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青年
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長かった、ついにこの日がやっと来た。
6年前……魔族に苦しめられる世界中の人々を救う旅に出て以来の再会。
6年、それは生まれた子供が元気よく走れるまでに成長しいろんな悪戯を周りの大人に仕掛けるようになるまで成長してしまう歳月。
当時から美しかった愛しの君は、一体どれ程美しくなっているんだい。
外見もそうだが、雨上がりの澄んだ空気のように清廉な心も相まって君はどれ程美しくなっているのだろう。
もしかしたら、君が美しくなりすぎていて僕は君が誰かもわからないだろう。
「しかしそんな心配は毛程も気にしなくてよかった。なぜなら僕は君を見た瞬間に一目で分かったのだから……会いたかったよ、サラ」
少し脱色した茶髪寄りの黒髪、ネロと違って性別が男性とわかるが、それでもどこか幼さを残した二前目の青年は、剣を地面に突き刺しサラへ微笑む。
「僕の想像以上に美しく成長したね。
しかし、その心根はあの頃から何も変わらずに美しいままだ」
青年はサラを抱きしめる。
「サラ……あの日の約束を覚えてるかい?」
キョトンとしたサラに聞く。
サラは男の胸の中で考える。
あの日の約束……はて?約束?あの日っていつだ?と記憶を探る。
しかし、その検索に引っ掛かる要件が出てこない。
「えっと……あなた誰ですか?」
「……え」
サラの予想外の反応に固まる青年。
(お、緩んだ)
その隙に、青年の腕の中から脱出するサラ。
「……ええ!嘘でしょ!」
動揺からか柔らかく丁寧だった口調が荒々しくなる青年。しかし何故だか荒々しい口調の方がしっくりくる印象を受ける。
「6年前!あの日、夕日が沈む中で約束したじゃん!」
「ごめんなさい。記憶を探ってもよく覚えていなくて……」
サラによる言葉がトドメとなり項垂れる青年。
「嘘でしょ……6年間、あの日の約束だけを支えに頑張ってきたのに」
この青年なにを隠そう。
「ちょっとマーク! 何やってるのよ!」
「そうだぞー 6年経ってるんだから相手が忘れてる事も考慮しろってお兄さん言ったよねー」
「バカクリス! そっちじゃなくて!
わたしが言ってるのは勇者としての務めをしっかりと果たせって言ってんの!」
サラの一言に項垂れる青年は、何を隠そう魔王と対を成す存在であり、世界中で暴れ回る魔族から人々を救う英雄。
手の甲に勇者の証である剣の聖痕を持つ青年。
名をマークと言う。
歳は17歳。7年前から勇者として教会に所属している。
元々は、サラのようにこれといった特徴も特産品もない王国の端にある村に住んでいた。
サラと違う点は、荘園領主に収める年貢が多くて、満足に食事を取ることの出来ない貧しい村だったこと。
大人達は子供に食わせる為に自分達の分の食事をほとんど子供に与えていた。
しかしそれでもお腹は鳴った。
そんな時は決まってそれ以上の大きな声で笑った。
平和な村、幸せが詰まった空間。だが、ある日魔族の襲撃に遭い、あっさりと滅ぼされた。
奇跡的にマークだけ生き残った。
周辺地域を見回っていた騎士団によって助けられた。
その後、目を覚まし全てを思い出したマークは……
「く……ああああああ!!!」
何故僕だけ生き残った。僕一人だけが……
何故? みんなが死んだのなら僕も一緒が良かったのにーー
それから程なく、マークの手に勇者の証である聖痕がある事が判明し、教会本部へと移送され、彼は自身の中で燃え上がる黒い炎に突き動かされるがままに激しい訓練を開始した。
その訓練はとんでもない量であり、通常の騎士10人に相当する強さの聖騎士でも根を上げる。
しかし彼はそんな訓練を淡々とこなし、その後は残ってほとんど朝まで自主訓練を続けた。
一年後……
「うむ! お前に教える事は何もない!」
教官から模擬戦で一本を取れるようになった彼は、訓練から開放された。
普通ならその日からしばらくはダラダラと訓練をしない日々を送るだろう。が、彼は違った。逆に止める者がいなくなった事で、タガが外れ、さらに激しい訓練を自主的に行なっていた。
毎日限界を越え続ける為、自然と身体のそこかしこが壊れて来る。
そんな時に聖女として教会本部にサラがやって来た。
「あなたの将来の奥方となる方です」
当時はまだ同じ勇者パーティーではなくただの付き人であったクリスからそう説明を受けたマーク。
しかし彼にとってはそんな事はどうでも良かった。
"魔族を滅ぼす"
彼の頭の中にあるのはそれだけ。
ただ、ついに彼の身体が心に追いつかなくなった。
