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第二章

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 僕の微笑を見て、エニグマが軽く顔を傾け、不敵な笑みを浮かべる。

「へえ、どうやら予想していたようだね?」

 僕はうなずき、口を開く。

「そうだね。考えの内にはあったよ。この惑星と僕の生まれた惑星は似ているところもあるけど、違う所も多いからね」

 エニグマは納得した顔をした。

「違う所か。どんなところが違うと思う?」

 僕は間髪を入れずに答えた。

「一番大きな違いは、魔法だね。僕の生まれた惑星には魔法がなかった。そのかわりに科学がだいぶ発展しているけどね」

 エニグマが目を細めた。

「へえ、魔法がないのか。それは知らなかった」

 僕は予想外の答えに驚いた。

「え?知らなかったの?」

 エニグマが笑った。

「知らないよ。僕は知っていることのすべてを話すと言ったけど、すべてを知っているとは言っていないからね」

「そりゃあそうだろうけど……でも僕の生まれた惑星については知っているんだよね?」

 エニグマは顔を横に傾け、楽しそうに僕を見る。

「知らないよ。見たこともない」

「ちょっと!どういうことさ!僕の生まれた地球を知っているから、この惑星とは違うって言ったんじゃないの!?」

 エニグマは僕の反応を楽しんでいるようで、クスクスと笑っている。

「君がこの惑星の出身じゃないってことは知っているよ。だけど君がその、地球というのかい?その惑星の出身だと言うことは知らなかったよ」

 僕は混乱した。

「ちょっと待ってよ。どういう意味なんだ?」

 エニグマはまた両手を前に出し、まあまあと僕を制した。

「僕が知っているのは、君がこの惑星の出身じゃないってことだけさ。地球に関してはなんの知識もないよ」

 僕は眉をひそめた。

「もしかして、僕を引っかけた?適当なことを言って、僕から情報を引き出そうと……」

 すると、エニグマが前に差し出した両掌をひらひらと振った。

「そんなんじゃないさ。僕は或る理由で、君が他の惑星から転移したことを知ったんだ。だからそれを言っているだけさ」

 ようやく僕は落ち着きを取り戻し、エニグマの話を理解した。

「そういうことか。地球を知っていたわけじゃないんだ」

「そう。知らない。行ってみたいとは思うけどね。今の僕の力じゃ、遠すぎてまだ無理だろうね」

 僕はエニグマの言葉に引っかかった。

「遠すぎるってことはわかっているんだ?」

 エニグマは当然だといわんばかりのしたり顔となった。

「もちろんさ。遥か彼方の何処かにあるはずだ。もっともどれくらいの距離なのかも、どの方向にあるのかもわからないけどね」 
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