6 / 17
エリーゼ、エリの仲良し2人。クッキー。アークとの思い出
しおりを挟む
闘技場地下一階 女性奴隷の檻
1日の仕事を終えたエリーゼとエリは檻に戻る。
「はい。見つからないように食べな」
エリが懐から何かを包んだ布を取り出し、エリーゼに渡す。
「どうしたんですか?これ?」
包みを受け取ったエリーゼは中を見る。
包みの中にはクッキーが入っていた。
「え?こんなお菓子どこで手に入れたんですか?」
驚き、つい大きな声で聞いてしまう。
「しー!静かに!他の奴らに聞かれたら面倒だ!……私ね。ここの係員達には少し人気があってね。たまにこうやってお菓子なんかを持ってきてくれる奴がいるんだ。だから遠慮せず食べて」
エリは笑って話す。
「エリさんで色々とすごいですね……ありがたくいただきます」
クッキーを一口頂く。
(美味しい……アークにも食べさせてあげたいな……そういえば、アークって剣を振るのもうまいけど、料理も上手なのよね)
エリーゼはクッキーを作るアークのことを思い出す……
マース小王国はあまり裕福ではないので、砂糖などはたまに野菜などがいっぱい取れたときに行商人と交換して手に入れていた。
「よし!よくお前の母さんが作ってくれたクッキーを作るか!」
父は、久しぶりに手に入った砂糖を持ち、私に亡くなった母がたまに作ってくれたクッキーを2人で作ろうと提案してきた。楽しそうだと思った私は、
「はい!作りましょう!」
と、ノリノリで材料を用意した。
「バター、牛乳、卵、砂糖、小麦粉と、これでよし」
「じゃあ作っていこうか!」
父さんは空のお鍋に適当に小麦粉を「ガサっ!」と豪快にあける。
小麦粉があたりに舞い、
「ゴホッゴホッ!」
と2人して咳き込んだ。
慌ててキッチンの窓を開けて、空気を入れ替える。
「もう!父さん!なんでも勢いよくやればいいってわけじゃないのよ!」
父は娘の私に注意されて、まるで悪戯がバレて怒られる時の少年のような罰の悪そうな顔をする。
「ぐっ!男はみんな勢いで生きてるんだ!これくらい多めにみてくれ!」
父はいつものようなよくわからない言い訳を言い始める。こうなった父は一度も引くことなくずっと同じことを言い続ける。
(全く……おかげで全身真っ白だわ……)
父さんと私は全身に小麦粉がつき、真っ白に染まっていた。
私と父さんが言い合いをしていると、
「何かありましたか!」
アークが慌ててやってきた。
アークは真っ白になっている私と父さんを見て、
「これはどういう状況ですか?」
と、呆れたように聞いてきた。
私は、砂糖が手に入ったから父さんと2人でクッキーを作ろうとしたことを伝えた。
「なるほど。それで国王様が原因で粉まみれになってしまった。と……はぁ……国王様。クッキーの生地とはこう作るのです」
アークは、小麦粉、砂糖を混ぜて、そこに卵牛乳を入れて、全て混ざるまでこねる。
その後に溶かしたバターを入れて、なめらかな生地になるまでこねる。
アークはテキパキと作ってあっという間に生地を作ってしまった。
「はい。これが正しいクッキーの作り方です」
生地を父に渡していた。
「アークよ。お前どこでクッキーを習ったのだ?」
「え?父さんからですよ。姫を側で守る騎士たるものクッキーや紅茶を作れなくてはどうする!と訓練の一環として行っています」
「そ、そうか」
父さんはアークが作ったクッキーの生地を見つめる。
「父さん。さっき男は勢いで生きてるって言っていたけど、アークは丁寧だったわよ」
私は父さんのさっきの発言にツッコミを入れると、アークも私と同意見のようで
「そうですね。勢いで生きておられるのは国王様だけだと思います」
アークも父さんの意見を否定する。
「ぐっ。俺が言っている男とは漢という意味だ!」
「また屁理屈を」
その後、へそを曲げる父と一緒に3人でクッキーを焼いた。
(ふふふ……訓練の一環だって言っていたけどアークってばクッキー以外にもいろんな料理ができるのよね)
私がアーク達との思い出を振り返り笑う。
エリさんはそんな私をみて、
「良かった。ようやく笑ってくれた」
小さな独り言を言って笑う。
1日の仕事を終えたエリーゼとエリは檻に戻る。
「はい。見つからないように食べな」
エリが懐から何かを包んだ布を取り出し、エリーゼに渡す。
「どうしたんですか?これ?」
包みを受け取ったエリーゼは中を見る。
包みの中にはクッキーが入っていた。
「え?こんなお菓子どこで手に入れたんですか?」
驚き、つい大きな声で聞いてしまう。
「しー!静かに!他の奴らに聞かれたら面倒だ!……私ね。ここの係員達には少し人気があってね。たまにこうやってお菓子なんかを持ってきてくれる奴がいるんだ。だから遠慮せず食べて」
エリは笑って話す。
「エリさんで色々とすごいですね……ありがたくいただきます」
クッキーを一口頂く。
(美味しい……アークにも食べさせてあげたいな……そういえば、アークって剣を振るのもうまいけど、料理も上手なのよね)
エリーゼはクッキーを作るアークのことを思い出す……
