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第二章
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怖いだろうと問われて、月子は忙しない鼓動のうちでうなずいた。
怖い。それは確かだ。
だが、その問いに源治の思いやりを感じる。
優しい人でなかったら、そんなことは問わないだろう。
「やめないでください」
折り重なっていて、着物越しに触れる彼の身体が温かい。その温もりから突き放されたくないと月子は思った。
はあ、という源治の溜息を耳元に聞いた。彼の吐息もどこか震えている。
「良くないことだ……。本当なら、こんなことは」
月子のような娘ならば、こんなことは嫁いだ初夜の白い新床にあるべきことで、こんな、薄汚れた船宿の褥の上で、あってはならない。
語りながら、源治は虚しくなる。
月子のように凛と美しく気立ても良い武家の娘が、身体を売るために辻に立った。貧しさの悲しみを感じた。
その偏った貧しさを生み出すものは偏った政治のなせる業だ。それを是正するために、彼女の父は静かに筆を執って戦っている。源治はその一端のために働いている。
その静かな、そして鈍重な戦いの傍らで、日々の貧しさの糊口をしのぐために、月子は身体を売ると決断するような事態になった。彼女の父がもし、そのような戦いに関わることなく身分相応に内職に精を出すような尋常で凡庸な男だったのなら、彼女は、身を売るほどの困窮に陥らなかったのではあるまいか。
源治は畑野を尊敬してはいる。それでも、今は、ひどく憤りさえ感じていた。
憤りは、月子のためのものだ。
月子は、誤った道であるのかもしれないが、家族を守るという、目的こそ小さいが彼女なりの尊い戦いを始めている。その尊さが、源治を悲しくさせている。
悲しいと思う分、驟雨に打たれたように、眼下の月子を愛しく感じた。
間違っていると思う。
明らかに過ちなのだと思う。
そう思いながら、源治は、月子の唇に再び触れた。とがめるような指先を避けてその襟元に手をかけて開く。
月子の声が湧いた。反射的に身を引こうとしている。
懐の中で蠢く源治の手から、その肌が逃れようとする。
源治の腕が月子を抱え、背の帯を解いている。作業をしながら、彼の唇が月子の唇を吸い、首筋をなぞり、暴いた胸元を吸った。震えたままの月子の手が源治の肩にしがみついた。
ざわざわする衣擦れの音と共に、月子は皮膚に夜の気配を知った。袖を抜かれた。源治の目に素肌をさらしていると知る。胸の底の震えが増した。恥じらいに目蓋を上げられない。
黙ったままで源治は月子を裸にした。か細い肢体が痛々しい。糧の足りない身は四肢のみでなく躯体も細い。それでも、胸元には娘らしい青い実りが在った。
汚れを知らない白い肌が、窓からの朧月の光に皓々と、源治の瞳を射ている。
びく、と月子の身体がすくむ。
呼気を荒げながら、源治の手が月子の胸の膨らみを両手で触れている。可愛らしい乳房が浅黒い手で無残な形に歪められるのを、源治は他人事のように眺めた。指先に捩られた乳首が桜の蕾のように硬く尖る。
胸元に吸い付いた唇の感触に月子が喘ぐ。小刻みの呼気に時折混じるか細い声が、源治の脳裏を焼いた。
昂揚のまま、源治は月子の下肢に手を伸ばした。淡い彩りの下に指を滑らせる。柔らかなそれを触れ、やがて指先が一つ、月子のうちに沈む。
「嫌!」
悲鳴に近いような声で月子が啼く。身を竦ませて、源治の手を押さえた。
頭上に月子の抗いの声を聞きながら、源治はそのしぐさをもう止めることができない。青白い乳房を吸い、身を捩る細い腰を抱えて指先を蠢かす。撹拌しながら奥へと触れていく。
「いや……」
硬く閉ざした目蓋の下に涙が滲む。眉を寄せて、唇をかみ締めていた。
いや、と何度も月子は言った。戦慄を身体に走らせて、その肌を粟立てている。本能が、抗っている。抗いが源治にもわかる。
