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本編
彼は聖獣になった
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「なんか、いっぱい出た気がする……」
アルベールに抱き締められ、お互いの汗ばんだ肌が密着しても不快感はなかった。しかしながら、身体の疼きがまだ止まっていない。まだ足りないと言うかのようであり、快楽に終わりがないかのようである。疼痛が茉莉愛を甘く蝕んで苦しめるのだ。
「そんなにされたら、休ませてあげられなくなっちゃうよ?」
熱を持った吐息が耳に吹き込まれて茉莉愛は小さく身を捩る。しかし、茉莉愛が何をしたわけでもない。未だ体の中に収めた物を抜いてほしいと願っているだけだ。
「君の中凄くうねってて、すぐにでもしたくなっちゃう……僕の、大きいままなの、わかる?」
茉莉愛の少ない知識では精を吐き出せば終わるはずだった。それなのに、アルベールが言うように彼の陰茎は中でまだ大きな存在感を放っている。
「んっ……まだ、するの……?」
もう終わりにして欲しいという気持ちを込めて見上げればアルベールは困ったように笑う。また「長丁場になるって言ったでしょ」と言いたいのか。何度も絶頂させられ、茉莉愛がもう十分に長い夜を過ごしたつもりだった。
「おねだりされてるようにしか見えないんだけどな……」
「ちがっ……」
やめてほしいと心から思っているが、彼が言う「おねだり」とは違うのだろう。限界としか思えないのに背中に腕を回されて茉莉愛は慌てるが、そこでアルベールが動きを止める。
「ちょっと待って……」
急に何だろうかと茉莉愛はアルベールの様子を窺う。身体に力がこもり、何かに耐えるように苦しげだ。
しかし、抜け出せるはずもなく、茉莉愛は戸惑うばかりだった。
「なんか頭がむずむずする……うぅ……」
自分を抱き締めたまま呻くアルベールは頭が痛むのだろうかと茉莉愛はそっと手を伸ばしてみる。
「あっ、その辺……!」
頭に触れたところでアルベールが声を上げるものだから茉莉愛は触ってはいけなかったのだと手を離しそうになって固まる。
「マリアの手、気持ちいいから、もっと撫でて? 両方して?」
おねだりをされてしまってはやめることもできずに茉莉愛は両手で撫でてやる。アルベールは唸りながらも首筋に顔を擦り付けてくるのだから楽になっているのかはわからない。
「あれ……?」
手のひらに異変を感じ、茉莉愛が思わず手を離してしまったところでアルベールの呻きが止まる。
「楽になった!」
急に顔を上げたアルベールに茉莉愛は違和感を覚える。その正体はすぐにわかった。
「み……!」
驚きのあまり茉莉愛は彼の頭を指さす。
「み?」
「みみ……!」
首を傾げていたアルベールもそこで気付いたようだ。自身の頭に手をやり、何度も確かめるようにそれに触れる。
「遂に僕にも聖獣様の耳が生えた……?」
アルベールの頭に耳が生えている。髪と同じ青銀の毛並みの耳を茉莉愛は初めて見たわけではないが、驚きは隠せなかった。また思わず手を伸ばせば、今度は彼の手によって導かれる。その触り心地は作り物とは思えない。そもそも仕込む暇など彼には無かったはずであり、その理由もない。
「父上みたいに立派?」
期待に満ち溢れた目でアルベールは問いかけてくる。その虹彩はいつもと違って見えた。瞳孔の周囲が金色になっている。まだこの世界に来る前に写真で見た瞳を思い出すが、もっと神秘的に見えた。それもまた聖獣の血が目覚めたからなのか。
国王の頭にも同じ耳が生えていたのを茉莉愛はよく覚えている。アルベールが見せてくれた書物に描かれていた聖獣は狼に似ていた。
聖獣の特徴は成人が近づく頃までには発現すると教えてくれたのはアルベールだ。だから、茉莉愛は二次性徴の一環のように考えていた。既にその年頃であるはずのリュシアンは確かに聖獣と同じ髪と瞳の色を持っているが、半獣人とも言えるような特徴が出ないどころか成長が遅く、出自を疑う者までいたらしい。だから、ピリピリしていたのだと茉莉愛は納得してしまったほどだ。それがアルベール自身のことであるとは考えもせずに。
「本物……」
茉莉愛は呆然と呟いていた。本物の獣の耳、王族の証、この世界で唯一心を許した少年が王子であったという紛れもない事実を見せつけられた気がした。
それは茉莉愛にとって必ずしも喜ばしいことではなかった。
成すべきことを成したら元の世界に戻るのか、死んでいるから戻れないのか。不安になる度に励ましてくれたのがアルベールだった。だが、リュシアンとしての彼は茉莉愛の役目も全て知っていたのかもしれない。結婚の話も茉莉愛が思っていたよりもずっと重い意味を持つことになる。
