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結末①

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結末①

 俺には嫌いなものがある。それも三つも。見れば見るほどに嫌いになっていっている。現在進行形で。ではその三つとは何か。

第3位:マイク!理由はなんか嫌い!だから。そして第2位:マイク!理由はなんか大嫌いだから!最後に第1位:マイク!理由はオリビアをいじめたから!
 
(絶対に容赦しねえ)

 俺による無慈悲のざまぁ劇場の開演だ。


 マイクside

「嘘だろ……」

 ありえない。

「嘘だ」

 ありえない!

「うそだぁぁ!」

 俺の大剣が折れるなんてそんなことあって

「たまるかァァ!」

 俺は折れた大剣で黒髪の男へ切り掛かった。が、

「下からの突き上げ」

 まだ動き出した瞬間だというのに俺の放とうとする攻撃を言い当てられてしまった。

「っ!」

 距離を取り、大剣を中段に構えたままにじりよった。すり足で。

「次は右斜め上からの振り下ろし。その次は返す剣で下からの振り上げ」

「っ!」

 また攻撃する前に言い当てられてしまった。

(ど、どういうことだ。なぜ俺の攻撃が全て読まれている!)

 黒髪の男を見据えたまま思考の片隅で自問自答を始めた時そんな俺の問いに

「お前が考えているような特別な能力なんて俺にはねえよ」

 黒髪の男が答えてきた。

「な……っ!」

 また言い当てられた……今までの敵の中には俺の性格を把握して行動パターンを読んでカウンターを当ててきたやつがいたが、そいつは行動パターンを当てるのみで俺の心までは読めていなかった。だから俺はそいつに勝つことができた。

(だが、こいつはなんだ……ありえない)

 未だかつて経験したことがない敵ーー俺の心を読むという相手

「おいおい。だからそこまで緊張すんなよ。さっきから言ってるだろ。俺は別に心は読んでねぇってよ」

 思考から感情を現在進行形で読まれてしまっているというこの状況に俺は、

(ど、どうしたらいいんだ)

 困惑して心臓がバクンバクン!の激しく鳴り響いた。

(ありえないだろ!人の心を読むとかもはや化け物だろ!)

 頭を抱えた。そんな今の俺にできたことは少しでも近づかれないように殺気を込めて睨みつけ折れた大剣を構えることだけだった。

(誰か助けてくれぇ)


 ラルクside

(お、誰かに助けを求めたな)

 俺はこれ以上近づけまいと睨みつけるマイクを見てニヤリと笑った。それから歩みよりながら、

「く、来るなぁ!」

 って叫ぶマイクの表情、仕草、そして現状から心情を読み取り、

「お、俺を助け」

「助けを求めても無駄ですよー。騎士長や副騎士長なら拘束して屋敷のどこかで眠ってまーす」

 決闘を見守る30人の使用人や騎士達へ視線を向けたマイクの言葉に被せるように喋って遮り先手を打った。

「っ!」

 マイクは驚愕と共に尻もちをついた。そんなマイクに俺は一歩一歩と近づく。

「く、来るんじゃねぇ!」

 その度に視線を泳がせ何かを探すように周囲を見て、ある一点で止まった。が、マイクの視線の先にいる人物を見て呆れてしまった。

(そんな奴が俺に勝てるわけねぇだろ)

 マイクの視線の先にいた人物ーーそれは領主邸護衛騎士という名ばかりで素人に毛が生えた程度の実力しかない一般騎士だった。もはや追い詰められた現状から逃げられるなら何でもいいというのが心を読まなくても理解できた。だから俺は、

「そんな奴が俺に勝てるわけねえだろ。情けねぇ」

 マイクの自尊心を刺激することで

「おれが……この俺が情けない?この俺が?王国最強のこの俺が?」

 逃げ道を塞いだ。

「図に乗るなよ!誰がお前みたいなチビから逃げるってんだ!」

 けど、思った以上に感情的になってくれた。やだ、ものすごい単純(バカ)じゃない。

(しっかしこの俺に対して「チビ」とはどんな目をしてるんだろうね。俺の身長は約170センチで平均的なのに)

 これは分かっていただく必要があるな……マイクの言葉が俺の心の炎に油となって注がれ大炎上した。そして俺は額に青筋を浮かべると

「うふふ」

 指をポキポキ鳴らしてとっても素敵な笑顔を浮かべたとさ。

(ぶっ殺す!)
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