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1章 7才以上で7才未満の召喚士。

皆で食べるフルコースです。

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 良いことをすると気分がいい。今まさに、目の前には鼻水ダラダラで大泣きするカッシュとその横に同じようなナッツの姿があるわ。
 正直……カッシュの泣き顔は怖い、だけど気分は最高よ。

 カッシュが早速退院手続きをしに行ったんだけど、中々帰ってこないわね?

「少し離れるわね。ナッツ、メグをお願いね」

 なんか嫌な予感がするわ……カッシュを捜さないと。

 そんな私の心配は的中していたの……。

 担当医らしき白衣と口論をしているカッシュを見て中に入る私、そんな私を追い出そうとする白衣。

 こいつ……私、嫌いかも!

「悪いが今は話中だ、小児科を探してるなら一階、迷子なら突き当たりに警備室がある。さぁ、いって」

 やっぱり嫌いだわっ!

「オジサン、早く行きましょう! メグとナッツも待ってるわ」

「そうなんだが、実は……退院を認めてくれないんだ」

 はぁ? いやいや、認めるも何もメグは完全復活してるから……取り敢えず話を聞こう。

「なんで認めないのよ! メグも帰りたがってるのよ」

 そこから、胡散臭い説明が始まり、私達に知識が無いと思ってべらべらと……頭きたわ……ん?

・『全ての職を極めし者マスタージョブ『ヤブ医者』を取得しました』

 ハハハ……ヤブ医者って、そう言う事か、よし!

「メグを連れて帰るわ! 行くわよオジサン」

 ヤブ医者に付き合うなんて時間の無駄だわ、早くしないとルフレとの待ち合わせ時間もあるのに。
 そこからは強行突破。可哀想な警備員さん達、罪はないけど……邪魔よっ! って、事でデコピンをプレゼント。
 ヤブ医者しか居ないけど病院で良かったわね。うんうん。
 あえて言うなら私は悪くない! 私に触れた警備員が悪いんだから。 

 メグは私の力業にビックリしてたけど、凄く笑ってたわ。皆が笑顔になるなんて素敵だと思わない?

 外には知らせを受けたルフレと私にやられた騎士団の皆様がお出迎えしてくれたわ。

「ルフレ、ここのヤブ医者に言っときなさい! 次に私の邪魔したら、空に吹き飛ばすって、いい?」

「カミルが言うと冗談に聞こえないんだが……わかりました」

 メグ達はルフレの部下達に任せて私はルフレと召喚士試験の話し合い。

 なんでも? すごい数の召喚士が集まるみたい、私は初めてだから本試験は関係無いんだどね、異世界に来てまで試験があるなんて……世知辛いわ……

 試験は三日後だって、流石に早く着きすぎたみたい。因みにタウリはルフレの紹介もあり、大歓迎されたみたいよ?
 コイツやっぱりすごい人みたいね。

「カミル、私の顔に何か付いてますか? そうジッと見られていると話しづらいのですが」

 いけない、つい直視してしまった……

「それより、もう1度詳しく初級試験の部分を教えて貰える」

 初級試験の目的は一言で言えば、人物の登録、使い魔を召喚する者を“召喚士”モンスターを操り使い魔にする者を“魔獣使いモンスターテイマー”と呼び初級試験だけはどちらも同じ内容の試験を受ける事になる。

 私はアメト村がベジルフレア王国の領地にあるので王都ライパンでの試験になるが国により、少しずつ扱いは異なるとルフレに言われたわ。
 ベジルフレアは召喚士を大切にする反面、その力を全て把握しておきたいって言う本音が見え隠れしている感じね。

 話を聞き終わり、カッシュ一家の待つ、ルフレの屋敷に試験日まで厄介になる事になった。元々、私はそう言う話だったがカッシュ一家の事もあり、断ろうとしていたが……私にも予想外の出来事が起きていた。

 屋敷に着くと、美味しそうな料理の薫りが鼻を擽る。

「お帰りなさい。ルフレ様。お嬢ちゃん」

「ちょっと! 何してるの」

 目の前で白い衣装に身を包んだカッシュが姿を表し、にんまりと笑った。

「実は、ルフレ様の紹介でな」

 ルフレの紹介でルフレの父、トリム=ラッペンに住み込みの使用人コックとして雇って貰える事になったの。
 なんでも、身分を隠してカッシュの店に通ってた常連さんだったらしく、カッシュも驚いたらしいわ。

 カッシュ一家も招かれての夕食はそりゃあ、豪華だったわ。

 そんな時……念話が……アララね?

