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戦闘終了

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「……」

 魔王軍四天王「暴乱」のブギが背中から倒れた。

「……」

 この作戦なら倒せる。と戦いに臨んだ。結果、信じられない程に予想通りに進み、ワタルが魔族の生命源である胸の魔力コアへ拳を叩き込んだ。そうしたら吐血して、急に静かになって倒れた。

(死んだ……?)

 だけど、未だに信じられない。本気のブギと正面から戦えば1分と持ったかどうか……それ程までに確然たる差が私たちとブギとの間にはあった。

「……」

 恐る恐る。ブギがいつ起き上がってきても対応できるようにワタルとハンスが近づいていき、その3歩後方を私がついていく。

「……」

 ブギの近くまで移動したワタルとハンスは頷きあうとワタルが心臓へ触れた。それから頬を叩いて瞼を開けて息を「ふぅぅぅ」と吹きかけた。

「……死んでる」

 しばらくしてワタルがそう口にした。

「……はぁぁぁ」

 魔王軍四天王を倒したーーそう実感した瞬間に張り詰めた緊張の糸が切れた。バクンバクンとうるさく鳴っていた心臓の音が消えて、突然の疲労感が脳へ押し寄せ、瞼が重くなった。

「……」

 どうやら限界を迎えていたらしい。戦闘時間は20分と短かったけど戦っている最中は8時間にも10時間にも長く感じられた。

「……」

 しばらくして呆然とブギの死体を眺めていた。

(倒したんだ。やったんだ私たち)

"お前の考えなどに価値はない"

 ふと教皇の顔が浮かんだ。

「お前は私の言うことだけを聞いていればいい」

と見下すような視線を向ける教皇の怒り顔が……そしていつの間にかそれに従うようになっていた操り人形の自分が。

(2人がいてくれたおかげ。私1人だったら実行すらできなかった)

 だけど、

(でも、私の考えた作戦があの四天王を倒した)

 違った。否定されるのが怖くて逃げてた。考えることを、人と接することを諦めてた。「私なんて」って「どうせ」って背を向けてうずくまって……。

"人間なんだから失敗して当たり前"

 前に進みたい。

"大丈夫"

 そう思えたのは、

"思ったことをそのまま言えばいい"

 あなたのおかげ。

「ワタル」

 重くて動きたくないと身体は叫んだけど関係なかった。伝えたかった。今、この瞬間に。

「私の背中を押してくれてありがとう」

 時間が経つと「また今度」っていって言わないような気がしたから。

「なんのことかわかんねえけど……おう」

 ワタルはしばらく私のことを見続けた後、パッと顔を逸らして照れくさそうに返事をした。

「え……ぼくはぁぁぁ!!」
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