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初めてのアルバイト面接

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 「クミ……その……お前のおかげでヨハネスと付き合うことになった……ありがとな」

 次の日、理事長室に呼び出された私はモジモジするリサにお礼を言われた。
 
 「くっ!これが男ができた女の輝き!肌がツヤツヤして眩しいぜ!」
 「……そんなことはまだしてない!」
 
 リサは一瞬で真っ赤な顔になり、机を叩き立ち上がる。

 「ほほぅ!」

 顎に手を当ててリサに近寄る。

 「な、なんだよ!」
 
 ニヤニヤしながら近づく私にリサは愛刀を抜き放ち、間に机があろうが関係なく。

 いつでも「刺突」を発射できるように構える。

 「……恋愛ってどんな気持ちなんだ?金にしか興味なくて全然わからないから教えてくれ」

 私の質問が予想外だったのかキョトンとするリサ。

 なんでそんな意外そうな顔を向けられるんだ?……まあ、いいか。

 「そうだな……奇跡だな。この世界に何人の男と女がいるのか正確にはわからないがそんな多数存在する人間の世界でここまでの感情を抱く相手に出会えたことは奇跡……」

 しかし、リサは首を傾げて、

 「いや。それらしい事を言ってみたが、実際の所、今も恋人ができた事に実感が持てなくて何て言っていいか分からないな……ただ、2人になると愛おしいと感じるな」

 うーん?やっぱりよくわからないな?素晴らしいお胸様を見ると思わず愛おしくて揉まずにはいられない時の私の抱く感情と一緒って事でいいのか?

 「まあ、いいや。おめでとう!」

 ささやかだけどスノードーム?というものが街で売られていて綺麗だったので買った。
 
 タイトル「春風に舞う昼桜」

 ヨハネスが話していたリサへのポエムを思い出してピーンときたので買った。

 「綺麗だな……ありがとう」

 私から受け取ったスノードームを理事長室でお客などが一番目にするであろう理事長席の机。

 その机上のリサの名前が書かれた箱?の横に飾る。

 「……っと。プライベートな話はここまで」

 リサは理事長席に腰掛けて真剣な顔へと切り替え、引き出しから何かの資料を取り出す。

 「それは機密事項の書類……お前に頼みたい仕事の資料だ」

 私に資料を渡してくるリサ。

 100ページはありそうだな……めんどくせぇ

 「あ!8時だ!8時5分からバイトの時間だから急がなくちゃ!それじゃあ!さよなら!理事長せんせい!さよーなら!ーーテレp」
 「いいのか?これを受けてくれたら借金が減る上に危険な任務だから成功報酬もたんまり金貨で出そうと予算を組んでいたんだけどな…」

 「金貨!」に思わず反応してしまう。

 「……まあ、しょうがないかぁ……なら、この話は別の奴……」
 「テレポート!」

 リサが「別の奴に!」と言い切ってしまう前に短距離空間移動で部屋の外にいる秘書が持ってきたお茶の乗ったトレーを強奪して、リナの横へと戻る。

 「理事長様!リナ様!神様!仏様!粗茶になりますぅ」

 推しとかやにお茶をお出ししつつ、私が思う。この世で最も位の高い理事長様から敬称をつけてお呼びする。

 「理事長様リナ様!私めは美味しいお茶を淹れることから真竜討伐までなんでもござれの最強元!聖女にごぜえます!そのお役目、私めならばこなせると思いやすが……いかがざんしょ?」

 リサ……いえ!理事長様リサ様!の肩を重みする。

 「そうか……なら、頼む」

 二つ返事で任せてくれることになった。

 「あ、ありがとうごぜぇやす!誠心誠意!がっぽりと稼がせていただやす!」

 その後お辞儀をして理事長室を後にする。

 やったぜぇ!アルバイトだ!

 「日時は、おって知らせる。それから相棒もいるから忘れるなよ」
 「イエッサー!」

 私は勢いよく部屋を出ていく。


 ******


 「クミには悪いが、この世界の存続のために働いてもらわないとな。まずは、この国にすくう悪をなんとかしないと」

 理事長室の椅子に腰掛けたリサはクミに渡した資料に目を通す。

 そこには、魔の森の魔物被害状況をまとめたレポートや闇商人などの掴んでいる情報などが記載されている。

 「憶測でしかないが、おそらくは、この国の闇と近年の魔物被害急増は関係がある」

 秘書の入れてくれたお茶を飲む。
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