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第二章
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俺たちは道なりに半日歩き、レボーナの町を遠くにのぞむところまでたどり着いた。
遥か彼方に見える町並みは、高い発展の度合いを示していた。
ここまでの道のりは大変だった。
途中に町や村などはまったくなかったのだが、行き交う人がいなかったわけではない。
彼らはみな、俺たちが連れている巨大なレアモンスターを見ては腰を抜かし、命乞いをした。
それをなだめるのに、俺たちはひと苦労だった。
この先もそうだとすると、かなりしんどい。
そう思い、レノアに尋ねた。
「なあ、レアモンスターを連れているし、この先も面倒なのかな?」
レノアは口角をクイッと上げる。
「大丈夫。それはここまでのことさ。恐らくこの先は問題ないと思うよ」
「どうしてそんなことが言える?」
レノアはキュッと肩をすくめた。
「手配をしたからさ」
「そうなのか?」
「ああ、手紙を送ったのは王都だけじゃない。ここレボーナの町にも送ったさ」
「しかし、レボーナの町の誰あてに送ったんだ?知り合いでもいるのか?」
「いや、そうじゃない。レボーナはかなり大きな町と聞いていたから、きっとあると思っただけさ」
「ある?なにが?」
「バーン商会の出張所さ」
なるほど、バーン商会か。
バーン商会とは、盟友アルフレッドたちが所属している商会だ。オルダナ王国いちの巨大な商会であり、大きな町なら当然、その出張所が存在しているだろう。
「たしかに、あれくらい大きな町なら、バーン商会の出張所はあるだろうな」
俺は、遥か遠くに見える町並みを見つめながら、言った。
「そう思ったんでね。これこれこういうことだから、よろしく頼むって手紙を送ったのさ」
俺は思わず苦笑した。
「ずいぶんアバウトだな」
レノアはまたも肩をすくめる。
「まあ初めてじゃないしね。以前のときもその手を使ったから」
「そうなのか。じゃあ前も、各町の出張所に連絡して準備してもらってたのか」
「そういうこと。だから、この先は問題なくいけると思うよ」
「またパレードか」
レノアが笑う。
「いや、今回は出来るだけ質素に、速度を上げるつもりさ」
「デュランドルを連れているから、なかなか難しいんじゃないか?」
デュランドルはとても大きい。まずもって、これほど巨大なレアモンスターなど、見たことない人がほとんどだろう。つまりは見栄えがする。人々に取り囲まれて、大変な騒ぎになるのは目に見えている。
だがレノアは、自信たっぷりに俺の考えを否定した。
「大丈夫。その辺も準備は周到さ」
遥か彼方に見える町並みは、高い発展の度合いを示していた。
ここまでの道のりは大変だった。
途中に町や村などはまったくなかったのだが、行き交う人がいなかったわけではない。
彼らはみな、俺たちが連れている巨大なレアモンスターを見ては腰を抜かし、命乞いをした。
それをなだめるのに、俺たちはひと苦労だった。
この先もそうだとすると、かなりしんどい。
そう思い、レノアに尋ねた。
「なあ、レアモンスターを連れているし、この先も面倒なのかな?」
レノアは口角をクイッと上げる。
「大丈夫。それはここまでのことさ。恐らくこの先は問題ないと思うよ」
「どうしてそんなことが言える?」
レノアはキュッと肩をすくめた。
「手配をしたからさ」
「そうなのか?」
「ああ、手紙を送ったのは王都だけじゃない。ここレボーナの町にも送ったさ」
「しかし、レボーナの町の誰あてに送ったんだ?知り合いでもいるのか?」
「いや、そうじゃない。レボーナはかなり大きな町と聞いていたから、きっとあると思っただけさ」
「ある?なにが?」
「バーン商会の出張所さ」
なるほど、バーン商会か。
バーン商会とは、盟友アルフレッドたちが所属している商会だ。オルダナ王国いちの巨大な商会であり、大きな町なら当然、その出張所が存在しているだろう。
「たしかに、あれくらい大きな町なら、バーン商会の出張所はあるだろうな」
俺は、遥か遠くに見える町並みを見つめながら、言った。
「そう思ったんでね。これこれこういうことだから、よろしく頼むって手紙を送ったのさ」
俺は思わず苦笑した。
「ずいぶんアバウトだな」
レノアはまたも肩をすくめる。
「まあ初めてじゃないしね。以前のときもその手を使ったから」
「そうなのか。じゃあ前も、各町の出張所に連絡して準備してもらってたのか」
「そういうこと。だから、この先は問題なくいけると思うよ」
「またパレードか」
レノアが笑う。
「いや、今回は出来るだけ質素に、速度を上げるつもりさ」
「デュランドルを連れているから、なかなか難しいんじゃないか?」
デュランドルはとても大きい。まずもって、これほど巨大なレアモンスターなど、見たことない人がほとんどだろう。つまりは見栄えがする。人々に取り囲まれて、大変な騒ぎになるのは目に見えている。
だがレノアは、自信たっぷりに俺の考えを否定した。
「大丈夫。その辺も準備は周到さ」
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