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3章 素敵なハニーフォレスト

朝からバタバタです

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 後ろを振り向くと其処にはレイトパパマイヤママの姿があったの。 

「久々だな、我が愛する娘よ! パパは……パパは寂しかったぞ!……ギャッ!」

 私に抱きつこうとしたレイトを後ろからフライパンで一撃するマイヤ。

 な、何故……フライパン? メリア御姉ちゃんもそうだけど、皆フライパンを武器にし過ぎじゃない?

 そして、私に向かって歩みより、優しく包み込むように抱きしめてくれたマイヤ。

「ちょ! マ、ママ……外だし恥ずかしいから、その皆も見てるし」

 私の言葉に慌てて手を離すメリア。

「ゴメンね。あまりに帰ってきてくれないから嬉しくて、つい」と笑みを浮かべると再度強めに包容されたわ。

 その後、目覚めたレイトにもイヤって程、いっぱい抱きつかれたわ、感動しすぎて涙まで流すレイトの娘愛に私は寧ろ感動しそうになっちゃったわ。
 娘とあって涙を流せるなんて凄いわよね。問題はあるけど、凄く優しいパパなんだよね。

 そんな感動の再会は取り敢えず置いといて、先ずは質問タイムよね?

「なんでママとパパがライパンにいるの? と言うかなんで今居る場所がわかったの」

 そう、広いライパンの中で各エリアに別けられた会場の1つに朝から現れるなんて偶然にしては出来すぎてるわ。

 マイヤがその質問に対してレイトを指差しながら教えてくれたわ。

「レイトにはサーチの加護があるの、と言っても、知り合いや身近な存在のみっていう、かなり条件の渋い加護だけどね」

 レイトの加護は身内限定の能力で更に言うなら、相手の姿や印象が強くないと発動しないものみたい。

 村では、新人が森へと狩りに出る際にレイトに挨拶に来ることがあり、私は幼いながらに不思議だったけど、今、理由がわかったわ。
 レイトの能力を使えば迷った村人を直ぐに見つけられる。小さな村だから有効な能力なんだわね。

「意外だわ……パパって剣術バカで何が凄くて皆が挨拶に来てるかわからなかったけど、やっと理解できたわ……パパ、だからいつも私の御風呂のタイミングがわかったのね……タウリ、それを知っててパパと行動をともにしてたのね……赦さないわよ」

 冷たく鋭い目線を二人に向けると周りの空気が変わる。
 要らぬ緊張感が辺りに立ち込めると私の指は手加減をしないと言う意思表示とともに“ボキ、ボキ”と音を発てる。

「「ひっ!」」とタウリとレイトが私の行動に青ざめるも許してあげる気はないわ。

「うら若き、乙女の入浴を妨害し続けた罪で、吹き飛べェェェッ!」

 凄まじい突風をまとった私の拳が突き出された瞬間、左右に別れて躱す二人。

「甘いわよ! ハァァァァッ!」

 拳にまとった風を左右に分断し私を中心に大渦を作り出すとレイトとタウリが大渦に吸い込まれ天高く吹き飛ばされて行く。

「うわぁぁぁぁ、カミル! やり過ぎだから、お兄ちゃんが悪かった! 謝るから」

「パパは謝らん! 我が娘を愛してる事に偽りなし!」

「なら俺も、妹への愛情に偽りなし!」

「「ウワァァァァァァァッ!」」


 本来なら放置だけど、ライパンの祭り会場に二人を落とす訳にはいかないわね。

「クッ、お馬鹿なんだから! デンキチッ! 巨大化、二人を掴まえて。それから……まぁいいわ。私の前に連れてきて」

『なら、吹き飛ばさなきゃいいのに……二度手間……』

 うっ! 最近本当に……反抗期かしら?

 吹き飛ばされた二人をデンキチが難なくキャッチして私の前に連れてくると私は取り敢えず、深い溜め息を吐くと怒りに震えるマイヤに二人を託したわ。

 因みにレイトは全力でお仕置き決定ね。マイヤの顔にそう書いてあるわ。

 バタバタしながらの、パンの祭り三日目が始まり、問題なく終わっていったわ。

 因みに、重傷者1名、軽傷者1名とその日の怪我人リストにレイトとタウリの名が刻まれていたわ。
 身内ながら言葉に困ったわ。

 祭りは残り二日、そろそろ1位のパン職人も絞られてくるわね。

 どの職人も真剣その物でパンを作っているの、ライパンは今、パンの戦国乱世って感じね。

 多くの人が美味しいパンに点数で評価をつけ、上位5位までが発表になる。
 上位5位迄にしたのは、後々の事を考えての結果なの。

 5エリアを作り其所から上位の職人を一人づつ選び、更にその中で一番評価の高い順で1位から5位を決める、そうなるとエリアで同等に評価された人がいても、上位には入れない事になるの、だから職人さんの評価が下がらないように各エリアの上位を集めて、上位5位迄を決める方法になったのよ。

 因みに残る2エリアの内、1つにはカッシュが出てるらしいの。

 知り合いだから贔屓ヒイキする気はないわ。
 ただ、カッシュの作る蜂蜜のパンを想像したら口の中は大洪水よ。明日か明後日には食べれると思うと心が踊るわ。

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