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値下げの魔王「クミ」① 八百屋店主「トシ」
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「ええ!玉ねぎネギが値上がりしてるわ!」
「本当だわ!やぁねぇ……なんでかしら?」
学園都市商業区北にある赤い煉瓦の建物が並ぶ商店街、通常「夕焼け商店街」は街でも一二を争う安いお野菜が手に入ると評判の一軒の八百屋がある。
「か、勘違いしないでよね!べ、別にあんた達のために安くしてるだけなんだからね!」
というキャッチコピーと実際に70歳のおじいさんのツンとデレが体験できる八百屋
「別に……よってけば?」
創業100年と当時から変わらない3代に渡って熟成された店主の「ツン」と「デレ」はあなたを虜にし、店主が経営する農場から出荷される店主のツンとデレが凝縮された新鮮なお野菜を卸しているので低コストでお届けしている。
学園都市でも最も古い歴史の八百屋。
そんな歴史ある八百屋の店先では、一昨日から、八百屋に通うようになった主婦達が値上がりした野菜達を見て困惑していた。
「期待してたけど、ここもダメかしら」
「そうね。みんなに教えてあげましょう」
店を去ろうとする主婦達……
「もうあんた達!誰が帰っていいって言ったのよ!」
そんな主婦達に70歳の腰の曲がった白髪の店主、「トシ」が店奥から姿を表し、100年熟成された「ツン!」を披露する。
「え、いや。店主さんに止められる権利はないと思うけど?」
まだ店主の接客に慣れていない主婦達は戸惑う。
「もう、バカ……察しなさいよ」
若干薄くなって来た頭頂部の髪を必死に集めて指先でねじり、顔を赤らめ、必殺のうるうるさせた瞳を上目遣いで披露する。
「え……やだぁ♡」
「え……ものすごくいやだ!」
店主の上目遣いにハートを射抜かれた主婦一名、その隣で青い顔をする主婦一名……
「さよならー」
青ざめた客は、本格的に接客が始まる前に退散していく。
客を1人逃してしまったことで普通なら焦るが、百戦錬磨の店主は笑う。
もともと全員に受けるとは思っていない。受け入れてくれる人間はよくてこの街の総数の3割ほど(店主調べ)
だから、全員ではなく自分の「ツン」と「デレ」に心を打たれる客を大切にする。
「天候不順で野菜が育たなかったから仕方なくなんだからね!ふん!」
上目遣いによる「デレ」からの顔を逸らす「ツン」!
店主が新規の客を落としにいくときの必殺のコンビネーション。
これで落ちなかった客は数知れず……
「……特別に安くしてあげても良いわよ?」
そして、ここで重要なのが匙加減!
首の角度は30度、腰は伸びないから曲がったまま、足を震わせながらか弱さをアピールし、必殺の上目遣いによるラストスパート!
決して、か弱いさを前面に出さずに頑張って立っていると言うように震え方も加減!
「お、おじいちゃん!無理しちゃダメだよ!朝早くに出荷して疲れてるでしょ!」
店の奥で椅子を持ってスタンバイしていた孫が登場し、すかさず店主が震えている理由を説明しつつ椅子に座らせる。
「歳で立っとるのもキツくなっちまいまして……孫よ。ありがとな……お見苦しい所をお見せいたしました。お客様には情けない姿を見せてしまったお詫びを兼ねて……」
いつのまにか震えが止まった足で元気よく立ち上がり、椅子の上に登る。
「今日は大銅貨5枚の玉ねぎネギを今からなんと!特別に大銅貨4枚!4枚で!提供するよ!でも、それだけじゃありません!ここにおわす奥さんの優しさに感動したので大銅貨3枚!まで値下げします!」
店主の紹介で奥さんに視線が集まる。
「え!私のおかげ!……なら、買ってこうかしら」
初めは渋っていた奥さんは気をよくして玉ねぎネギを購入する。
「特別だって……」
「今だけ」
その言葉に反応した主婦達が一斉に玉ねぎネギへと集まる。
玉ねぎネギは即完売。
前日は大銅貨2枚で売って完売したことを知らないお客達は満足した顔で八百屋を後にしていく。
「みんな。また、来てくれてもいいんだからね?」
最後に店主から喜びの「デレ」がサービスされる。
「今日もなんとか黒字になった……」
安心顔で店内へと入っていく店主の背中に、
「おっちゃん!今日も安くしてくれ!」
魔王から声がかかる。
き、今日も来やがった!値下げの魔王!「クミ」!
