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本編

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「え!?
ちょっと待って。
レオンくん、とりあえず頭を上げて!」

レオンくんの突然の土下座に驚く。
アレンに助けを求めるが何故か抱きしめている手が強くなるだけだった。

「アレン?」

「………レオンとりあえず、あっちに座れ。
トオルに説明をする。
あと、一応言っておくがトオルは俺のだからな。」

何故か機嫌が悪いアレンの言葉を聞いてレオンくんが頷きながらソファーに腰掛けた。

レオンくんが座るのを見てアレンは、俺を抱き上げて反対側のソファーに座る。

もちろん、俺は膝の上に乗せられた。

レオンくんの手前恥ずかしかったが、抵抗しても無駄だった為、気にしないことにした。

「えーっと、とりあえず、改めてトオル・オガワです。
ラインハルトのこと助けてくれてありがとうございました。」

まだ彼にお礼を言えてなかったことを思い出して自己紹介とお礼を言った。

レオンくんが俺の名前を聞いて何かを確信したように頷く。

「オガワトオルさん……。
あの…もしかして…日本人ですか?」

彼から飛び出した意外な言葉に固まった。

「え?なんで!?」

こちらに来てから初めて言われた言葉だ。
俺の反応にアレンがレオンくんに対して警戒心を剥き出しにする。

「あ、いや、アレンさん落ち着いてください!」

敵意を向けられたレオンくんは、青い顔をしながら説明してくれた。

「俺、実は、前世の記憶があるんです!
こことは違う世界で暮らしてて、大学生だったんですけど、学校帰りに轢かれそうな猫を助けてトラックに轢かれて……。」

轢かれて次に目が覚めたらこの世界に転生していたそうだ。

「今は、レオン・サザンカンフォードの王子として生まれました。」

レオンくんの突然の告白に驚いて言葉も出ない。

俺以外にも転生者が居たなんて…。
いや、俺は渡り人だから正確には違うんだけど……。

でも、冷静に考えてみたら昔、白魔法を使えた人だって渡り人だったわけで他に転生者が居ても可笑しくは無いのかもしれない。

レオンくんがシュークリームを見た時に「シュークリーム」と言ってたのは転生者だったからか…。

え?待って!?
今、サザンカンフォードの王子って言わなかった?

俺、他国の王子様に土下座されたの?
不敬罪とかで処されない?

くん付けで呼んじゃってたし…。
転生者として言うことも驚いたが、それよりも不敬罪の方が怖くなってきた……。

アレンも知らなかったらしく驚いている。

「その事は、サザンカンフォードの人間は知って居るのか?」

アレンがレオンくんに聞く。

「いえ、こんな話をしても誰も信じてくれないでしょうし、誰にも話していません。
今回だって、トオルさんの容姿と名前を見なかったら話すことは無かったでしょうし…。」

アレンと俺は、納得したように頷いた。

確かに、俺は、守護竜であるコア様から直接言われてるから皆が信じてくれたんだもんな。

転生していて前世の違う世界での記憶があるなんて話をしたら普通は頭がおかしい奴って思われてしまうのかもしれない。

「とりあえず、その話はまた今度ゆっくりトオルと話をしてくれ。
今は、サザンカンフォードの国王の話を…。」

アレンの言葉にレオンくんが頷き、ブラン・イェーガー王国に来た経緯を教えてくれた。


「えっと、つまりレオン殿下のお父様、つまり王様が私と同じ守護竜が加護を受けた人で普通の魔法では瘴気が浄化出来ないと…?」

レオンくんからの話を聞いて確認する。

「はい。
トオルさん、普通に話してもらって構いませんよ?
俺の方が年下ですし、ましてや助けて頂く立場ですし…。」

レオンくんに懇願されてしまい、転生者と言うこともあってライリーくんよりは抵抗なく普通に話せた。

「わかった。
じゃあ、サザンカンフォードに行って王様を白魔法で治療すればいいんだね?
サザンカンフォードって遠いんだよね?
なら、少しでも早く出発しないと!」

話を聞く限り王様はかなり危ない状態らしい。

せっかく俺を頼って来てくれたのに2日間も眠っていたことを後悔した。

「トオル、落ち着け。
レオンの魔法とヴェインの薬があれば1日で着けるはずだ。
行くにしても、物資の調達をして準備してからじゃないとダメだ。
今日は休んで明日出発する。
レオンもそれでいいか?」

アレンに諭されて流行る気持ちを抑えた。


レオンくんは、ヴェインさんの薬と聞いて青い顔をするが、お父さんの命がかかって居る為、覚悟を決めたようだった。

むしろ、もっと出発が遅くなることも予想していたらしく直ぐに了承してくれたのだった。

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