心はまだまだ!と立とうとするのだが、身体がそれを拒否した。
次第に意識も遠くなって行き、深い闇の中へと落ちていった。
………
……
…
懐かしい香りがした。
何処で嗅いだんだっけ……ああ、そうだ。よく夏になると家に飾られていた白い花、確か名前は……
「あ、起きた? 初めましてだけど一つ言わせて下さい。 無茶しすぎじゃないですか?」
村にいた時は、毎日のように遊びで怪我をして帰った。
その度に母から拳骨と小言をよく貰った。
"無茶するんじゃない!" とーー
目を開ける。すると、一瞬ではあったが、母の存在を感じた。
涙が止まらなくなった。
懐かしい。
「ええ! ちょっ、まだどこか痛いの!」
慌てる金髪碧眼のどこか母に似た雰囲気の少女。
懐かしい……
そうだ、確か白い花の名前は「セラスチウム」
花言葉は、「幸福」「思いがけない出会い」
これが二人の出会いであった。
その後、勇者としての旅に出るまで二人は仲良く遊んだ。
そして旅を終えて帰って来た時は一生君を守ると小声で誓い旅に出た。
もちろん小声だったのでサラには聞こえていないのだが、マーク本人はサラにだけ聞こえるようにいったつもりだったので聞こえているものだと思っていた。
そして6年間という年月を掛け、記憶はマークの都合の良いように書き換えられていたのだった。
「……まあ、その事は後でいいか。どの道、仮とはいえ聖女と勇者は結婚する決まり?になってるって枢機卿が言ってたし……よし!切り替えて殲滅作戦だ!」
そう、歴代の勇者と聖女は全員が教会の意向もあり結婚して来た。
それに結婚するまでにだって時間はあるのだからゆっくり距離を縮めていけば良い、とマークは切り替えてサラをヴェイルに預け、仲間達と共に魔族領を目指して逃げ惑う魔族や魔物の殲滅へ。
その戦う姿は圧巻そのもの。
最低でもC級冒険者でないと相手できない魔族を数百体、それも逃げ惑っているとはいえほとんど一人で狩り尽くす勢いだ。
しかし、その姿は勇者と呼べるものでは無く、まるで人間が嫌う魔王のよう……
「や、やめてくれェェェ!!」
「命令に仕方なく従っていただけなんだぁぁ!!」
叫びながら逃げ惑う魔族を嬉々として斬り伏せていく。
「お、おいこれじゃどっちが……」
サラの横に立つヴェイルも困惑。
「……や、やめて!」
マークに向かってサラは叫ぶ。
が、その声は届かずマークは魔族を切り裂き続ける。
それを見て走り出そうとするサラの横を……
「やめろぉぉ!!」
剣を構えたネロが駆けて行った。
ネロはマークが振り下ろした聖剣を愛剣にて受け止める。
ネロが持っているのは普通の鉄剣。
本来なら歴代勇者の魔力を吸い、鉄の10倍の強度を誇るオリハルコン級にまで成長した聖剣を受け止める事など出来はしないのだが、"一閃
スラッシュ"しか使えないネロは、受け流す技術を誰よりも極めた。
その結果として聖剣を受け止めることに成功した。
「もう戦いは終わってる!」
「戦いが終わってる? バカ言え、魔族は目の前にいる。こいつらを絶滅させてようやくこの戦いは終わりになる。邪魔するな」
剣を交差させたまま睨み合うネロとマーク。
両者の間に不穏な空気が流れる。
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「僕の想像以上に美しく成長したね。
しかし、その心根はあの頃から何も変わらずに美しいままだ」
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「サラ……あの日の約束を覚えてるかい?」
キョトンとしたサラに聞く。
サラは男の胸の中で考える。
あの日の約束……はて?約束?あの日っていつだ?と記憶を探る。
しかし、その検索に引っ掛かる要件が出てこない。
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「……え」
サラの予想外の反応に固まる青年。
(お、緩んだ)
その隙に、青年の腕の中から脱出するサラ。
「……ええ!嘘でしょ!」
動揺からか柔らかく丁寧だった口調が荒々しくなる青年。しかし何故だか荒々しい口調の方がしっくりくる印象を受ける。
「6年前!あの日、夕日が沈む中で約束したじゃん!」
「ごめんなさい。記憶を探ってもよく覚えていなくて……」
サラによる言葉がトドメとなり項垂れる青年。
「嘘でしょ……6年間、あの日の約束だけを支えに頑張ってきたのに」
この青年なにを隠そう。
「ちょっとマーク! 何やってるのよ!」
「そうだぞー 6年経ってるんだから相手が忘れてる事も考慮しろってお兄さん言ったよねー」
「バカクリス! そっちじゃなくて!
