私に蜜事を

山代裕春

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長い夜

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大元組本部(家)にて

組長「…」
空楽「…」
組長「して?おまえさんの仕事のためにわしらの仕事を見たいと」
空楽「左様です」
組長「……おまえさんには刺激が強すぎると思うがなぁ」
空楽「そこをなんとかお願いします」
組長「……」
空楽「…」

……歓楽街

真っ黒な紙に絵の具をばら撒いたような光景、あるものは魅入られ、あるものは業に溺れ堕ちてゆく。
空楽「…」
組長「だからやめとけと言ったろうに」
空楽「…」
組長「大丈夫か?」
空楽「大丈夫といえば大丈夫なんですが………」
周りから強い視線を感じ落ち着かない。
組長「はっはっはっ!おまえさん男娼にでも見られてんのかもなぁ」
空楽「……」
組長「冗談はさておき…どこまで見るんだ?」
空楽「?」
組長「ここは男女の欲望の世界、汚ねぇものも見ねぇといけねぇ…耐えられんのか?」
空楽「…」

………空楽の家にて

笠年「…」
時刻は真夜中、いつもの如く寝れない。
空楽の部屋に行っても誰もいない…
笠年「どこ行った」
茶の間に行ったり、自室に戻ったりを何時間も繰り返している。
笠年「……」
枕を抱きしめ横になる。
笠年「…」

ガラララッ…

笠年「!!」
空楽「ただいまぁ…」

タタタタタタタッ…!

空楽「んぇ…」
笠年「はぁ…はぁ…」
空楽「…な」
笠年「どこ行ってた」
空楽「…仕事」

ふわ…

不意に香る甘い香り。
笠年「!」
空楽「ねむ…」

タッタッタッ…
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