短編官能集

誘惑というには浅はか

あぁあ…またそんな…
目の前にいる愛しき妻。
私のために肌を晒し役割を果たしていない薄桃色の下着を見せてくる。
無邪気に…否、意地悪に笑う妻…あぁあ…これからどうなるかわかってての行動か？
私の肩に腕を置き誘惑するその姿はなんとも愛らしく、同時に苛立ちもする。
私もまだ子供なのだなと実感しつつ、舐めきった態度の妻に少しお灸を据えてやろう。
まず妻を抱き上げ、ソファに寝かせるとわかっていたかのような顔の妻にキスをする。
静かに…尚且つ深く…味わう…
離す舌先。
そのまま放っておく、それだけだ。
ただそれだけ…
ひどい人だと思っているだろう？
だがこれでいいのだ。
これは私たちにしかわからない…ただのお遊び情事なのだから。