ヤクザとJK?!

あさみ

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一章 ヤクザとの出会い

ヤクザの家

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「あっ、そこ曲がって、はい、そのマンションです」
そこまでの距離では無かったのですぐに着いた、車から降りようとドアに手を掛けたが開かない、驚いて何度もガチャガチャと開けようとした、が結局開かずじまい
「大丈夫だぞ桃、内側から開かないようにしてるだけだ、奥田、早く開けてやってくれ」
「へい」
そしたら奥田は素早く外に出て後部座席の扉を開けた
「あ、どうも」
ゆっくりと降りヤクザ達に向かって
「送っていただいてありがとうございます、では私はこれで」
そしてそそくさと去ろうとすると奏斗が声を掛けてきた
「桃!俺達な、あの結婚式場の近くに住んでんだ、良かったら遊びに来てくれよな!」
笑顔でそう言い赤い印の着いた地図を渡してきた、どうやらそこが奏斗達が住む住居の様だった。
「あっ、ありがとうございます」
「いいんだ、じゃあまたな!」
そして今度こそ奏斗と別れた、そのまま自分の部屋に戻り鍵を開け、誰もいない部屋にただいまと言う、赤いワンピースを脱ぎ、着替えながら結婚式の事、親戚の奏斗の事、ヤクザの事・・・。いつもとは全く違った日に思わず笑みがこぼれてしまった、独り暮らしを始めて今まで楽しかったと思えることがあっただろうか、いつもどうりの日常にはほんの少し刺激があった方が面白いかもしれない、貰った地図をじっと見つめながらそんなことを考えていた








翌日いつもどうり学校に行き、授業を受け、友達と話し、家に帰る・・・
前に昨日貰った地図を頼りに奏斗の家に行ってみることにした、少し迷いながらも赤い印の場所についたそこにあった家は古い日本家屋で門の前には二人の男が立っていた、一人は知らないがもう一人は昨日話していた奥田という男だったので怖いながらも話しかけた
「あの、すいません・・・」
「あ?誰だてめぇ」
知らない男は警戒した声とともに桃を睨んだ、ビクッと体を震わせたが奥田が思い出したかのように言った
「ん?君は確か昨日の・・・」
「あっ、えっと蒼井 桃って言います」
「そうか、桃さんどうかしましたか?」
「えっと奏斗さんと話してみたくて」
「奏斗・・・あっ頭ですか?すいません、今頭ちょっとした野暮用で出掛けてまして」
「あっ、そうなんだ・・・」
「・・・なぁ桃さん、頭は居ねぇが源ならいますよ、確か源も知ってますよね」
「あっ、源さんもいるんですか!」
パッと顔が明るくなってしまいついあっ、となった、奏斗を訪ねるのは少し戸惑ったが源を見るのは兄を訪ねるようで少し安心してしまう、こういうところが悪いのかな、と考えていると隣にいた知らない男は不思議そうな顔でずっとこちらを見ている、その視線に気付いて奥田は桃を紹介した
「そっか、お前昨日居なかったもんな、こちら頭の親族の桃さん、覚えておけよ」
するとその男はサーッと青ざめて
「あ、か、頭の親族でしたか・・・すいませんでした」
急に態度を改めてたどたどしく謝ってきた、その姿を見ていると奏斗が怖いのだろうか、と思ってしまうしかし物心つくまで育ててもらったことを思うと申し訳なくなる、怖いなんて感情を押し潰し言葉を返した
「いえ、私は気にしませんし、急に来た私が悪かったです」
「それで、源に会いますか?」
「あ、会いたいです、いいんですか?」
「おう、源も歓迎すると思うから。どうぞ」
「じゃあお邪魔します」
そして後押しされて奥田と一緒に中に入っていった、中は幅が小さい廊下で個室がちょくちょくある、たまに見るヤクザ達は怪訝そうな顔で桃を見た、奥田に声をかける人もいた、流石に怖くて途中からはうつむいて着いていくのが精一杯だった、そして一つの部屋の前につくと奥田は
「源、客が来てる入るぞ」
中にいる源が入れ、と言うと奥田は扉を開いた、中は少し小さめの会議場のような所で源が一つの席に座っていた、源の手元や低めの机の上には沢山の紙が置いてある
「あれ?お嬢、どうしたんですか昨日の今日で、頭に用事でもありましたか?」
源は持っていた紙束を置きゆったりとした柔らかな視線をこちらに向け微笑んだ
「いえ、あのっ」
「桃さん、自分は仕事があるのでこれで失礼します」
「あっ、」
パタンと扉を閉められた、源と二人きりにされてどうしようか迷っていると源が
「お嬢、お茶入れますんで座ってください、その格好を見るに学校帰りですか?」
「あ、はい」
「学校は楽しいですか?」
「はい、楽しいです」
「それは良かった、友達は?勉強は?何か困ってる事はない?」
「えっと、えーと」
急に質問攻めにされてどうしようかとオロオロしていたら源はハハ、と笑った
「急にすいません、でもお嬢、ヤクザ怖くないんですか?」
「怖い、です」
ここに来るまでに幾度もヤクザの鋭い視線を浴びた私は奏斗の事など恐怖で忘れていた
「そりゃそうですよね、いくら親戚がヤクザだからって恐怖心は無くなりませんから」
「ごめんなさい」
「謝らんで下さい、大丈夫ですよ、むしろ怖いのに来てくれてありがとうございます、それで、本当に今日はどうしたんですか?」
「えっと、家に帰っても一人でつまらないから、来ました」
なんとも子供っぽい理由だが本当のことだ、昨日が楽しかったのにまた一人のあの空間にずっと居るのは嫌だった、それなら怖くても自分で行動しないと、と思ったのだ
「へぇー!お嬢独り暮らしなんですね偉いなぁ、それならいくらでもいてください」
やっぱり源の声色は優しくて落ち着く、初めて見たとしてもヤクザだとは思わないほど清潔感がありさっぱりとしていると、例えるなら本当に理想のお兄ちゃんだ。
「ありがとう、お兄ちゃん」
「え、私はお兄ちゃんではありませんよ!まったく」
照れているのも少し可愛いと思ってしまう、そしてお茶を頂きそこで宿題をしてから帰ることにした、宿題をやっている間に源はデスクワークを素早くこなし、部屋に入ってくる部下のような人達にも信頼されていた、また源を知ることが出来た、そして帰るとき
「お邪魔しました」
「うん、またおいで」
「はい!今度は他の皆さんとも話してみたいです」
「他の?部下達の事かい?いいよ、いくらでも」
すんなりと許可がおりた、そしてまた来る約束をして自分の家に帰った、夕焼けが綺麗なのを見て源と会った日を思い出していた。
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