「ふふふ」
不適な笑みを浮かべる店主。
「今日という今日は俺の「ツン」と「デレ」の虜にしてやるぜ!」
店主は魔王へと立ち向かう。
100年熟成されたツンデレ対値下げの魔王の対決が始まる。
「本当だわ!やぁねぇ……なんでかしら?」
学園都市商業区北にある赤い煉瓦の建物が並ぶ商店街、通常「夕焼け商店街」は街でも一二を争う安いお野菜が手に入ると評判の一軒の八百屋がある。
「か、勘違いしないでよね!べ、別にあんた達のために安くしてるだけなんだからね!」
というキャッチコピーと実際に70歳のおじいさんのツンとデレが体験できる八百屋
「別に……よってけば?」
創業100年と当時から変わらない3代に渡って熟成された店主の「ツン」と「デレ」はあなたを虜にし、店主が経営する農場から出荷される店主のツンとデレが凝縮された新鮮なお野菜を卸しているので低コストでお届けしている。
学園都市でも最も古い歴史の八百屋。
そんな歴史ある八百屋の店先では、一昨日から、八百屋に通うようになった主婦達が値上がりした野菜達を見て困惑していた。
「期待してたけど、ここもダメかしら」
「そうね。みんなに教えてあげましょう」
店を去ろうとする主婦達……
「もうあんた達!誰が帰っていいって言ったのよ!」
そんな主婦達に70歳の腰の曲がった白髪の店主、「トシ」が店奥から姿を表し、100年熟成された「ツン!」を披露する。
「え、いや。店主さんに止められる権利はないと思うけど?」
まだ店主の接客に慣れていない主婦達は戸惑う。
「もう、バカ……察しなさいよ」
若干薄くなって来た頭頂部の髪を必死に集めて指先でねじり、顔を赤らめ、必殺のうるうるさせた瞳を上目遣いで披露する。
「え……やだぁ♡」
「え……ものすごくいやだ!」
店主の上目遣いにハートを射抜かれた主婦一名、その隣で青い顔をする主婦一名……
「さよならー」
青ざめた客は、本格的に接客が始まる前に退散していく。
客を1人逃してしまったことで普通なら焦るが、百戦錬磨の店主は笑う。
もともと全員に受けるとは思っていない。受け入れてくれる人間はよくてこの街の総数の3割ほど(店主調べ)
だから、全員ではなく自分の「ツン」と「デレ」に心を打たれる客を大切にする。
「天候不順で野菜が育たなかったから仕方なくなんだからね!ふん!」
上目遣いによる「デレ」からの顔を逸らす「ツン」!
店主が新規の客を落としにいくときの必殺のコンビネーション。
これで落ちなかった客は数知れず……
「……特別に安くしてあげても良いわよ?」
そして、ここで重要なのが匙加減!
首の角度は30度、腰は伸びないから曲がったまま、足を震わせながらか弱さをアピールし、必殺の上目遣いによるラストスパート!
決して、か弱いさを前面に出さずに頑張って立っていると言うように震え方も加減!
「お、おじいちゃん!無理しちゃダメだよ!朝早くに出荷して疲れてるでしょ!」
店の奥で椅子を持ってスタンバイしていた孫が登場し、すかさず店主が震えている理由を説明しつつ椅子に座らせる。
「歳で立っとるのもキツくなっちまいまして……孫よ。ありがとな……お見苦しい所をお見せいたしました。お客様には情けない姿を見せてしまったお詫びを兼ねて……」
いつのまにか震えが止まった足で元気よく立ち上がり、椅子の上に登る。
「今日は大銅貨5枚の玉ねぎネギを今からなんと!特別に大銅貨4枚!4枚で!提供するよ!でも、それだけじゃありません!ここにおわす奥さんの優しさに感動したので大銅貨3枚!まで値下げします!」
店主の紹介で奥さんに視線が集まる。
「え!私のおかげ!……なら、買ってこうかしら」
初めは渋っていた奥さんは気をよくして玉ねぎネギを購入する。
「特別だって……」
「今だけ」
その言葉に反応した主婦達が一斉に玉ねぎネギへと集まる。
玉ねぎネギは即完売。
前日は大銅貨2枚で売って完売したことを知らないお客達は満足した顔で八百屋を後にしていく。
「みんな。また、来てくれてもいいんだからね?」
最後に店主から喜びの「デレ」がサービスされる。
「今日もなんとか黒字になった……」
安心顔で店内へと入っていく店主の背中に、
「おっちゃん!今日も安くしてくれ!」
魔王から声がかかる。
き、今日も来やがった!値下げの魔王!「クミ」!
「ふふふ」
不適な笑みを浮かべる店主。
「今日という今日は俺の「ツン」と「デレ」の虜にしてやるぜ!」
店主は魔王へと立ち向かう。
100年熟成されたツンデレ対値下げの魔王の対決が始まる。
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