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第二章
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「どうやら、お前の言うとおりらしい」
俺は、目の前でじっと俺のことを観察しているエニグマを見据えて言った。
エニグマの目が細まる。
「『お前』……ね。どうやら、また一皮むけたみたいだね?」
俺は一つため息を吐いた。
「そうだな。たぶん、今の俺が本当の俺だと思う」
「なるほど。『お前』に『俺』か。それが君の本性なんだね?」
「たぶんな。ようやく混沌としていたものが、きちんと整理されて分かたれたような気がするよ」
エニグマがさらに目を細めて、俺を見る。
「雰囲気も変わったね。先ほどよりも遥かに変わった。またさらに別人のようだよ」
「かもしれない。それほどに『俺』と、先ほどまでの『僕』とでは、違うからな」
エニグマの愉悦が漏れる。
「おもしろい。ほんとうにおもしろいよ。まったく、君という男は、どうして僕をここまで楽しませてくれるのか」
「別に、お前を楽しませようとしているわけじゃない」
「だろうね。でも結果的に僕はとても楽しんでいるよ」
「勝手にしろ」
「そうだね。勝手に楽しませてもらうとしよう」
エニグマはそう言うと、前に足を踏み出した。
だが俺の目の前でくるっと九十度向きを変えると、また歩き出した。
どうやら俺の周りを周るらしい。
「ふうん、身体つきも少し変わったかな。肉付きが良くなったし、背も少し伸びたようだ」
身体つきが変わった?背が伸びた?さすがに嘘だろ。
そうして再び俺の前に出る。
「だけど、顔が一番大きく変わった」
俺は少し驚いた。
「それは、比喩で言っているのか?それとも――」
「比喩ではないよ。身体つきもだけど、顔つきが本当に大きく変わったんだ。かなり、精悍になったし、特に目つきが大きく変わったね。かなり鋭い。君には見えないからわからないだろうが、本当のことさ。だから、別人のようだと言ったのも、僕の正直な感想だよ」
本当なのか?人間の相貌や身体つきが、中の人格が入れ替わったくらいで、そんなに大きく変わるものなのか?
だが、嘘はつけない状況だ。だいたい、エニグマがこんなことで嘘を言ったところで、あとで鏡を見ればわかることだ。嘘を吐く意味がない。
なら、本当なんだろう。本当に俺の顔や身体は変わってしまったんだろう。
「わかった。後で確認するさ」
「そうだね。それがいい。ところで――さっきの話は変わったかな?」
「さっきの話?どの話だ?」
「君が大陸全土を統一すればいいと僕が言ったことについてさ。先ほどと今では、変わったんじゃないかな?」
俺は自分自身に問いただす。どうなんだ?
「多少変わった」
「ほう、多少ね」
「まずはアリアス王女をかついでアルデバラン王国を再興する。大陸全土を統一する方向に向かうかどうかは、その後に決めることにするよ」
俺は、目の前でじっと俺のことを観察しているエニグマを見据えて言った。
エニグマの目が細まる。
「『お前』……ね。どうやら、また一皮むけたみたいだね?」
俺は一つため息を吐いた。
「そうだな。たぶん、今の俺が本当の俺だと思う」
「なるほど。『お前』に『俺』か。それが君の本性なんだね?」
「たぶんな。ようやく混沌としていたものが、きちんと整理されて分かたれたような気がするよ」
エニグマがさらに目を細めて、俺を見る。
「雰囲気も変わったね。先ほどよりも遥かに変わった。またさらに別人のようだよ」
「かもしれない。それほどに『俺』と、先ほどまでの『僕』とでは、違うからな」
エニグマの愉悦が漏れる。
「おもしろい。ほんとうにおもしろいよ。まったく、君という男は、どうして僕をここまで楽しませてくれるのか」
「別に、お前を楽しませようとしているわけじゃない」
「だろうね。でも結果的に僕はとても楽しんでいるよ」
「勝手にしろ」
「そうだね。勝手に楽しませてもらうとしよう」
エニグマはそう言うと、前に足を踏み出した。
だが俺の目の前でくるっと九十度向きを変えると、また歩き出した。
どうやら俺の周りを周るらしい。
「ふうん、身体つきも少し変わったかな。肉付きが良くなったし、背も少し伸びたようだ」
身体つきが変わった?背が伸びた?さすがに嘘だろ。
そうして再び俺の前に出る。
「だけど、顔が一番大きく変わった」
俺は少し驚いた。
「それは、比喩で言っているのか?それとも――」
「比喩ではないよ。身体つきもだけど、顔つきが本当に大きく変わったんだ。かなり、精悍になったし、特に目つきが大きく変わったね。かなり鋭い。君には見えないからわからないだろうが、本当のことさ。だから、別人のようだと言ったのも、僕の正直な感想だよ」
本当なのか?人間の相貌や身体つきが、中の人格が入れ替わったくらいで、そんなに大きく変わるものなのか?
だが、嘘はつけない状況だ。だいたい、エニグマがこんなことで嘘を言ったところで、あとで鏡を見ればわかることだ。嘘を吐く意味がない。
なら、本当なんだろう。本当に俺の顔や身体は変わってしまったんだろう。
「わかった。後で確認するさ」
「そうだね。それがいい。ところで――さっきの話は変わったかな?」
「さっきの話?どの話だ?」
「君が大陸全土を統一すればいいと僕が言ったことについてさ。先ほどと今では、変わったんじゃないかな?」
俺は自分自身に問いただす。どうなんだ?
「多少変わった」
「ほう、多少ね」
「まずはアリアス王女をかついでアルデバラン王国を再興する。大陸全土を統一する方向に向かうかどうかは、その後に決めることにするよ」
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