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本編
キノコがピンチです-2
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「あんた、本当に兄さんの犬なのね」
「何とでも言え。あの人の言葉以外は俺に響かない」
碧流先輩がいなくなると、今度は紫愛ちゃんと皇月君の睨み合いが始まってしまった。
何で、この二人の仲は悪いんだろう? ラブの気配はどこ? 殺伐としすぎじゃない?
そもそも皇月君が碧流先輩一筋なのが謎。
謎と言えば、紫愛ちゃんと碧流先輩の仲も微妙なのが謎。私と千晶だって微妙だし、今までは血の繋がらない姉弟なんてこんなものだろうと思ってたけど、ゲームのことを思い出した今となっては変。それが違和感の正体。
だって、碧流先輩だって攻略対象なのに。初回は攻略することができないキャラだから? この世界は一度きりで周回の概念がないから?
ううん、だったら、尚更皇月君の好感度が低そうどころの話じゃないのが不思議。
「莉緒は私のなんだから!」
「うにゅっ!?」
皇月君に見せつけるように紫愛ちゃんが急に抱きついてきた。
良い匂いに包まれるし、ふわふわが押しつけられる。紫愛ちゃんのスキンシップが過剰なのは珍しいことじゃないんだけど、ゲーム的には変だし、何より私の体が変。
下半身に、具体的に言えばキノコに熱が集まっていくような……? やばい、ムクムクしてるかも、どうしよう……いきなりピンチとかどうしよう。千晶に抜き方は教えてもらったけど……
「会長が言った通りだな。顔色が悪くなってきたぞ」
「えっ、うそっ!?」
皇月君の指摘に紫愛ちゃんがバッと離れて、顔を覗き込んでくる。
紫愛ちゃん、まつエクいらずの天然物の睫がバッサバサなんだよね……唇もプルップルだし……あー、やばい。
「ご、ごめん! ちょっとトイレに行ってくるね!」
紫愛ちゃんに耳打ちして私はその場から離れるつもりだった。紫愛ちゃんも一緒に行くとか言ったらどうしようかと思ったけど、私の腕を掴んだのは皇月君だった。
「えっと……お手洗いに行きたいんだけど……」
男子には言い辛いのに、引き留められても困るから恥を忍んで言ったのに、皇月君は手を離してくれない。
本格的にあれが『パオーン!』する前に一刻も早くこの場を離れたいのに。
「保健室に連れて行く」
「いや、だいじょ」
「それなら私が付き添う!」
ちょっとトイレで抜きたいだけなのに、大丈夫だと言わせてくれなかったのは紫愛ちゃん。
反対の腕を引っ張ってくるっていう、軽い地獄を味わわされるとか面倒臭いことになってるのは碧流先輩のせい?
「会長に釘を刺されたにもかかわらず早速具合を悪化させたやつが何を言う」
また紫愛ちゃんが「うぐぅ」と唸った。可愛いとか思っちゃうけど、私のキノコはそれどころじゃない。紫愛ちゃんが可愛ければ可愛いほどやばい。
でも、紫愛ちゃんも渋々手を離すあたり言い返せないらしい。
「俺が責任を持って運ぶ。そして、報告するのが俺の義務だろう」
「わわっ!」
急に体が浮いたかと思えば皇月君に物みたいに肩に担がれてた!
細いようで力持ち! いや、乙女ゲームのキャラの性と言うか、意外にいい体してるのはスチルで見て知ってるけど、これはひどい。スカートの中が見えそうで怖い。でも、暴れることを許してくれない威圧感……!
「ちょっと、レディーに対してその運び方はないんじゃない? 兄さんに報告するわよ?」
紫愛ちゃんはスマホをこっちに向けてる。こんな姿撮られたくないけど、脅しだった。
そして、それは皇月君には効果覿面だったみたい。降ろされて、正直そのまま自分の足でトイレに駆け込みたかったけど、また抱き上げられる。
「これで満足か?」
承認を求めるように皇月君が私を抱えて紫愛ちゃんを見る。
こ、これは所謂お姫様抱っこ……!
「あ、あの、だい」
「丁重に運びなさいよ」
大丈夫だから降ろして、って言いたかったのにまた紫愛ちゃんに遮られた。
でも、何だかお嬢様と執事みたい。
「お前の命令で動くわけじゃない。全ては会長のためだ」
ですよね……!
