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第四章
56話
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璃兵衛とレンが何かを言うよりも先に、茜は笑顔で告げた。
年相応の笑顔には赤よりも萌黄色の着物がよく似合う。
「なら、これを」
璃兵衛は茜の髪にそっと茜から預かっていた櫛をさしてやった。
櫛からは赤くいびつに咲いていた花は消えていた。
「ええの? これ、うちが店に持ってきたやつなのに」
「持っていくといい。母親からもらったものだろう」
「うん……」
ふたりのやりとりをじっと見ていたレンは首に下げていた守り袋から小さな紙を取り出すと茜に渡した。
「なんなん、この紙?」
「俺の棺に一緒に入れられていた護符の一部だ。お前と母親のことを守ってくれるはずだ」
「……おおきに、鬼のお兄ちゃん!」
「俺は鬼ではないと……まあ、いい。気を付けていけよ」
「うん! ほんまおおきに!」
年相応の笑顔には赤よりも萌黄色の着物がよく似合う。
「なら、これを」
璃兵衛は茜の髪にそっと茜から預かっていた櫛をさしてやった。
櫛からは赤くいびつに咲いていた花は消えていた。
「ええの? これ、うちが店に持ってきたやつなのに」
「持っていくといい。母親からもらったものだろう」
「うん……」
ふたりのやりとりをじっと見ていたレンは首に下げていた守り袋から小さな紙を取り出すと茜に渡した。
「なんなん、この紙?」
「俺の棺に一緒に入れられていた護符の一部だ。お前と母親のことを守ってくれるはずだ」
「……おおきに、鬼のお兄ちゃん!」
「俺は鬼ではないと……まあ、いい。気を付けていけよ」
「うん! ほんまおおきに!」
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