何度目か、慄いたときに月子の髷がほどけて散った。明確な拒絶をこめて、月子の手が源治の身体を押し離そうとしている。
それでももう止められない。下帯の中で源治のそれが猛っている。
哀れな、と感じながら、月子の肌身に触れることを止められない。
彼の手を、月子が濡らしている。それを、焙られるような思いで、源治の身体が欲している。
未だ三十路に成らぬ旺盛な男の肉体が、眼下の少女を欲している。
駄目だ。もう、止めろ。心のどこかで荒ぶる源治を制する声がしている。
あ、と声を上げながら月子の身体が反る。わずかな膨らみの乳房も飽かずに貪られてぬらぬらと照っていた。源治の指先を咥えこんだ秘所が熱い。青白い内腿に蜜が伝っていた。
十六歳のか細い体が、それでも女だと、その内に沈んだ指を伝って源治の男に告げている。
眉を寄せ、硬く目蓋を閉ざしながら喘ぐ月子の頬が紅く見える。華奢な肢体が煩悶する。繊細に整った顔が、身体に加えられる仕草に艶めかしく歪む。細い声が漏れる。
それを見る目に聞く耳に欲情を与える。
初めては、貴方が良い。月子は確かにそう言ったではないか。
源治は身体の火照りに堪えかねて着ているものを脱ぎ去った。
月子の下肢を割る。
胸の奥で彼を制する声は、もう消えた。
「源治さ……ん!」
高い声。そんなこと、と月子が震えた。
引き裂いた下肢の中の乙女に、源治は唇をつけている。尖らせた舌先でその中を犯す。びく、と華奢な腿が震えるたびに、蜜が彼の唇を濡らす。
ざらりと生温かい感触をそのようなところに覚えて、月子は震えた。湿った音を立てて、彼が月子の秘所を啜っている。月子の奥底から溶け出すそれを誘い出そうとしている。羞恥も何も通り超えた得体の知れない感覚で月子は身体を震わせて、啼く。
ああ、というような昂ぶった男の吐息が月子の上に落ちてくる。
「許してください」
こんなことを、と源治は言った。
月子の蜜をなぞり、源治は潤んだ女に己を擬した。昂ぶりを抑えながら、静かに体を月子の中に進める。
「いや……!」
裂かれるような疼痛をその箇所に覚えて、月子は身体を強張らせた。
怖い。それは確かだ。
だが、その問いに源治の思いやりを感じる。
優しい人でなかったら、そんなことは問わないだろう。
「やめないでください」
折り重なっていて、着物越しに触れる彼の身体が温かい。その温もりから突き放されたくないと月子は思った。
はあ、という源治の溜息を耳元に聞いた。彼の吐息もどこか震えている。
「良くないことだ……。本当なら、こんなことは」
月子のような娘ならば、こんなことは嫁いだ初夜の白い新床にあるべきことで、こんな、薄汚れた船宿の褥の上で、あってはならない。
語りながら、源治は虚しくなる。
月子のように凛と美しく気立ても良い武家の娘が、身体を売るために辻に立った。貧しさの悲しみを感じた。
その偏った貧しさを生み出すものは偏った政治のなせる業だ。それを是正するために、彼女の父は静かに筆を執って戦っている。源治はその一端のために働いている。
その静かな、そして鈍重な戦いの傍らで、日々の貧しさの糊口をしのぐために、月子は身体を売ると決断するような事態になった。彼女の父がもし、そのような戦いに関わることなく身分相応に内職に精を出すような尋常で凡庸な男だったのなら、彼女は、身を売るほどの困窮に陥らなかったのではあるまいか。
源治は畑野を尊敬してはいる。それでも、今は、ひどく憤りさえ感じていた。
憤りは、月子のためのものだ。
月子は、誤った道であるのかもしれないが、家族を守るという、目的こそ小さいが彼女なりの尊い戦いを始めている。その尊さが、源治を悲しくさせている。
悲しいと思う分、驟雨に打たれたように、眼下の月子を愛しく感じた。
間違っていると思う。
明らかに過ちなのだと思う。
そう思いながら、源治は、月子の唇に再び触れた。とがめるような指先を避けてその襟元に手をかけて開く。
月子の声が湧いた。反射的に身を引こうとしている。
