232 / 310
4章 輝く未来
光の矛先……永遠をなくす者です3
しおりを挟む
ライパンから巨大要塞アザラシ【ビッグアザー】に乗り、数日間を海上で過ごす最中、私は解除魔法と解術魔法の基礎から発動させていたの。
「中々、上手くいかないわね」
何度も解除と解術の魔法を重ね掛けしようとしては失敗してしまっていた為、無理に重ねる事を諦めて、初期の魔法から重ねようと考えたの。
「解除の魔法が解術の魔法まで打ち消すなんて……ほぼ同時に発動するから、タイミングをずらす訳にもいかないし、参ったわね」
胸の前で両腕を組み、”ビッグアザーの背中“に座り込み空を見上げる。
何が駄目なのかしら、どちらの魔法も何ら問題ないのに? 悩む事ばかりで解決策が見えてこないわ。
「悩んでますねぇ? 人は本当に昔から出来ないことを悩みながら解決策を探っていく」
煙草を加えながら軽く煙を吹き出すヒルバー。
「あ、ヒルバー、そうなのよ。何度試しても、上手く両方の魔法が組み合わさらないの、寧ろ、打ち消しあいになっててね、自分が未熟なんだと認める他ないわ」
何故だろう、弱音が多い気がする……これも竜の心を手にしたからなのかしら。
「ふぅ……カミル様。思うんですがね? 人間って種族は敵に回すと本当に厄介な種族なんですよ。此方がやり返せば、その先の更に先まで見据えた行動をしてきます」
「なによ、それって人間が執念深いっていいたいわけ?」
「ハァ……つまり、諦めずに悩み続ける事が人間の最大の武器なんですよ。カミル様は普通の人間より賢いかと存じます。言うなれば、常識の斜めを進める方かと」
皮肉にも聞こえたヒルバーの言葉は私のやる気を多いに奮い起たせてくれたわ。
「これは試作の包み焼きです。小腹が空くと人間はいい考えが浮かばないとか、冷める前に食べてください。あ、調理中は煙草を吸ってないので安心してください。でわ」
少しキザな感じの言い回しだったけど、本当に私を心配してくれていたんだと改めて感じたわ。
ヒルバーが置いていった蒸籠に手を伸ばし蓋に触れた瞬間、しっかりとした温もりが掌に伝わる。
蒸籠の蓋を開いた途端に吹き出す湯気、中を覗き込むと外の蒸籠とは別に平たい石に無数の穴が開いた石の蒸し器が使われてたの。
「へぇ? 外の蒸籠は香り付けになるし、内側の石の蒸し器は温度を保つようになってるのね、料理が冷めないように工夫されてるのね?」
その瞬間、私は解除魔法に消されないように、解術魔法を防魔の魔法で覆う事で膜を作れないかと考えたの。
実際に試すと、簡単にはいかなかったわ。
数十回の挑戦で二回程度の成功しか出来なかったの、それでも行き詰まっていた今の私からすれば新たな可能性が見えた瞬間だったわ。
集中し、時間を忘れ魔法を使い続けた頃だったわ。
突如、魔法が発動しなくなり私は混乱したの、慌ててアララとペンネの元に駆け出すと私は整理できないままに二人に語り出していたの。
”バタン!“とドアを開いた瞬間、二人の姿を見るなり泣きそうになっていたわ。
「どうしようッ! 魔法が、魔法が使えなくなっちゃったの!」
でも、二人の反応は予想外のものだったの。
「それはそうじゃろ?」
「まぁ、そうなりますね?」
落ち着きながら、冷静に頷く二人。
「カミルよ、よいか? 魔力には限界があるのが普通なんじゃ、カミルは妾より遥かに魔力が多いから初めての経験じゃろうが誰もが1度は経験する事であってな」
「そうです、寧ろ……数日間、あれだけの魔力を使いながら過ごしてやっと魔力が空になるなんて、カミルの魔力は凄まじい量だと思いますよ?」
そう、私は初めて、自身の魔力を使いきった事に気づかされたの。
【解除魔法】【解術魔法】の2つは本来、途方もない魔力を消費する。
そんな2つの魔法に更に防魔魔法を加えていたのだから、本来なら、一般的な魔法使いや魔術師でも30分と持たないと言われたわ。
大魔導師や大魔術師でも半日が限界であろう魔力を私は数日という、途方もない時間、使い続けていたの。
ペンネは私の魔力量だと世界を三度程、炎で焼けるといい。
アララは私の魔力量ならば世界を氷の下に眠らせる事も可能だと言ったわ。
しかし、私は魔力が切れただけと言う事実に安堵したわ。
目的を果たす前に魔法が使えなくなったかとヒヤヒヤしたわね。
数日の間、魔法を使わずにいれば魔力量は復活すると分かり、バトラング王国まで魔法の発動を自粛する事にしたわ。
