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第二章

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 ゼロスの言葉を聞いて、レノアが冷静さを取り戻す。

「……すまない。取り乱してしまった。本心からじゃないんだ。つい、反射的に……」

 レノアの謝罪の言葉を聞いて、ゼロスが暖かな笑みを浮かべた。

「わかっている。気にすることはない。それよりもこれからのことを考えよう」

 レノアがうなずく。

「まずは詳報だ。お怪我の具合もまだわかっていない。それに事件の詳細も。護衛はどうしていたのか、どのようなシチュエーションで、そのような事件が起こってしまったのか。それと、ワイズマンとゼークルがその後どうなったのかについてもだ!」

 レノアはつとめて冷静に言おうとした。だが最後の方の言葉には、言いようのない怒りが色濃くにじんでいた。

 俺はうなずき、覚悟を決めた。

「俺が、ワイズマンを仲間に引き込んだ。そのワイズマンがアリアスを傷つけたというのならば、当然俺には、アリアスに怪我を負わせた責任が生ずる。もしもワイズマンたちがまだ捕まっておらず、今も逃げおおせているとしたら、やつらを地の果てまでも追いかけて、その息の根を止めてみせる。だがまだ詳細がわからない。ならば今は動かず、次なる連絡を待つしかない」

 レノアが続く。

「責任は僕にもある。ワイズマンを最終的に仲間に加えたのは、僕の判断だったからだ」

「いや、レノアは……」

 すかさず反駁しようとする俺を、レノアがサッと手を上げ、制した。

「僕にも責任はある!きっかけを作ったのは君だが、判断を下したのは僕だ。だから僕にも間違いなく責任があるんだ。異論は認めないよ!」

 俺は、うなずくしかなかった。
 
 レノアはそれを見て、続ける。

「だから、僕らは共通の責任を負っていることになるんだ。僕も君同様に、責任を果たしたい。だけど、そのためにもやっぱりもっと情報が欲しい。捕まったのか、逃げたのか、逃げたにしてもどちらの方角に逃げたのか。出来る限りの情報が欲しいところだ」

 壮年の男が口を開く。

「おそらく、今夜中には次なる報が入ると思われます。それまで皆さま、どうかお休みください。身体を休めませんと、次なる動きに支障がでましょう。そのときに備え、どうぞこの部屋をご自由にお使いください。奥には寝室のご用意もしております。お食事やお風呂の準備も出来ております。無論、事が事だけに難しいこととは存じますが、どうぞ少しでもこの部屋で、おくつろぎください」

 男はそう言って頭を深々と下げた。

 レノアは心からの感謝を、男に対し述べた。

「なにからなにまで、本当にありがとうございます。それでは、お言葉に甘えて、ゆっくり休ませてもらいます」
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