懐の中で蠢く源治の手から、その肌が逃れようとする。
源治の腕が月子を抱え、背の帯を解いている。作業をしながら、彼の唇が月子の唇を吸い、首筋をなぞり、暴いた胸元を吸った。震えたままの月子の手が源治の肩にしがみついた。
ざわざわする衣擦れの音と共に、月子は皮膚に夜の気配を知った。袖を抜かれた。源治の目に素肌をさらしていると知る。胸の底の震えが増した。恥じらいに目蓋を上げられない。
黙ったままで源治は月子を裸にした。か細い肢体が痛々しい。糧の足りない身は四肢のみでなく躯体も細い。それでも、胸元には娘らしい青い実りが在った。
汚れを知らない白い肌が、窓からの朧月の光に皓々と、源治の瞳を射ている。
びく、と月子の身体がすくむ。
呼気を荒げながら、源治の手が月子の胸の膨らみを両手で触れている。可愛らしい乳房が浅黒い手で無残な形に歪められるのを、源治は他人事のように眺めた。指先に捩られた乳首が桜の蕾のように硬く尖る。
胸元に吸い付いた唇の感触に月子が喘ぐ。小刻みの呼気に時折混じるか細い声が、源治の脳裏を焼いた。
昂揚のまま、源治は月子の下肢に手を伸ばした。淡い彩りの下に指を滑らせる。柔らかなそれを触れ、やがて指先が一つ、月子のうちに沈む。
「嫌!」
悲鳴に近いような声で月子が啼く。身を竦ませて、源治の手を押さえた。
頭上に月子の抗いの声を聞きながら、源治はそのしぐさをもう止めることができない。青白い乳房を吸い、身を捩る細い腰を抱えて指先を蠢かす。撹拌しながら奥へと触れていく。
「いや……」
硬く閉ざした目蓋の下に涙が滲む。眉を寄せて、唇をかみ締めていた。
いや、と何度も月子は言った。戦慄を身体に走らせて、その肌を粟立てている。本能が、抗っている。抗いが源治にもわかる。
何度目か、慄いたときに月子の髷がほどけて散った。明確な拒絶をこめて、月子の手が源治の身体を押し離そうとしている。
それでももう止められない。下帯の中で源治のそれが猛っている。
哀れな、と感じながら、月子の肌身に触れることを止められない。
彼の手を、月子が濡らしている。それを、焙られるような思いで、源治の身体が欲している。
未だ三十路に成らぬ旺盛な男の肉体が、眼下の少女を欲している。
駄目だ。もう、止めろ。心のどこかで荒ぶる源治を制する声がしている。
あ、と声を上げながら月子の身体が反る。わずかな膨らみの乳房も飽かずに貪られてぬらぬらと照っていた。源治の指先を咥えこんだ秘所が熱い。青白い内腿に蜜が伝っていた。
十六歳のか細い体が、それでも女だと、その内に沈んだ指を伝って源治の男に告げている。
眉を寄せ、硬く目蓋を閉ざしながら喘ぐ月子の頬が紅く見える。華奢な肢体が煩悶する。繊細に整った顔が、身体に加えられる仕草に艶めかしく歪む。細い声が漏れる。
それを見る目に聞く耳に欲情を与える。
初めては、貴方が良い。月子は確かにそう言ったではないか。
源治は身体の火照りに堪えかねて着ているものを脱ぎ去った。
月子の下肢を割る。
胸の奥で彼を制する声は、もう消えた。
「源治さ……ん!」
高い声。そんなこと、と月子が震えた。
引き裂いた下肢の中の乙女に、源治は唇をつけている。尖らせた舌先でその中を犯す。びく、と華奢な腿が震えるたびに、蜜が彼の唇を濡らす。
ざらりと生温かい感触をそのようなところに覚えて、月子は震えた。湿った音を立てて、彼が月子の秘所を啜っている。月子の奥底から溶け出すそれを誘い出そうとしている。羞恥も何も通り超えた得体の知れない感覚で月子は身体を震わせて、啼く。
ああ、というような昂ぶった男の吐息が月子の上に落ちてくる。
「許してください」
こんなことを、と源治は言った。
月子の蜜をなぞり、源治は潤んだ女に己を擬した。昂ぶりを抑えながら、静かに体を月子の中に進める。
「いや……!」
裂かれるような疼痛をその箇所に覚えて、月子は身体を強張らせた。
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