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終章
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群馬県松井田町のとある農家に、一つの言い伝えが残っている。
明治元年(慶応四年)四月八日の深夜。
若く美しい女性が、小栗の家の者だと名乗って立ち寄った。髪も綺麗に結い立派な着物を着て、男の赤ん坊を背負っていた。
その婦人が「動けなくなった幼い女の子二人を、川に沈め石を載せて浮かないようにしてきた。その子達の迷子札が敵に見つかれば追跡される恐れがあるので、取ってきて欲しい」と手を合わせて懇願した。
翌朝、農家の長男と近所の老人で言われたとおりの場所に沈んでいた幼女達の迷子札を取って、持ち帰った。
女性は待ち合わせの人を待ってもう一日を農家で過ごしたが、追跡を恐れて出ていくこととなり、農家の女に変装して行った。それまで着ていた綺麗な着物と帯と、櫛や笄、印鑑、護身用の脇差をお礼に置いていった。
後年、その女性が残していった脇差と迷子札を、小栗家に縁のある寺に預けた。その迷子札は真鍮製で、縦五センチ横三センチの小判型。紐が付いている。
表面に「小栗氏」「塚本」と刻まれていた。
農家に立ち寄った女性は、小栗家に仕えた塚本真彦の夫人であったという。
幼女達が亡くなった川辺には、平成五年、慰霊のための「姉妹観音」が建立された。
明治元年(慶応四年)四月八日の深夜。
若く美しい女性が、小栗の家の者だと名乗って立ち寄った。髪も綺麗に結い立派な着物を着て、男の赤ん坊を背負っていた。
その婦人が「動けなくなった幼い女の子二人を、川に沈め石を載せて浮かないようにしてきた。その子達の迷子札が敵に見つかれば追跡される恐れがあるので、取ってきて欲しい」と手を合わせて懇願した。
翌朝、農家の長男と近所の老人で言われたとおりの場所に沈んでいた幼女達の迷子札を取って、持ち帰った。
女性は待ち合わせの人を待ってもう一日を農家で過ごしたが、追跡を恐れて出ていくこととなり、農家の女に変装して行った。それまで着ていた綺麗な着物と帯と、櫛や笄、印鑑、護身用の脇差をお礼に置いていった。
後年、その女性が残していった脇差と迷子札を、小栗家に縁のある寺に預けた。その迷子札は真鍮製で、縦五センチ横三センチの小判型。紐が付いている。
表面に「小栗氏」「塚本」と刻まれていた。
農家に立ち寄った女性は、小栗家に仕えた塚本真彦の夫人であったという。
幼女達が亡くなった川辺には、平成五年、慰霊のための「姉妹観音」が建立された。
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この先の真知雄くんに子供らしい笑顔が、光さんにも幸せと感じられる暖かい日々があるといいな、と願っています
いくさに巻き込まれて難儀するのはいつも立場の弱い人々であります。作中の悲劇もひどい話ながら、二人の寡婦の人生が鮮やかに描かれたお話でした。
マスケッター様
またのご感想をありがとうございます。
作中の悲劇は、ちょっと描くことをためらった内容でもあったのですが、本当に酷いことだと思っております。
二人の寡婦の対照については、自分としてはあまり考えていなかったことで、お言葉で目からウロコでございました。
暖かいお言葉、嬉しく頂きます。感謝でございます。