わたしが言ってるのは勇者としての務めをしっかりと果たせって言ってんの!」
サラの一言に項垂れる青年は、何を隠そう魔王と対を成す存在であり、世界中で暴れ回る魔族から人々を救う英雄。
手の甲に勇者の証である剣の聖痕を持つ青年。
名をマークと言う。
歳は17歳。7年前から勇者として教会に所属している。
元々は、サラのようにこれといった特徴も特産品もない王国の端にある村に住んでいた。
サラと違う点は、荘園領主に収める年貢が多くて、満足に食事を取ることの出来ない貧しい村だったこと。
大人達は子供に食わせる為に自分達の分の食事をほとんど子供に与えていた。
しかしそれでもお腹は鳴った。
そんな時は決まってそれ以上の大きな声で笑った。
平和な村、幸せが詰まった空間。だが、ある日魔族の襲撃に遭い、あっさりと滅ぼされた。
奇跡的にマークだけ生き残った。
周辺地域を見回っていた騎士団によって助けられた。
その後、目を覚まし全てを思い出したマークは……
「く……ああああああ!!!」
何故僕だけ生き残った。僕一人だけが……
何故? みんなが死んだのなら僕も一緒が良かったのにーー
それから程なく、マークの手に勇者の証である聖痕がある事が判明し、教会本部へと移送され、彼は自身の中で燃え上がる黒い炎に突き動かされるがままに激しい訓練を開始した。
その訓練はとんでもない量であり、通常の騎士10人に相当する強さの聖騎士でも根を上げる。
しかし彼はそんな訓練を淡々とこなし、その後は残ってほとんど朝まで自主訓練を続けた。
一年後……
「うむ! お前に教える事は何もない!」
教官から模擬戦で一本を取れるようになった彼は、訓練から開放された。
普通ならその日からしばらくはダラダラと訓練をしない日々を送るだろう。が、彼は違った。逆に止める者がいなくなった事で、タガが外れ、さらに激しい訓練を自主的に行なっていた。
毎日限界を越え続ける為、自然と身体のそこかしこが壊れて来る。
そんな時に聖女として教会本部にサラがやって来た。
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しかし彼にとってはそんな事はどうでも良かった。
"魔族を滅ぼす"
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ただ、ついに彼の身体が心に追いつかなくなった。
心はまだまだ!と立とうとするのだが、身体がそれを拒否した。
次第に意識も遠くなって行き、深い闇の中へと落ちていった。
………
……
…
懐かしい香りがした。
何処で嗅いだんだっけ……ああ、そうだ。よく夏になると家に飾られていた白い花、確か名前は……
「あ、起きた? 初めましてだけど一つ言わせて下さい。 無茶しすぎじゃないですか?」
村にいた時は、毎日のように遊びで怪我をして帰った。
その度に母から拳骨と小言をよく貰った。
"無茶するんじゃない!" とーー
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懐かしい。
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そうだ、確か白い花の名前は「セラスチウム」
花言葉は、「幸福」「思いがけない出会い」
これが二人の出会いであった。
その後、勇者としての旅に出るまで二人は仲良く遊んだ。
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ネロはマークが振り下ろした聖剣を愛剣にて受け止める。
ネロが持っているのは普通の鉄剣。
本来なら歴代勇者の魔力を吸い、鉄の10倍の強度を誇るオリハルコン級にまで成長した聖剣を受け止める事など出来はしないのだが、"一閃
スラッシュ"しか使えないネロは、受け流す技術を誰よりも極めた。
その結果として聖剣を受け止めることに成功した。
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