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ダンジョン実習①

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 夜中にふざけすぎてしまった私は、目を擦りながら、入学後、初めて行われるダンジョン実習の説明を演舞場の横にあるダンジョン前で聞いていた。

 「ああ……床上スケーティングとか、バカなことやりすぎた」
 
 目がしぱしぱする。水が欲しい……

 「ほら!シャキッとして!油断は大敵だよ!」

 ユリは水で濡らしたハンドタオルで私の顔を拭いてくれる。

 ああ……気持ちいい……

 「あははは!クミといると飽きないわぁ……床上スケーティング……ぶはは!」

 私の失敗話が、1番の笑いの種となってきているエマは、毎度のように私の失敗談を聞いて腹を抱えて笑う。

 「そんなに興味があるなら、帰ってから一緒にやるか?床上スケーティング……
虚しいぞぉ…」

 腹を抱えて笑うエマを誘ってみる。

 「いやいやいや!今年で13歳となり、私も大人の1人なので、え……と、丁重にお断りさせていただきます?」

 首を傾げてくるエマ。

 私に聞かれても知らんぞ!聖女だったけど、どんな相手にも敬語で話したことないんだから。

 それでも根は優しい私なので助けてあげる。

 「うーん……とりあえず、「オラァ!俺の言うことが聞けねぇのかぁ!」って脅して、相手をビビらせてからの方が断りやすいんじゃないか?」
 「おお!確かに!……さすがは、元聖女だな!」

 褒めてくれるエマ。

 「いやぁ……これでも13年はやったからね!言うことを聞かせるなら襟首掴むのが
一番だよ!」

 胸を張って答える。

 聖女については言うなって言われていたけど、正式に剥奪された嬉しさから学校に来る途中で2人に話しちゃった……秘密任務もつい……

 「ああ、リサに確実に怒られるなぁ」
 「だろうねぇ。話しちゃいけない任務のことまで言ってたもんね」
 「だよねー……ま、言ってしまったものはしょうがない!仕事をやり遂げるのみ!」

 失敗は誰でもする物だからね!

 「静かに!ダンジョンについてはゴブリンのみです!でも、油断しないでくださいね!そして!ここで、特別講師の紹介です!」

 壇上で説明していた教頭が頷く。

 すると、1人の美男子がたくさんの記者たちを連れて演舞場の方から派手に登場する。

 「どーも!皆さん!みんなが愛してやまないS級冒険者「幸運」の……ステフ!だよ」

 一度ブリッジしてから起き上がり、肩まである綺麗な金髪をなびかせ、白い歯を輝かせるステフさん。

 「おお!出たぞ!ステフ伝説その2!4年前に聖国に現れた属性龍を倒した時に見せたポージングだ!」

 記者が興奮してカメラのシャッターをきる。

 「それだけじゃないぞ!ステフ伝説、その3!5年前に聖国に現れた上級天使を倒した時も同じポーズを取ったらしいぞ!」
 「すっげぇ!かっこいい……」

 ステフの登場に私以外のボルテージがマックスになっていく。

 ふーん……聖国内に現れた属性龍を……すげ……5年前?ん?上級天使?

 「あれ?5年前に聖国を襲った上級天使って……それに4年前の属性龍って……」

 壇上で手を振って生徒たちの声援に応えているステフを見る。

 まさかな……たまたま、時期が被っただけだろ。私が金に関して報告ミスするはずがねぇし。

 そんな時、不意にステフと目があった。

 初めは観衆の1人としてみていた様子だったが、しばらくすると険しい顔で見られた。

 そして、何かを探られてるような感じ……

 この感じは、鑑定か?なんで私に?

 私は首を傾げる。

 「……あっ、と……みんなぁ!今日は何があってもS級冒険者の僕がいるから大丈夫だよぉぉ!」

 私が自身の視線に気がついていると察知した様子のステフは慌てて壇上を降りていく……

 怪しいやつめ……

 「俗にいう「ストーカー」なるものか?聖女時代の私の可憐さに惹かれていたファンとかか?たまに戦場にいたからな。そんな奴らが。その1人か」

 気にしてもしょうがないので、さっさと結論を出して問題終了。

 「それでは!2年D組と1年D組による合同ダンジョン実習を始めます!2年生は1年生にしっかりと勉強したことを教えること!いいですね?これも現場に出てから生きてくる経験になりますから!」

 先生の言葉で、演舞場の方から10名の男女が出てくる。

 「ん?あの斧を振り回してるのって……」
 
 それに、全員が世紀末スタイル

 「入学式の時のサトウじゃん!」
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