にしか見えないわ。

 カルメロは斧を氷に突き立てると斧に火炎魔法を纏わせて、油に炎を引火させたの。
 氷が一気に火の海になり、私は目を凝らしたわ。
 油まみれのザカメレア兵達が炎に近づいていく、私の最悪な考えが当たらないで欲しいわね。

「あちぃぃぃ!」と炎が引火したザカメレア兵が転げ回ると炎が他の兵にも引火し始めたの。

 私は仕方ないと覚悟を決めて飛び出したわ。
 水魔法を使い、兵士を次々に消火していく私、そんな私の姿を目の当たりにしたカルメロは大声をあげたわ。

「此処で何をしている! 魔王に加担しているようだが、ザカメレア王国と本気で戦う気なのか、答えよカミル!」

 私だって、分からないわよ!

「ザカメレアと本気で戦う気は無いけど、ペンネ達を見捨てられないわ!」

 私の答えに怒りをむき出しに鼻息を荒くする姿、本当に参るわ、しかも後ろにはディストル=クレムスの姿もあるし、本気にならないと止められないかも。 
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。

克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

ガルダ戦記、欲しい世界は俺が作る!

夏カボチャ
ファンタジー
主人公のガルダはある日、弧ギツネのパパに成ることを決意した、一緒に暮らすなかで互いの成長と出会いだが、ガルダ達は新たな戦いの渦に巻き込まれていく。 ガルダは戦いの中にある結論を出すのであった、欲しいものは自分の力で掴み取ると。 ガルダと仲間達を待ち受ける運命が動き出す。 よろしければ見てやってください(〃^ー^〃)

のぞまぬ転生 暴国のパンドラ

夏カボチャ
ファンタジー
逆恨みから1000回目の転生に繋がる異世界転生、全ての世界の経験が1人の元少女を強くする!

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

処理中です...