『カミルゥゥゥ、約束です!』

『少し待って! アララ』

 仕方ない、ダメで元々よ!

「あの……私の使い魔にも料理を食べさせたいの? ダメかな……」

 子供らしくってこんな感じかな? やっぱりダメかな?

「偉いっ!」

 ヒッ! いきなりなんなのよ……確かラッペンさんだったわね。ビックリした。

「召喚士を目指すならば、使い魔に対しての気遣いも大切! 幼くとも、立派だ! ワシも久々に使い魔と飯が食いたいしな。ルフレっ! 直ぐに中庭に移動するぞよいな!」

「あ、はい!」

 まさかの展開に……カッシュと厨房の人に罪悪感いっぱいだわ……本当にごめん。

 厨房が戦争なり、次から次に料理が中庭に作られたテーブルに並んでいく。

「さぁ、皆、久々に一緒に夕食ゆうげを楽しもうじゃないか」

 ラッペンさんの影から使い魔が姿を現すと度肝を抜かれたわ。

 ドラゴンにグリフィンが姿を現したのよ! しかもグリフィンは2匹よ2匹!

「おじ様、凄いっ! 格好いい!」

「だははは。そうだろ! ワシの使い魔だからな。」

 それから紹介してくれたのが。

 ・フレイムドラゴンのボルド。

ーーフレイムドラゴン。
 炎を吐くドラゴン種の中でも上位の火力を有しており、野生のフレイムドラゴンは1匹で街と国を崩壊させると言われている。って、そんなの王都にいて大丈夫なのかしら?

 ・グリフィンのトスカとロゼ 。

ーーグリフィンは鷹の顔と翼、獅子の胴体と爪を有した獣で大空の戦いになればその美しい外見からは想像できない程、荒々しく戦う獰猛な生き物よ。

 悔しいけど嫌味に聞こえない。凄いよマジにファンタジーだわ。

「なら、私もカミルに使い魔を紹介しましょう。おいでピコ」

 ルフレの使い魔ピコは、巨大な獅子である、ビッグレオン……素朴な疑問が……なんで騎士なんかやってるのよ、本当に……

 ・ビッグレオンのピコ。

ーービッグレオン。
 全身が黒い獣毛で覆われており、戦いになると毛を鋼のように硬くし攻撃と防御両方に使用する賢い獣。レオン種の上位種であり、レオンから成長してビッグレオンになる。

 二人の使い魔に圧倒されつつ、私も使い魔を呼ぶ。
 遠慮なく呼ぶべきよね? 皆でごはんだし。

「さぁ、皆いらっしゃい!」

 はい! カミルちゃんの使い魔全員集合。流石にドラゴンとかには勝てないけど。数なら負けないわよ!

「あは、カミルゥゥゥ! 約束を果たしてくれるのね。フルコースなのね」

「アララ、落ち着いて、皆がみてるわよ」

『カミル、食べていいの?』

「待ちなさい! 皆でご飯よデンキチ」

 他の使い魔達も大人しく私の言葉に従う姿に言葉を失う皆の顔は少し可笑しい。

 話は後にすることになり、夕食が開始される。

 ボスとクイーンはお肉は苦手みたいなので野菜を多めに、モームは髪の毛をあげて、食べやすくしてあげたわ。
 ウルフは相変わらず『主以外からの施しは受けない』と意地をはるから私が料理を運んだ。主人に料理を運ばせるなんてっ! と、言いたいが尻尾が素直に動く姿は可愛いものだ。

 デンキチとボスは大食い大会状態で、結果はデンキチの圧勝。ボスも頑張ったけど、デンキチの食欲には敵わないわね?

 そして、私の隣にアララが座り、満面の笑みで料理を食べまくる……女神なのに遠慮ないなぁ……まぁ、ラッペンさんも笑ってるし、いいか。
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