「あぁ……やっぱり君は僕の聖女だ……!」
泣き出しそうな顔でアルベールに抱きしめられて茉莉愛は何を言えば良いのかわからなくなる。
彼はこうして茉莉愛と交わることで自分が変われると期待していた節がある。言動を初めから考えれば愛の言葉さえ信じられなくなってしまう。病弱だったのも本当かはわからないものだ。
アルベールが呪いと表現したことが成長の遅れに対する比喩なのか、実際に呪いなのかはわからない。それを説明してくれるわけでもない。今はその気もないのだろう。
「んっ……!」
茉莉愛が諦めにも似た感情を抱いた時、一気に熱が体中を駆け巡った。繋がったまま向かい合うように身体を起こされて、より深くアルベールの陰茎が突き刺さったのだ。
「もう我慢しなくていいよね?」
「んぁあっ! だ、めぇっ! んぅんっ!」
問いかけてるようでありながらもアルベールは茉莉愛の答えなど求めていなかった。容赦なく突き上げられたのが証拠だろう。
その深さと激しさに言葉を発そうとすれば、舌を噛んでしまいそうで茉莉愛は喘ぐことしかできなくなる。
「いっぱい、出したからっ、凄いね……音」
茉莉愛の蜜とアルベールの吐き出した精液が掻き混ぜられ、ひどい音を立てている。それが茉莉愛には恥ずかしくてたまらない。けれども、そんな音にさえ犯されていくようだ。
心はギリギリのところで保たれているのに身体はとっくに淫欲に堕とされているのかもしれない。
「ゃあっ……おくっ……ひ、うんっ! ぁんんっ!」
「奥、当たるの、いい?」
蠱惑的な笑みを浮かべるアルベールはひどく意地悪だった。深く繋がった状態で奥を突かれるのが茉莉愛は怖かった。それなのに、ぐりぐりと最奥を刺激してくる。
「またイキそう? いいよ、また一緒に、イこ?」
まるで悪魔のようだ。人間を堕落させるような笑みを浮かべて誘いかけてくるアルベールに心の隅ではまだ抗おうとしていた。
しかしながら、下からの突き上げは容易に茉莉愛を陥落させる。
「ふぁっ! ゃっ、やぁっ! ぁあぁぁぁっ!」
短時間の間に何度経験させられても慣れられるような気がしない絶頂を迎え、茉莉愛は再び最奥に熱い飛沫を浴びせられたのを感じた。
背をしならせ、びくびくと痙攣する身体はアルベールに抱き留められても突き放すことはできなかった。
アルベールに抱き締められ、お互いの汗ばんだ肌が密着しても不快感はなかった。しかしながら、身体の疼きがまだ止まっていない。まだ足りないと言うかのようであり、快楽に終わりがないかのようである。疼痛が茉莉愛を甘く蝕んで苦しめるのだ。
「そんなにされたら、休ませてあげられなくなっちゃうよ?」
熱を持った吐息が耳に吹き込まれて茉莉愛は小さく身を捩る。しかし、茉莉愛が何をしたわけでもない。未だ体の中に収めた物を抜いてほしいと願っているだけだ。
「君の中凄くうねってて、すぐにでもしたくなっちゃう……僕の、大きいままなの、わかる?」
茉莉愛の少ない知識では精を吐き出せば終わるはずだった。それなのに、アルベールが言うように彼の陰茎は中でまだ大きな存在感を放っている。
「んっ……まだ、するの……?」
もう終わりにして欲しいという気持ちを込めて見上げればアルベールは困ったように笑う。また「長丁場になるって言ったでしょ」と言いたいのか。何度も絶頂させられ、茉莉愛がもう十分に長い夜を過ごしたつもりだった。
「おねだりされてるようにしか見えないんだけどな……」
「ちがっ……」
やめてほしいと心から思っているが、彼が言う「おねだり」とは違うのだろう。限界としか思えないのに背中に腕を回されて茉莉愛は慌てるが、そこでアルベールが動きを止める。
「ちょっと待って……」
急に何だろうかと茉莉愛はアルベールの様子を窺う。身体に力がこもり、何かに耐えるように苦しげだ。
しかし、抜け出せるはずもなく、茉莉愛は戸惑うばかりだった。
「なんか頭がむずむずする……うぅ……」
自分を抱き締めたまま呻くアルベールは頭が痛むのだろうかと茉莉愛はそっと手を伸ばしてみる。
「あっ、その辺……!」
頭に触れたところでアルベールが声を上げるものだから茉莉愛は触ってはいけなかったのだと手を離しそうになって固まる。
「マリアの手、気持ちいいから、もっと撫でて? 両方して?」
おねだりをされてしまってはやめることもできずに茉莉愛は両手で撫でてやる。アルベールは唸りながらも首筋に顔を擦り付けてくるのだから楽になっているのかはわからない。
「あれ……?」
手のひらに異変を感じ、茉莉愛が思わず手を離してしまったところでアルベールの呻きが止まる。
