私に蜜事を

山代裕春

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隠れ上手で逃げ上手

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ドンドンドンドン…

笠年「はーい、どちらさん?」
国寺「編集担当の国寺こくじですー嫁義理とつぎり先生いらっしゃいますかー?」
嫁義理とは空楽のペンネーム。
笠年「いますよー」

ガララッ…

国寺「お邪魔しまーす…」

そろり…そろり…

笠年「…」

そろり…そろり…


空楽の部屋にて

国寺「……」
笠年「・・・」
国寺「………ふぅーー」

スパァンッ!!!

勢いよく襖を開ける、そこには誰もおらず書き終わった原稿が置いてあるだけだった…
国寺「………くそぉ!!!!」
笠年「残念だったね」
国寺「先生…先生!…先生!!」
笠年「あんな奴のどこがいいんですか?」
国寺「先生を悪く言わないでください!!僕は先生に命を救われたと言っても過言…」
笠年「はいはいはいそれ50回聞きました」
国寺こと国寺最上こくじもがみは空楽の大ファンであり編集担当である、ちなみに名のある神社の出身。
国寺「全く…先生ったらシャイなんだから」
笠年「しゃ?」
国寺「仕方ない、原稿いただきますか……………うぅ」
笠年「そんなに面白いか?それ」
国寺「君は近くにいながらなぜ先生の良さがわからない…ぐずっ」
笠年「あんなジジイそこら辺にいるだろ」
国寺「な!?君はほんとに分かってないな!!君が思っているほど先生は馬鹿じゃないし君より魅力的だ!!!」
笠年「あぁ!?モッペン行ってみろ変態短足野郎!!」

………

ガラララッ…

空楽「ただいま…」
返事がない、出て行ったか?
空楽「そんなわけないか」
靴を脱ぎ少し廊下を歩くと茶の間が見える。
空楽「……」
笠年「…」
ちゃぶ台に突っ伏している小娘。
空楽「また喧嘩したのか?」
笠年「うるせぇよ」
実はこれで6回目。
空楽「何言われた」
笠年「……私はあんたより魅力的じゃないし、先生が結婚できねぇのは君のせいだって…」
空楽「…」
笠年「…」
空楽「笠年」
笠年「…」
空楽「泣くのを我慢するのは君の悪い癖の一つだ」
顔を上げ空楽を見つめる、視界が霞み大粒の涙が溢れ出た。
笠年「私だっで…私だっで…すぎでごんなになっだんじゃないぃ!!」
大声を上げて泣き喚く姿に空楽は少し笑う。
笠年「うええっ…ぐずっ…!」
空楽「ふふ…」
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