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チャラ男&不良編1-2

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「でも、ののちゃんは来てくれた。俺と二人っきりになってどうなるか考えなかったの?」
「だって、瀬良君は慧斗君の親友だから……」

 私としては警戒してたのに、なぜか来てしまった。
 瀬良君じゃなかったら希々花も応じなかったと思いたい。希々花もそこまで警戒心のないキャラじゃないし、そんな強制力が働いたらモブ輪姦ルート一直線なのかも。
 実際は二人じゃない。武藤君もいるなんて聞いてなかったし、偶然ってわけじゃなさそう。
 だったら、武藤君は瀬良君の目的を知っててここにいるってこと……?

「俺、結構わかりやすくののちゃんのこと狙ってたと思うよ?」
「慧斗君のことは裏切れないから……瀬良君は可哀想だと思うけど、病院とかでちゃんと相談した方がいいと思う」

 親友の彼女をわかりやすく狙っちゃダメだし、私に相談するのも間違ってる。精神的なことなら尚更。
 なのに、瀬良君は私をじっと見詰めてくるし、武藤君は同意してくれない。

「きっとどんな薬も効かない。ののちゃんじゃなきゃダメなんだよ」
「そんな目で見てもダメだよ……」

 私じゃなきゃダメだって言われても素直に喜べない。嬉しくない。慧斗君だったら喜ぶべきだったかもしれないけど。
 でも、縋るような目を向けられても私は瀬良君の薬にはなれない。
 たとえ、自分がわからなくなっても他の人と関係を持つのはいけないこと。
 お兄ちゃんの件はしょうがないって言うのはどうかと思うけど、寝込みを襲われたわけだし……
 慧斗君とちゃんと話をしなければいけないんだろうけど、難しい気もする。良くてお仕置き、悪くて監禁……考えるのが怖い。

「女医さんに襲われて、俺、またトラウマ増えちゃうかも……」

 そんなことありえないと言い切れないのがこの世界の怖いところ。
 でも、お願いだから武藤君も何か言ってほしい。
 ダメなものはダメなんだけど、私じゃ瀬良君に勝てる気がしない。

「ののちゃんが好きだよ。慧斗のモノでも構わない」
「私が構うの!」

 突然の告白にどうしたらいいかわからない。
 略奪愛、ダメ絶対。

「ののちゃん、もう処女じゃないでしょ? 俺、待ってたんだよ?」

 慧斗君はそういうことを他人にすぐ漏らす人じゃないはず。いくら相手が親友でも。
 だとしたら、鎌掛けられてる? 動揺したら負け?

「他のチンポも試してみようよ、ね?」
「た、試さないから……」

 露骨に言われると耐性がないせいで平静を保てない。やばい。何かやばい。
 何か言ってほしくて助けを求めるように武藤君を見るのに、何も言ってくれない。目を逸らされた。
 自分でどうにかしろってこと? 頼るなって言うの?
 この場において武藤君は私の味方じゃない?

「それとも、もう試しちゃった?」

 お兄ちゃんとのことが脳裏を過ぎってギクリとした。
 それは絶対に隠さなきゃいけないことなんだけど……
 瀬良君がニィッと笑みを浮かべる。背中を冷たいものが走った。やばい。

「もしかして、図星?」
「ち、ちがっ……」
「もう慧斗には言えない秘密持ってる?」

 普段ヘラヘラしてるくせに見透かすような目が怖くて俯く。
 武藤君の視線も突き刺さるみたい。どうしよう尋問されてる気分。

「お兄ちゃん、かな?」
「ちがっ……」

 探りを入れてるようで、瀬良君は確信してるような気がする。

「タマ、嘘吐きは泥棒の始まりだ。俺には隠さなくていい」
「な、何で……」

 武藤君まで……
 二人とも私にお兄ちゃんがいることは知ってても、お兄ちゃんとは面識はないはず。

「同じ穴の何とかってやつ? だから、わかっちゃうんだよねぇ?」
「てめぇと一緒にされたくねぇけどな」
「私を脅すの……?」

 言ってることはよくわからないけど、やばい空気だけはわかる。
 慧斗君にバラされたら、私はいずれにしても終わると思う。
 シナリオに何か変化があっても、やばいことがまかり通る世界だってことは変わらない。

「まさか。慧斗には言わないよ?」

 瀬良君の言葉にほっとしていいかはわからない。
 全ては私次第なのかもしれない。

「俺は純粋にののちゃんとエッチしたいの」
「できないから……!」

 できないものはできない。だから、私は逃げるが勝ちだと思った。
 でも、逃げられなかった。
 立ち上がって逃げようとしたのに、瀬良君の反応が早くて、腕を捕まれて、そのまま引き寄せられて気付けば瀬良君の腕の中。
 それでも逃げようともがくのに強く抱き締められたまま顎を掴まれて無理矢理顔が上向かされて瀬良君の顔が近づいてくるのがわかって、顔を背けようとしてもできない。

「んっ、ぃやっ、ん、んぅっ……!」

 瀬良君にキスされて、ダメなのに逃げられない。
 あっという間に唇をこじ開けられて舌が入ってきて蹂躙される。
 いっぱい遊んでるだけあって上手いのかもしれない。頭がぼーっとするのは酸欠なだけじゃない感じがする。

「ん、ぁ……っは、ぅんっ! んんっ! ん……」

 ダメなのに、力は入らないし、瀬良君は止まらないし、胸まで揉んでくるし……お腹の奥が熱くなってくるのがわかる。
 この敏感体質、凄く困る。私がどんなにダメだって思っても体に裏切られる。

「はぁっ……は、っ……」
「エッチしたくなった?」
「なんない!」

 解放されたと思ったら、瀬良君はそんなことを聞いてくる。
 何もかも見透かされてるなんて思いたくない。
 だから、必死に瀬良君を突き飛ばして、どうにかその腕から抜け出して、扉へとダッシュした。一瞬足がガクッてなったけど、それでも走った。
 でも、扉は開かなかった。鍵がかかってるのは武藤君の仕業……?
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