「楽になった!」
急に顔を上げたアルベールに茉莉愛は違和感を覚える。その正体はすぐにわかった。
「み……!」
驚きのあまり茉莉愛は彼の頭を指さす。
「み?」
「みみ……!」
首を傾げていたアルベールもそこで気付いたようだ。自身の頭に手をやり、何度も確かめるようにそれに触れる。
「遂に僕にも聖獣様の耳が生えた……?」
アルベールの頭に耳が生えている。髪と同じ青銀の毛並みの耳を茉莉愛は初めて見たわけではないが、驚きは隠せなかった。また思わず手を伸ばせば、今度は彼の手によって導かれる。その触り心地は作り物とは思えない。そもそも仕込む暇など彼には無かったはずであり、その理由もない。
「父上みたいに立派?」
期待に満ち溢れた目でアルベールは問いかけてくる。その虹彩はいつもと違って見えた。瞳孔の周囲が金色になっている。まだこの世界に来る前に写真で見た瞳を思い出すが、もっと神秘的に見えた。それもまた聖獣の血が目覚めたからなのか。
国王の頭にも同じ耳が生えていたのを茉莉愛はよく覚えている。アルベールが見せてくれた書物に描かれていた聖獣は狼に似ていた。
聖獣の特徴は成人が近づく頃までには発現すると教えてくれたのはアルベールだ。だから、茉莉愛は二次性徴の一環のように考えていた。既にその年頃であるはずのリュシアンは確かに聖獣と同じ髪と瞳の色を持っているが、半獣人とも言えるような特徴が出ないどころか成長が遅く、出自を疑う者までいたらしい。だから、ピリピリしていたのだと茉莉愛は納得してしまったほどだ。それがアルベール自身のことであるとは考えもせずに。
「本物……」
茉莉愛は呆然と呟いていた。本物の獣の耳、王族の証、この世界で唯一心を許した少年が王子であったという紛れもない事実を見せつけられた気がした。
それは茉莉愛にとって必ずしも喜ばしいことではなかった。
成すべきことを成したら元の世界に戻るのか、死んでいるから戻れないのか。不安になる度に励ましてくれたのがアルベールだった。だが、リュシアンとしての彼は茉莉愛の役目も全て知っていたのかもしれない。結婚の話も茉莉愛が思っていたよりもずっと重い意味を持つことになる。
「あぁ……やっぱり君は僕の聖女だ……!」
泣き出しそうな顔でアルベールに抱きしめられて茉莉愛は何を言えば良いのかわからなくなる。
彼はこうして茉莉愛と交わることで自分が変われると期待していた節がある。言動を初めから考えれば愛の言葉さえ信じられなくなってしまう。病弱だったのも本当かはわからないものだ。
アルベールが呪いと表現したことが成長の遅れに対する比喩なのか、実際に呪いなのかはわからない。それを説明してくれるわけでもない。今はその気もないのだろう。
「んっ……!」
茉莉愛が諦めにも似た感情を抱いた時、一気に熱が体中を駆け巡った。繋がったまま向かい合うように身体を起こされて、より深くアルベールの陰茎が突き刺さったのだ。
「もう我慢しなくていいよね?」
「んぁあっ! だ、めぇっ! んぅんっ!」
問いかけてるようでありながらもアルベールは茉莉愛の答えなど求めていなかった。容赦なく突き上げられたのが証拠だろう。
その深さと激しさに言葉を発そうとすれば、舌を噛んでしまいそうで茉莉愛は喘ぐことしかできなくなる。
「いっぱい、出したからっ、凄いね……音」
茉莉愛の蜜とアルベールの吐き出した精液が掻き混ぜられ、ひどい音を立てている。それが茉莉愛には恥ずかしくてたまらない。けれども、そんな音にさえ犯されていくようだ。
心はギリギリのところで保たれているのに身体はとっくに淫欲に堕とされているのかもしれない。
「ゃあっ……おくっ……ひ、うんっ! ぁんんっ!」
「奥、当たるの、いい?」
蠱惑的な笑みを浮かべるアルベールはひどく意地悪だった。深く繋がった状態で奥を突かれるのが茉莉愛は怖かった。それなのに、ぐりぐりと最奥を刺激してくる。
「またイキそう? いいよ、また一緒に、イこ?」
まるで悪魔のようだ。人間を堕落させるような笑みを浮かべて誘いかけてくるアルベールに心の隅ではまだ抗おうとしていた。
しかしながら、下からの突き上げは容易に茉莉愛を陥落させる。
「ふぁっ! ゃっ、やぁっ! ぁあぁぁぁっ!」
短時間の間に何度経験させられても慣れられるような気がしない絶頂を迎え、茉莉愛は再び最奥に熱い飛沫を浴びせられたのを感じた。
背をしならせ、びくびくと痙攣する身体はアルベールに抱き留められても突き放すことはできなかった。
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