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調理実習
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「先生!遅くなりました!」
私は、エマに抱き抱えられたまま、慌てた様子で先生に話す。
「ふぅ……ちょっと階段が大変だったみたいで……うちのエマが」
そんな私を下ろしたエマは、
「はぁはぁ、お前……出会った頃より太ってねえか?背中が柔らかっ」
余計なことを言ってくれるエマ。
「シャラ……っぺ?」
外国語で黙れと言いながら口を塞ぐ。
あれ?なんだっけ?シャラップ?
「……シャラップ!」
まあ、間違っていたとしても大事なのは意思を伝えることだ!つまり勢い!
「遅れた件はいいですから!早くペアとなる料理人のところへ行きなさい!」
入り口で口を塞がれるエマとその張本人の私に先生が怒鳴る。
遅れたことを気にしないあたり……
「このおばちゃんいい人や」
頷きながら先生の優しさを噛み締める私。
こんな先生に出会えるなんて私は幸せだ!
「お、おば……もういいですから!早く行きなさい」
ため息をついて疲れた様子の先生……
どした?更年期か?更年期なのかい!先生!……まあ、そんな訳ねぇか。更年期とは八百屋のおっちゃんみたいなのを言うからな。
私とエマはそれぞれのパートナーのもとへ移動する。
「それでは全員揃ったようですので、調理の方を始めてください!サービス科の方は冒険者コースの方に料理や食材についての注意点などを教えてください!皆さんの日頃の勉強の成果を発揮する時です!」
おばちゃん教師、レストランなどのサービス業を主とするコースの主任「マーベル・クーリッスン!」(42)
びっくりマークまでが名前です。
特技は……ひみつよ♡なぜなら女だから♡
おばちゃん先生は、調理室を歩きながら生徒の調理風景を見て話す。
「しかし!ここは勉強する場ですので分からないことがあったら先生に質問をする勇気を持ってください!知らないということは恥ずべきことではありません!成長するチャンスです!どんどん質問してください!」
そんな先生に早速、手を上げる生徒が、
「あら!珍しいわね!私が教えることなんて何もなくて……お願いします!教えてください!っていつも頭を下げている「ポーツ」さん……いつも勉強になってます!」
おばちゃん先生は頭を下げる。
その生徒は、朱色の三つ編み、清潔感あふれる白のコック服に身を包み、地味だがよく見ると、
「あれ?こいつクラスで12番目に可愛いんじゃね?」
と、思わせる顔立ちの女子生徒「クック」さん。
実家が大衆食堂をやっており、昔から料理一筋の一流料理人。
「先生……クミさんの食材が明らかに山で取れるはずのない物が混じっているのですが?どうすればいいですか?調理してもいいのでしょうか?」
真顔、微動だにしない目で話すポーツさん。
恐ろしい子!もっと顔を動かして!
「え?……ほんとね!セリなんて田んぼの水路とかで取れるのに……あら?ふきのとう!これは田んぼの土手で取れるのに……というかこの時期によく花の咲いていない物が売ってるわね。普通は2月なのに……それよりも……クミさん?これはどういうことかしら?」
ば、バレたー!!バレちまった!
怒りに震えるおばちゃん先生が詰め寄ってくる。
く、くるなぁ!おばちゃんがうつる!…んだからね!…って、ここでジジイからうつった「ツン!」が!100年熟成された「ツン!」が!と、とりあえず……
「これはですね…んだからね!って、「ツン!」は、もういいわ!た、たまたま……そう!知り合いの八百屋に山の中であって譲ってもらったんだからね!」
私は苦し紛れの言い訳をするんだからね!
ジジイイィ!つーか!そもそも100年熟成された「ツン!」ってなんだよ!
私の言い訳を聞いても迫ってくる先生。
顔が真下を向いていてどんなお顔かわからない……お顔は団子のように丸いわ。違う!表情がわからない!
「だ、ダメかぁ……」
私の頭に先生の手が伸びてくる。
まずい!どんな道具が出てくるんだ!いやだ!やめてくれぇ!罰として私を調理するのだけはやめてくれぇ!美味しくないぞぉ!……ちょっと「セクシィ」なだけだぞ?
口に人差し指を当てて目を潤ませる。
それでも迫って来るので、覚悟を決めて瞳を閉じる。
「……なるほど!その喋り方は北区の八百屋の人よね!あの人、学校近くの山にいることがあるからたまたま会ったのね。なるほどね。それなら納得だわ」
先生の柔らかな手に撫でられる私。
よかったぁ~道具が出てこなくて。どんな調理をされるかヒヤヒヤした。
私は一安心。
だって!先生も冒険者で通り名が
「調理人」だぞ!……怖えよ!
「さぁ!授業を続けるわよ!」
八百屋に買いに行ったことはバレずに授業は再開された。
「……おお!なんとか騙し通せた!」
先生のことが怖くて騙し通せたことには遅れて気がついた。
「調理人」……怖え!