マース小王国はあまり裕福ではないので、砂糖などはたまに野菜などがいっぱい取れたときに行商人と交換して手に入れていた。
「よし!よくお前の母さんが作ってくれたクッキーを作るか!」
父は、久しぶりに手に入った砂糖を持ち、私に亡くなった母がたまに作ってくれたクッキーを2人で作ろうと提案してきた。楽しそうだと思った私は、
「はい!作りましょう!」
と、ノリノリで材料を用意した。
「バター、牛乳、卵、砂糖、小麦粉と、これでよし」
「じゃあ作っていこうか!」
父さんは空のお鍋に適当に小麦粉を「ガサっ!」と豪快にあける。
小麦粉があたりに舞い、
「ゴホッゴホッ!」
と2人して咳き込んだ。
慌ててキッチンの窓を開けて、空気を入れ替える。
「もう!父さん!なんでも勢いよくやればいいってわけじゃないのよ!」
父は娘の私に注意されて、まるで悪戯がバレて怒られる時の少年のような罰の悪そうな顔をする。
「ぐっ!男はみんな勢いで生きてるんだ!これくらい多めにみてくれ!」
父はいつものようなよくわからない言い訳を言い始める。こうなった父は一度も引くことなくずっと同じことを言い続ける。
(全く……おかげで全身真っ白だわ……)
父さんと私は全身に小麦粉がつき、真っ白に染まっていた。
私と父さんが言い合いをしていると、
「何かありましたか!」
アークが慌ててやってきた。
アークは真っ白になっている私と父さんを見て、
「これはどういう状況ですか?」
と、呆れたように聞いてきた。
私は、砂糖が手に入ったから父さんと2人でクッキーを作ろうとしたことを伝えた。
「なるほど。それで国王様が原因で粉まみれになってしまった。と……はぁ……国王様。クッキーの生地とはこう作るのです」
アークは、小麦粉、砂糖を混ぜて、そこに卵牛乳を入れて、全て混ざるまでこねる。
その後に溶かしたバターを入れて、なめらかな生地になるまでこねる。
アークはテキパキと作ってあっという間に生地を作ってしまった。
「はい。これが正しいクッキーの作り方です」
生地を父に渡していた。
「アークよ。お前どこでクッキーを習ったのだ?」
「え?父さんからですよ。姫を側で守る騎士たるものクッキーや紅茶を作れなくてはどうする!と訓練の一環として行っています」
「そ、そうか」
父さんはアークが作ったクッキーの生地を見つめる。
「父さん。さっき男は勢いで生きてるって言っていたけど、アークは丁寧だったわよ」
私は父さんのさっきの発言にツッコミを入れると、アークも私と同意見のようで
「そうですね。勢いで生きておられるのは国王様だけだと思います」
アークも父さんの意見を否定する。
「ぐっ。俺が言っている男とは漢という意味だ!」
「また屁理屈を」
その後、へそを曲げる父と一緒に3人でクッキーを焼いた。
(ふふふ……訓練の一環だって言っていたけどアークってばクッキー以外にもいろんな料理ができるのよね)
私がアーク達との思い出を振り返り笑う。
エリさんはそんな私をみて、
「良かった。ようやく笑ってくれた」
小さな独り言を言って笑う。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています
亡国の姫は愛されている
佐有
恋愛
「どうして…こんなことに…?」
舞踏会の最中に突然王城が爆発し、カトレア王国は滅亡の時を迎えた。
生き残った王女セレスは、燃え盛る城を瞳に写しながら、疑問と悲しみを抱える。
「誰が…何のためにこんなことをしたの?」
王国を失い、運命に翻弄される中で、セレスは国の滅亡を招いた犯人を突き止められるのか?
そして、荒波のような運命の先に待つ未来でセレスは誰と結ばれるのか———
公爵夫人アリアの華麗なるダブルワーク〜秘密の隠し部屋からお届けいたします〜
白猫
恋愛
主人公アリアとディカルト公爵家の当主であるルドルフは、政略結婚により結ばれた典型的な貴族の夫婦だった。 がしかし、5年ぶりに戦地から戻ったルドルフは敗戦国である隣国の平民イザベラを連れ帰る。城に戻ったルドルフからは目すら合わせてもらえないまま、本邸と別邸にわかれた別居生活が始まる。愛人なのかすら教えてもらえない女性の存在、そのイザベラから無駄に意識されるうちに、アリアは面倒臭さに頭を抱えるようになる。ある日、侍女から語られたイザベラに関する「推測」をきっかけに物語は大きく動き出す。 暗闇しかないトンネルのような現状から抜け出すには、ルドルフと離婚し公爵令嬢に戻るしかないと思っていたアリアだが、その「推測」にひと握りの可能性を見出したのだ。そして公爵邸にいながら自分を磨き、リスキリングに挑戦する。とにかく今あるものを使って、できるだけ抵抗しよう!そんなアリアを待っていたのは、思わぬ新しい人生と想像を上回る幸福であった。公爵夫人の反撃と挑戦の狼煙、いまここに高く打ち上げます!
➡️登場人物、国、背景など全て架空の100%フィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる