上 下
58 / 310
2章 外の世界へ

奇襲は計画的に遣るものです。

しおりを挟む
 早々と洋館の風呂を沸かし身体を洗う私、デンキチとスカーも一緒に入る事にしたの。
 凄く許せなかった事はメルリの裏切りよ!

 私達(私、デンキチ、スカー)がスカンクの魔物モンスターにガスをかけられた後、少しの間だけど、距離をあけたのよ! 許せないから思いっきり抱き付いてあげたわ。

 今、私の横で反省中のメルリは少し申し訳なさそうにしてるわ。

 まぁ、気持ちは分かるけど。仲間だから痛みは別け合わないとよね。

「お嬢様、臭いが取れません……流石に此れは酷いですよ」
「泣かないでよ、私は直撃だったのよ! 我慢しなさい」

 理不尽だと分かってるけど、仕方無いわよね。
 それよりもっと赦せないのはミルホ達よ! 次に会ったら絶対に捕まえて嘘つきには、針一万本の刑なんだから!

「さぁ、メルリ。背中を流してあげるわ、今更だけど、ごめんね」

 私達の賑やかな御風呂タイム、そんな時、静かに忍び寄る人影。

 マップに現れた点滅は青、つまりパーティね。

「メルリ、外に向かって熱湯を放つわよ。温度は50度くらいで良いわ」

「お嬢様、本当に宜しいんですか?」

「優しいわね。でもねメルリ、覗きは犯罪なのよ」

 私の合図で窓から放たれる熱湯が標的に命中したのが「ギャアア、アツッ!」と言う声で分かったわ。

 逃げる反応は青の点滅が2つ……懲りないタウリと同行してたナッツは後で確りとお仕置きね。

『タウリ、懲りない』
『仕方あるまい、主とタウリは何時もだからな』

 デンキチとスカーにすらそう言われるタウリ……本当に懲りないロリコンぶりは尊敬に値するわね。

 全員の臭いが取れたのを確認してから夕食タイム。

 アララも二日酔いから復活してたみたいでクレレとロクさんが手伝いをしながら晩御飯を作ってくれてたの。
 そんな食事時にまた、マップの警告音が鳴ったのよね。

 マップを確認すると青い点滅が2つと赤い点滅が複数表示されたの。

「何事よ! ロクさんは洋館をお願い。皆、急いで外に行くわよ!」

 私の掛け声にメルリ、アララ、クレレが続く。
 外で剣を構えて漆黒のローブを身に纏う一団と戦うタウリとナッツの姿があったの。

「ウオリャアァァァッ!」
「ハァァァァッ!」

 剣と攻撃魔法で応戦するタウリとナッツに対して、複数で攻撃するローブの一団、明らかに不利な状況なのに確りと対応する二人を見て私は感心したわ。

 でも、只見てる訳にもいかないわよね? 取り敢えず逃がさないように周囲の状況を支配させて貰うわ。

センチピードオリン、オラン、逃がさないように周りを囲って! 樹精霊ジュレは敵の足周りを止めて。私は片っ端から敵を倒すわ!」

 いきなり姿を現した巨大なセンチピードのオリンとオランに慌てる漆黒ローブ達、逃げようにも既にジュレの強靭きょうじんつるが地面から漆黒ローブ達の足首を掴み離さないように確りと巻き付いてるわ。

 そして私が近付いていくのを合図にジュレの蔓が漆黒ローブの全身を包み込むように巻き付けられていったの。

「先ずは……一人ッ!」

 パチンッ! デコピン【中】で気絶させるとボス達が漆黒ローブを担いで運んで行ったわ。
 まぁ、敵の安全確保と人質みたいなものね。

 そこからは圧倒的だったわ。
 タウリとナッツにメルリとアララ、クレレも加わり一気に制圧完了。

「さぁさぁ、顔を拝見しましょうか、どんな悪党面か見てみましょう」

 私が徐にフード付きのローブに手を掛けると足をバタつかせて来たの、取り敢えず気絶して貰ってから、もう一度フードを取りに掛かったわ。
 フードの下から現れたのは、可愛い顔の女の子だったの。

「女の子よね? しかも皆、角が有るじゃない!」

 私の声にアララが顔を確認したの。

「カミル、彼女達はピクシーですね。多分ですが魔王さんの部下ですかね?」

 アララの説明に私はビックリしたのよね、だって魔王の方から先に仕掛けて来るなんて聞いてないもの? 何だが嫌な予感しかしないわ。

 取り敢えず、捕まえたピクシーをアララとクレレ、メルリに任せて、私はタウリとナッツの側に駆け寄ったの。

「二人共、大丈夫? 怪我は無い?」

「俺は大丈夫だ、ナッツも無事みたいだしな」
「うん、でも、カミルちゃんが来てくれて本当に助かったよ。ありがとう」

 二人の無事を確認した私は指を“パチン”と鳴らしたの。
 それを合図にジュレが蔓を使い、二人をぐるぐる巻きにしたの。

「何するんだカミル!」

 タウリの声からするに忘れてるみたいね?

「覗きは犯罪なのよ……タウリ御兄様……ナッツ君……」

 青ざめた表情は罪を認めたようなものね。
 二人には一晩、屋根から吊るして寝て貰う事にしたわ。
 当然、晩御飯は抜きよ! タウリも反省してくれたらいいんだけど? 無理よね……
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。

克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

ガルダ戦記、欲しい世界は俺が作る!

夏カボチャ
ファンタジー
主人公のガルダはある日、弧ギツネのパパに成ることを決意した、一緒に暮らすなかで互いの成長と出会いだが、ガルダ達は新たな戦いの渦に巻き込まれていく。 ガルダは戦いの中にある結論を出すのであった、欲しいものは自分の力で掴み取ると。 ガルダと仲間達を待ち受ける運命が動き出す。 よろしければ見てやってください(〃^ー^〃)

のぞまぬ転生 暴国のパンドラ

夏カボチャ
ファンタジー
逆恨みから1000回目の転生に繋がる異世界転生、全ての世界の経験が1人の元少女を強くする!

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

処理中です...