その後は、一流「料理人!」の「ポーツ」さんの料理を堪能した。
途中途中で調理や食材の説明をしてくれていたが、放課後に行く予定の水流レースの予想をしていてよく聞いていなかった。
私は、エマに抱き抱えられたまま、慌てた様子で先生に話す。
「ふぅ……ちょっと階段が大変だったみたいで……うちのエマが」
そんな私を下ろしたエマは、
「はぁはぁ、お前……出会った頃より太ってねえか?背中が柔らかっ」
余計なことを言ってくれるエマ。
「シャラ……っぺ?」
外国語で黙れと言いながら口を塞ぐ。
あれ?なんだっけ?シャラップ?
「……シャラップ!」
まあ、間違っていたとしても大事なのは意思を伝えることだ!つまり勢い!
「遅れた件はいいですから!早くペアとなる料理人のところへ行きなさい!」
入り口で口を塞がれるエマとその張本人の私に先生が怒鳴る。
遅れたことを気にしないあたり……
「このおばちゃんいい人や」
頷きながら先生の優しさを噛み締める私。
こんな先生に出会えるなんて私は幸せだ!
「お、おば……もういいですから!早く行きなさい」
ため息をついて疲れた様子の先生……
どした?更年期か?更年期なのかい!先生!……まあ、そんな訳ねぇか。更年期とは八百屋のおっちゃんみたいなのを言うからな。
私とエマはそれぞれのパートナーのもとへ移動する。
「それでは全員揃ったようですので、調理の方を始めてください!サービス科の方は冒険者コースの方に料理や食材についての注意点などを教えてください!皆さんの日頃の勉強の成果を発揮する時です!」
おばちゃん教師、レストランなどのサービス業を主とするコースの主任「マーベル・クーリッスン!」(42)
びっくりマークまでが名前です。
特技は……ひみつよ♡なぜなら女だから♡
おばちゃん先生は、調理室を歩きながら生徒の調理風景を見て話す。
「しかし!ここは勉強する場ですので分からないことがあったら先生に質問をする勇気を持ってください!知らないということは恥ずべきことではありません!成長するチャンスです!どんどん質問してください!」
そんな先生に早速、手を上げる生徒が、
「あら!珍しいわね!私が教えることなんて何もなくて……お願いします!教えてください!っていつも頭を下げている「ポーツ」さん……いつも勉強になってます!」
おばちゃん先生は頭を下げる。
その生徒は、朱色の三つ編み、清潔感あふれる白のコック服に身を包み、地味だがよく見ると、
「あれ?こいつクラスで12番目に可愛いんじゃね?」
と、思わせる顔立ちの女子生徒「クック」さん。
実家が大衆食堂をやっており、昔から料理一筋の一流料理人。
「先生……クミさんの食材が明らかに山で取れるはずのない物が混じっているのですが?どうすればいいですか?調理してもいいのでしょうか?」
真顔、微動だにしない目で話すポーツさん。
恐ろしい子!もっと顔を動かして!
「え?……ほんとね!セリなんて田んぼの水路とかで取れるのに……あら?ふきのとう!これは田んぼの土手で取れるのに……というかこの時期によく花の咲いていない物が売ってるわね。普通は2月なのに……それよりも……クミさん?これはどういうことかしら?」
ば、バレたー!!バレちまった!
怒りに震えるおばちゃん先生が詰め寄ってくる。
く、くるなぁ!おばちゃんがうつる!…んだからね!…って、ここでジジイからうつった「ツン!」が!100年熟成された「ツン!」が!と、とりあえず……
「これはですね…んだからね!って、「ツン!」は、もういいわ!た、たまたま……そう!知り合いの八百屋に山の中であって譲ってもらったんだからね!」
私は苦し紛れの言い訳をするんだからね!
ジジイイィ!つーか!そもそも100年熟成された「ツン!」ってなんだよ!
私の言い訳を聞いても迫ってくる先生。
顔が真下を向いていてどんなお顔かわからない……お顔は団子のように丸いわ。違う!表情がわからない!
「だ、ダメかぁ……」
私の頭に先生の手が伸びてくる。
まずい!どんな道具が出てくるんだ!いやだ!やめてくれぇ!罰として私を調理するのだけはやめてくれぇ!美味しくないぞぉ!……ちょっと「セクシィ」なだけだぞ?
口に人差し指を当てて目を潤ませる。
それでも迫って来るので、覚悟を決めて瞳を閉じる。
「……なるほど!その喋り方は北区の八百屋の人よね!あの人、学校近くの山にいることがあるからたまたま会ったのね。なるほどね。それなら納得だわ」
先生の柔らかな手に撫でられる私。
よかったぁ~道具が出てこなくて。どんな調理をされるかヒヤヒヤした。
私は一安心。
だって!先生も冒険者で通り名が
「調理人」だぞ!……怖えよ!
「さぁ!授業を続けるわよ!」
八百屋に買いに行ったことはバレずに授業は再開された。
「……おお!なんとか騙し通せた!」
先生のことが怖くて騙し通せたことには遅れて気がついた。
「調理人」……怖え!
その後は、一流「料理人!」の「ポーツ」さんの料理を堪能した。
途中途中で調理や食材の説明をしてくれていたが、放課後に行く予定の水流レースの予想をしていてよく聞いていなかった。
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