本当は私なんて触りたくもないんだと思うけど、碧流先輩のためなら何でもする姿勢の皇月君怖い。
そうして私の意思なんて無視で保健室に強制連行されるのだった。
「何とでも言え。あの人の言葉以外は俺に響かない」
碧流先輩がいなくなると、今度は紫愛ちゃんと皇月君の睨み合いが始まってしまった。
何で、この二人の仲は悪いんだろう? ラブの気配はどこ? 殺伐としすぎじゃない?
そもそも皇月君が碧流先輩一筋なのが謎。
謎と言えば、紫愛ちゃんと碧流先輩の仲も微妙なのが謎。私と千晶だって微妙だし、今までは血の繋がらない姉弟なんてこんなものだろうと思ってたけど、ゲームのことを思い出した今となっては変。それが違和感の正体。
だって、碧流先輩だって攻略対象なのに。初回は攻略することができないキャラだから? この世界は一度きりで周回の概念がないから?
ううん、だったら、尚更皇月君の好感度が低そうどころの話じゃないのが不思議。
「莉緒は私のなんだから!」
「うにゅっ!?」
皇月君に見せつけるように紫愛ちゃんが急に抱きついてきた。
良い匂いに包まれるし、ふわふわが押しつけられる。紫愛ちゃんのスキンシップが過剰なのは珍しいことじゃないんだけど、ゲーム的には変だし、何より私の体が変。
下半身に、具体的に言えばキノコに熱が集まっていくような……? やばい、ムクムクしてるかも、どうしよう……いきなりピンチとかどうしよう。千晶に抜き方は教えてもらったけど……
「会長が言った通りだな。顔色が悪くなってきたぞ」
「えっ、うそっ!?」
皇月君の指摘に紫愛ちゃんがバッと離れて、顔を覗き込んでくる。
紫愛ちゃん、まつエクいらずの天然物の睫がバッサバサなんだよね……唇もプルップルだし……あー、やばい。
「ご、ごめん! ちょっとトイレに行ってくるね!」
紫愛ちゃんに耳打ちして私はその場から離れるつもりだった。紫愛ちゃんも一緒に行くとか言ったらどうしようかと思ったけど、私の腕を掴んだのは皇月君だった。
「えっと……お手洗いに行きたいんだけど……」
男子には言い辛いのに、引き留められても困るから恥を忍んで言ったのに、皇月君は手を離してくれない。
本格的にあれが『パオーン!』する前に一刻も早くこの場を離れたいのに。
「保健室に連れて行く」
「いや、だいじょ」
「それなら私が付き添う!」
ちょっとトイレで抜きたいだけなのに、大丈夫だと言わせてくれなかったのは紫愛ちゃん。
反対の腕を引っ張ってくるっていう、軽い地獄を味わわされるとか面倒臭いことになってるのは碧流先輩のせい?
「会長に釘を刺されたにもかかわらず早速具合を悪化させたやつが何を言う」
また紫愛ちゃんが「うぐぅ」と唸った。可愛いとか思っちゃうけど、私のキノコはそれどころじゃない。紫愛ちゃんが可愛ければ可愛いほどやばい。
でも、紫愛ちゃんも渋々手を離すあたり言い返せないらしい。
「俺が責任を持って運ぶ。そして、報告するのが俺の義務だろう」
「わわっ!」
急に体が浮いたかと思えば皇月君に物みたいに肩に担がれてた!
細いようで力持ち! いや、乙女ゲームのキャラの性と言うか、意外にいい体してるのはスチルで見て知ってるけど、これはひどい。スカートの中が見えそうで怖い。でも、暴れることを許してくれない威圧感……!
「ちょっと、レディーに対してその運び方はないんじゃない? 兄さんに報告するわよ?」
紫愛ちゃんはスマホをこっちに向けてる。こんな姿撮られたくないけど、脅しだった。
そして、それは皇月君には効果覿面だったみたい。降ろされて、正直そのまま自分の足でトイレに駆け込みたかったけど、また抱き上げられる。
「これで満足か?」
承認を求めるように皇月君が私を抱えて紫愛ちゃんを見る。
こ、これは所謂お姫様抱っこ……!
「あ、あの、だい」
「丁重に運びなさいよ」
大丈夫だから降ろして、って言いたかったのにまた紫愛ちゃんに遮られた。
でも、何だかお嬢様と執事みたい。
「お前の命令で動くわけじゃない。全ては会長のためだ」
ですよね……!
本当は私なんて触りたくもないんだと思うけど、碧流先輩のためなら何でもする姿勢の皇月君怖い。
そうして私の意思なんて無視で保健室に強制連行されるのだった。
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