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魔王戦
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「派手な登場だな」
掃除という概念がないのか大きな門が床に倒れると埃が立ち込め、玉座の間を包んだ。
「掃除くらいしろよ!」
そんな埃を煙幕代わりに魔王の背後へまわり込んだ俺は魔力を纏わせた渾身の一撃を叩き込んだ。
「すまんな!戦い以外はやる気が起きないんだ!」
魔王は体をくねらせると難なく交わし、
「お前は拳か……なら。我も拳で戦ってやろう」
正面から大盾を構えたまま突進してきたハンスに、
「ふん!」
右拳を突き出しハンスの大盾と衝突した。その瞬間、鉄と鉄がぶつかったような鈍い音が玉座の間に響き渡り、
「っ!」
重量50キログラムの全身鎧と30キログラムの大盾、さらに人族屈指の怪力で巨岩を片手で持ち上げてしまうハンスの体が浮き上がり後方へ飛ばされ床を転がった。
「ほう……俺の本気の一撃を受けて形を保つとはやるな」
口の端を吊り上げ愉快そうに笑う魔王は、
「少しは楽しめそうだ」
と長い白髪を後ろで縛ると漆黒のマントを脱ぎ、
「来い」
重心を落とし、拳を構えた。
「大丈夫か」
魔王を警戒しつつハンスと合流した俺が話しかけると、
「大丈夫です」
ハンスは問題なさそうに答えた。だが、
「が、本気のシールドバッシュを拳一つで弾かれた。それも難なく……嫌になりますね。全く」
本気の一撃を、それも支援魔法により強化された状態の一撃を難なく拳一つで弾く魔王という存在を前に苦笑していた。
「本当にどうしたらいいんだろうな」
俺もそんな存在を前にして、ハンスにつられて苦笑するしかなかった。
「まだまだ」
俺の背後まで走ってきたサンはそう言うと攻撃魔法の詠唱を始めた。
「そうだな」
「あの余裕に満ちた笑みを崩してやりましょう!」
ハンスが大盾を構えた瞬間、
「氷槍(アイスランス)」
とサンが魔王に向けて攻撃魔法を放った。
「ふははは!せいぜい失望させるなよ!」
掃除という概念がないのか大きな門が床に倒れると埃が立ち込め、玉座の間を包んだ。
「掃除くらいしろよ!」
そんな埃を煙幕代わりに魔王の背後へまわり込んだ俺は魔力を纏わせた渾身の一撃を叩き込んだ。
「すまんな!戦い以外はやる気が起きないんだ!」
魔王は体をくねらせると難なく交わし、
「お前は拳か……なら。我も拳で戦ってやろう」
正面から大盾を構えたまま突進してきたハンスに、
「ふん!」
右拳を突き出しハンスの大盾と衝突した。その瞬間、鉄と鉄がぶつかったような鈍い音が玉座の間に響き渡り、
「っ!」
重量50キログラムの全身鎧と30キログラムの大盾、さらに人族屈指の怪力で巨岩を片手で持ち上げてしまうハンスの体が浮き上がり後方へ飛ばされ床を転がった。
「ほう……俺の本気の一撃を受けて形を保つとはやるな」
口の端を吊り上げ愉快そうに笑う魔王は、
「少しは楽しめそうだ」
と長い白髪を後ろで縛ると漆黒のマントを脱ぎ、
「来い」
重心を落とし、拳を構えた。
「大丈夫か」
魔王を警戒しつつハンスと合流した俺が話しかけると、
「大丈夫です」
ハンスは問題なさそうに答えた。だが、
「が、本気のシールドバッシュを拳一つで弾かれた。それも難なく……嫌になりますね。全く」
本気の一撃を、それも支援魔法により強化された状態の一撃を難なく拳一つで弾く魔王という存在を前に苦笑していた。
「本当にどうしたらいいんだろうな」
俺もそんな存在を前にして、ハンスにつられて苦笑するしかなかった。
「まだまだ」
俺の背後まで走ってきたサンはそう言うと攻撃魔法の詠唱を始めた。
「そうだな」
「あの余裕に満ちた笑みを崩してやりましょう!」
ハンスが大盾を構えた瞬間、
「氷槍(アイスランス)」
とサンが魔王に向けて攻撃魔法を放った。
「ふははは!せいぜい失望させるなよ!」
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