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俺には悩みがある
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「サンさん!支援魔法お願いしまーす!」
なんかサンから嫌われてるっぽい。
ホブゴブリンの放つ矢を避けつつ、距離を詰めて殴る。
(全く支援魔法がやってこない……)
ホブゴブリンは予想以上に素早く、拳が当たっても後ろに飛んで受け流してしまう。チームプレイも凄まじく、前衛が俺の注意を引きつけつつ、後衛の奴が死角から矢を放つ。それに雨でぬかるんだ地面が思ったよりも滑りやすくて動きずらい。
「クアアアア!!」
「ぎゃあああ!!」
ハンスを見るが、相手の斬撃を受け流すのに集中するあまり盾で殴ろうともしない。
矢を避けつつサンを見る。
「……」
無言で俺に鋭い視線を向けたまま首を傾げていた。
(えっ、支援魔法をお願いしたのに何してんの……)
サンの行動の意図がわからず俺は首を傾げた。
「グアアア!!」
そんな俺に対してホブゴブリン二体が矢を連射、十本の矢がほぼ同時に飛来した。
「うおっ!?」
すんでのところで矢に気がついた俺は、左方向へ競泳選手の如くダイブした。
「ぐふっ!」
受け身の取り方を知らない俺は腹を強打、そのまま数メートル地面をすべった。
(ぐおおおおおお!!腹が、腹がぁぁぁぁ削れたァァ!!)
小石などで皮膚が削れた。幸いだったのは、勇者補正による耐久値が高かったこともあって小さな擦り傷だけで済んだ。
「ふっ……ふふふ。その程度の攻撃が俺に当たると思うなぁ!」
本当はヒリヒリして痛いけど、それでも俺は男!カッコ悪いところは見せられない!
「……あっ、『攻撃力上昇』『俊敏上昇』『防御力上昇』」
手で腹を抑えた俺とボブゴブリン二体との睨み合いが繰り広げられる中、俺待望の支援魔法をサンが発動、しばらくして体中から力がみなぎった。
(目の前でかなり派手に転けたのに回復魔法なし……やっぱり嫌われてる?)
ヒリヒリして痛いお腹をさすりながら、
(いや、何事もいい方に捉えよう。どんな状況にせよ支援魔法はかけてくれたんだ)
目頭に涙が滲んだけど、思考だけは前向きに。
「サンさま!私のような者に支援魔法をかけていただき恐悦至極にいただきます!……ん?恐悦至極に至ります?だっけ?……まあ、いいか。要は」
サンにこれ以上嫌われてしまわないように丁寧な口調で、
「ありがとうございまーす!!」
感謝を伝えた。
「ふぅ……勝利!!」
地面に倒れ、黒いチリとなって消えていくホブゴブリン二体を見下ろしてガッツポーズ。
「倒したなら助けてくれよぉぉぉ!!聖女様でもいいからァァ!!」
気持ち良く勝利の余韻に浸っていたら、背後からハンスが助けを求めてきた。
「……」
しかし俺もサンもハンスの助けを無視。
「なんでみんな無視するんだよぉぉぉ!」
だって、
「もういいよ!皇帝陛下に言い付けてやるぅぅぅ!」
このパーティーで1番強いのって、
「しーるど、ばっしゅぅぅぅ!!」
レベルが高いのってハンスだから。
「ううおぉぉぉ!!僕だって!」
ハンスの大楯の下敷きになったホブゴブリンがチリとなって消えていく。
俺:レベル20、サン:レベル30、ハンス:レベル50……一人だけ桁違い。
(俺が苦戦したホブゴブリンを一撃……)
大楯の下敷きになって体の半分が消えたゴブリンをチラリ。
「やればできるんだぁぁぁ!!」
ハンスが雄叫びを上げる下で体がどんどん消えていった。
なんかサンから嫌われてるっぽい。
ホブゴブリンの放つ矢を避けつつ、距離を詰めて殴る。
(全く支援魔法がやってこない……)
ホブゴブリンは予想以上に素早く、拳が当たっても後ろに飛んで受け流してしまう。チームプレイも凄まじく、前衛が俺の注意を引きつけつつ、後衛の奴が死角から矢を放つ。それに雨でぬかるんだ地面が思ったよりも滑りやすくて動きずらい。
「クアアアア!!」
「ぎゃあああ!!」
ハンスを見るが、相手の斬撃を受け流すのに集中するあまり盾で殴ろうともしない。
矢を避けつつサンを見る。
「……」
無言で俺に鋭い視線を向けたまま首を傾げていた。
(えっ、支援魔法をお願いしたのに何してんの……)
サンの行動の意図がわからず俺は首を傾げた。
「グアアア!!」
そんな俺に対してホブゴブリン二体が矢を連射、十本の矢がほぼ同時に飛来した。
「うおっ!?」
すんでのところで矢に気がついた俺は、左方向へ競泳選手の如くダイブした。
「ぐふっ!」
受け身の取り方を知らない俺は腹を強打、そのまま数メートル地面をすべった。
(ぐおおおおおお!!腹が、腹がぁぁぁぁ削れたァァ!!)
小石などで皮膚が削れた。幸いだったのは、勇者補正による耐久値が高かったこともあって小さな擦り傷だけで済んだ。
「ふっ……ふふふ。その程度の攻撃が俺に当たると思うなぁ!」
本当はヒリヒリして痛いけど、それでも俺は男!カッコ悪いところは見せられない!
「……あっ、『攻撃力上昇』『俊敏上昇』『防御力上昇』」
手で腹を抑えた俺とボブゴブリン二体との睨み合いが繰り広げられる中、俺待望の支援魔法をサンが発動、しばらくして体中から力がみなぎった。
(目の前でかなり派手に転けたのに回復魔法なし……やっぱり嫌われてる?)
ヒリヒリして痛いお腹をさすりながら、
(いや、何事もいい方に捉えよう。どんな状況にせよ支援魔法はかけてくれたんだ)
目頭に涙が滲んだけど、思考だけは前向きに。
「サンさま!私のような者に支援魔法をかけていただき恐悦至極にいただきます!……ん?恐悦至極に至ります?だっけ?……まあ、いいか。要は」
サンにこれ以上嫌われてしまわないように丁寧な口調で、
「ありがとうございまーす!!」
感謝を伝えた。
「ふぅ……勝利!!」
地面に倒れ、黒いチリとなって消えていくホブゴブリン二体を見下ろしてガッツポーズ。
「倒したなら助けてくれよぉぉぉ!!聖女様でもいいからァァ!!」
気持ち良く勝利の余韻に浸っていたら、背後からハンスが助けを求めてきた。
「……」
しかし俺もサンもハンスの助けを無視。
「なんでみんな無視するんだよぉぉぉ!」
だって、
「もういいよ!皇帝陛下に言い付けてやるぅぅぅ!」
このパーティーで1番強いのって、
「しーるど、ばっしゅぅぅぅ!!」
レベルが高いのってハンスだから。
「ううおぉぉぉ!!僕だって!」
ハンスの大楯の下敷きになったホブゴブリンがチリとなって消えていく。
俺:レベル20、サン:レベル30、ハンス:レベル50……一人だけ桁違い。
(俺が苦戦したホブゴブリンを一撃……)
大楯の下敷きになって体の半分が消えたゴブリンをチラリ。
「やればできるんだぁぁぁ!!」
ハンスが雄叫びを上げる下で体がどんどん消えていった。
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