「中々、上手くいかないわね」
何度も解除と解術の魔法を重ね掛けしようとしては失敗してしまっていた為、無理に重ねる事を諦めて、初期の魔法から重ねようと考えたの。
「解除の魔法が解術の魔法まで打ち消すなんて……ほぼ同時に発動するから、タイミングをずらす訳にもいかないし、参ったわね」
胸の前で両腕を組み、”ビッグアザーの背中“に座り込み空を見上げる。
何が駄目なのかしら、どちらの魔法も何ら問題ないのに? 悩む事ばかりで解決策が見えてこないわ。
「悩んでますねぇ? 人は本当に昔から出来ないことを悩みながら解決策を探っていく」
煙草を加えながら軽く煙を吹き出すヒルバー。
「あ、ヒルバー、そうなのよ。何度試しても、上手く両方の魔法が組み合わさらないの、寧ろ、打ち消しあいになっててね、自分が未熟なんだと認める他ないわ」
何故だろう、弱音が多い気がする……これも竜の心を手にしたからなのかしら。
「ふぅ……カミル様。思うんですがね? 人間って種族は敵に回すと本当に厄介な種族なんですよ。此方がやり返せば、その先の更に先まで見据えた行動をしてきます」
「なによ、それって人間が執念深いっていいたいわけ?」
「ハァ……つまり、諦めずに悩み続ける事が人間の最大の武器なんですよ。カミル様は普通の人間より賢いかと存じます。言うなれば、常識の斜めを進める方かと」
皮肉にも聞こえたヒルバーの言葉は私のやる気を多いに奮い起たせてくれたわ。
「これは試作の包み焼きです。小腹が空くと人間はいい考えが浮かばないとか、冷める前に食べてください。あ、調理中は煙草を吸ってないので安心してください。でわ」
少しキザな感じの言い回しだったけど、本当に私を心配してくれていたんだと改めて感じたわ。
ヒルバーが置いていった蒸籠に手を伸ばし蓋に触れた瞬間、しっかりとした温もりが掌に伝わる。
蒸籠の蓋を開いた途端に吹き出す湯気、中を覗き込むと外の蒸籠とは別に平たい石に無数の穴が開いた石の蒸し器が使われてたの。
「へぇ? 外の蒸籠は香り付けになるし、内側の石の蒸し器は温度を保つようになってるのね、料理が冷めないように工夫されてるのね?」
その瞬間、私は解除魔法に消されないように、解術魔法を防魔の魔法で覆う事で膜を作れないかと考えたの。
実際に試すと、簡単にはいかなかったわ。
数十回の挑戦で二回程度の成功しか出来なかったの、それでも行き詰まっていた今の私からすれば新たな可能性が見えた瞬間だったわ。
集中し、時間を忘れ魔法を使い続けた頃だったわ。
突如、魔法が発動しなくなり私は混乱したの、慌ててアララとペンネの元に駆け出すと私は整理できないままに二人に語り出していたの。
”バタン!“とドアを開いた瞬間、二人の姿を見るなり泣きそうになっていたわ。
「どうしようッ! 魔法が、魔法が使えなくなっちゃったの!」
でも、二人の反応は予想外のものだったの。
「それはそうじゃろ?」
「まぁ、そうなりますね?」
落ち着きながら、冷静に頷く二人。
「カミルよ、よいか? 魔力には限界があるのが普通なんじゃ、カミルは妾より遥かに魔力が多いから初めての経験じゃろうが誰もが1度は経験する事であってな」
「そうです、寧ろ……数日間、あれだけの魔力を使いながら過ごしてやっと魔力が空になるなんて、カミルの魔力は凄まじい量だと思いますよ?」
そう、私は初めて、自身の魔力を使いきった事に気づかされたの。
【解除魔法】【解術魔法】の2つは本来、途方もない魔力を消費する。
そんな2つの魔法に更に防魔魔法を加えていたのだから、本来なら、一般的な魔法使いや魔術師でも30分と持たないと言われたわ。
大魔導師や大魔術師でも半日が限界であろう魔力を私は数日という、途方もない時間、使い続けていたの。
ペンネは私の魔力量だと世界を三度程、炎で焼けるといい。
アララは私の魔力量ならば世界を氷の下に眠らせる事も可能だと言ったわ。
しかし、私は魔力が切れただけと言う事実に安堵したわ。
目的を果たす前に魔法が使えなくなったかとヒヤヒヤしたわね。
数日の間、魔法を使わずにいれば魔力量は復活すると分かり、バトラング王国まで魔法の発動を自粛する事にしたわ。
1
お気に入りに追加
547
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる