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婚約者現る。お前かよ!
セシルside
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(なるほどな……)
私の作戦を聞いたレントはお腹をさするお父様とケントス国王を見て頷いた。そして
(よし。やることは決まったわけだし)
(ええ。このふざけた縁談を)
(壊してやろうぜ!)
人の目がある手前、握手することはできなかったけどアイコンタクトで
(じゃあ私から)
と合図を送った。それを受けてレントが頷いたので
「何見てるのよ!」
作戦スタート。
「それはこっちのセリフじゃあ!さっきからチラチラ見やがって!」
まずは、私とレントが言い合い
「なんだ?俺のカッコイイご尊顔に魅了されちまったのか?」
「そんなわけないでしょうが!」
睨み合うことで
「おいおい」
自身の側近や派閥貴族から婚約破棄されたことを噂され続けて面目丸潰れだったお父様はなんとしても今回の縁談ーー王族との婚約を再び成功させて周りを見返したいと強く望んでおり、
「勘弁してくれ」
一方のケントス国王も歳の近い婚約相手が見つからずに苦悩し続けようやく訪れた今回の縁談をまとめたいと強く望んでいた。
「へーんだ!」
「だっふーんだ!」
すると、
「ああ……た、頼む」
この縁談をなんとしても成功させると言う強い想いが
「喧嘩はやめてくれぇぇ」
逆に重圧へと変わってしまい
「はうっ!!」
国の存亡をかけた判断を日頃から下し、常に胃や腸がキリキリしている。それに家同士のつながりとか派閥のバランスとか……職務でストレスは限界寸前だ。そんなところに父親としてのストレスが重くのしかかれば自然と
「ほぎゃへえぁぁ!!」
胃腸が限界を迎えピーピーと鳴り響く!そうです!今回の作戦はズバリ!
"親のお腹を壊せ!さすれば破談となろう"
「は、」
略して「オーピーピー作戦」です!
「腹が!」
ズバリ作戦は的中!痛み出したお腹をお父様とケントス国王は手で抑えた。
「いいか。帰ってくるまでに仲直りしておくんだぞ」
そしてお腹を抑えたお父様とケントス国王は椅子から立ち上がると青ざめた顔で、足をクロスさせて肛門括約筋を使ってお尻を絞めた。足をプルプルさせながら。それでも父としての威厳を保とうと強い口調で言った。
「レントもだぞ。良いな!」
それから入り口へとゆっくり、ゆっくりと歩いて向かって行った。
「えー?なんだってぇ?」
「よく聞こえませんでしたわ?」
しかしお父様たちのお腹を壊すことだけが作戦の全てではない。あくまでも私たちの目的はこの縁談を壊すこと。だから私とレントはお父様達の前に立ち、入り口を遮った。
「くぉぉぉ!」
誰も通れないように。
「そ、そこを退いてくれェェ!」
立ちはだかる私とレントに懇願するように手を伸ばすお父様とケントス国王ーーその様子はまるでゾンビのようで、二人がそんな姿になってしまった元凶とはいえ、流石にひいた。
「うわっきも」
隣ではレントが辛辣な言葉を口にしていた。しかしこれがレントだ。いついかなる時も素直なのだ。でも、時と場合で使い分けろと思ってしまった。
「き、キモいって……」
「ぐぉぉぉ!!き、キモいだと……」
だって素直に放った言葉のナイフほど人の心に深く刺さるモノはないのだから。でも、今の私達にとっては良い方向へと転んでくれた。
(よくやったわレント!あと一押し!)
(なんだかよくわからねえけど……おう!)
私とレントは頷きあうと少し微笑んだあとお父様達へと向き直った。
「ぐ、くっ!」
「な、何が望みだ!」
限界寸前のお父様達はその場に座り込み滝のような脂汗を流していた。よっぽど限界なのかここで漏らしたら自分たちの尊厳は地に伏してしまうとあって私とレントが二人から引き出したかった言葉が出てきた。
(やった!)
(勝った!)
作戦通りの状況を作り出し、勝利が目前に迫ったことが嬉しくて油断はしていなかったが少しだけ舞い上がってしまった。そう。それが良くなかった。
「なりませんよ!」
それがほんの少しの隙を生んでしまう結果となった。ずっと警戒して入り込む余地を与えていなかった私のお母様にして、この作戦の最大の障害となりうるエミルという存在の攻撃を許してしまった。
「は、はい!」
「す、すみません!」
やはり最大の障害とあってエミルの放った一撃は重く、私とレントが作り出した流れは一瞬にして断ち切られ
「あなた達も良いですね?」
完全に持っていかれてしまった。それになにより
「は、はい!」
私のお母様は怒ると……ものすごっつ怖い!
「はい!」
お母様の威圧に気圧されてしまった私とレントに、もはや逆らう勇気などなく婚約という望まぬ結末を迎えてしまった。
「よろしい」
母は笑い、
「す、」
「スッキリー」
お父様達はお花畑で爽やかな笑顔を浮かべ、
「は、」
「はは」
私とレントは乾いた笑顔を浮かべた。
………
……
…
一方で王城庭園では。
「おい。聞いたかルイーズ」
「なんでしょうか?」
クリスとルイーズがお茶をしていた。
「愚弟とあのゴリラ女が縁談をするらしいぞ」
「それはそれは」
「あはは!あの愚弟にお似合いの相手だよな。どっちもバカで使い物にならないクズときてる」
クリスはひとしきり笑ったあと
「まあ、婚約披露パーティーをやる時は主役よりも目立つように登場して俺とルイーズのパーティーの告知をしてやるか」
といい愉悦に浸っていた。一方のルイーズは、
(あの女、クリスが現れたらどんな顔するのかしらねぇ)
こちらは維持の悪い笑みを浮かべていた。
(ふふ。楽しみねぇ)
私の作戦を聞いたレントはお腹をさするお父様とケントス国王を見て頷いた。そして
(よし。やることは決まったわけだし)
(ええ。このふざけた縁談を)
(壊してやろうぜ!)
人の目がある手前、握手することはできなかったけどアイコンタクトで
(じゃあ私から)
と合図を送った。それを受けてレントが頷いたので
「何見てるのよ!」
作戦スタート。
「それはこっちのセリフじゃあ!さっきからチラチラ見やがって!」
まずは、私とレントが言い合い
「なんだ?俺のカッコイイご尊顔に魅了されちまったのか?」
「そんなわけないでしょうが!」
睨み合うことで
「おいおい」
自身の側近や派閥貴族から婚約破棄されたことを噂され続けて面目丸潰れだったお父様はなんとしても今回の縁談ーー王族との婚約を再び成功させて周りを見返したいと強く望んでおり、
「勘弁してくれ」
一方のケントス国王も歳の近い婚約相手が見つからずに苦悩し続けようやく訪れた今回の縁談をまとめたいと強く望んでいた。
「へーんだ!」
「だっふーんだ!」
すると、
「ああ……た、頼む」
この縁談をなんとしても成功させると言う強い想いが
「喧嘩はやめてくれぇぇ」
逆に重圧へと変わってしまい
「はうっ!!」
国の存亡をかけた判断を日頃から下し、常に胃や腸がキリキリしている。それに家同士のつながりとか派閥のバランスとか……職務でストレスは限界寸前だ。そんなところに父親としてのストレスが重くのしかかれば自然と
「ほぎゃへえぁぁ!!」
胃腸が限界を迎えピーピーと鳴り響く!そうです!今回の作戦はズバリ!
"親のお腹を壊せ!さすれば破談となろう"
「は、」
略して「オーピーピー作戦」です!
「腹が!」
ズバリ作戦は的中!痛み出したお腹をお父様とケントス国王は手で抑えた。
「いいか。帰ってくるまでに仲直りしておくんだぞ」
そしてお腹を抑えたお父様とケントス国王は椅子から立ち上がると青ざめた顔で、足をクロスさせて肛門括約筋を使ってお尻を絞めた。足をプルプルさせながら。それでも父としての威厳を保とうと強い口調で言った。
「レントもだぞ。良いな!」
それから入り口へとゆっくり、ゆっくりと歩いて向かって行った。
「えー?なんだってぇ?」
「よく聞こえませんでしたわ?」
しかしお父様たちのお腹を壊すことだけが作戦の全てではない。あくまでも私たちの目的はこの縁談を壊すこと。だから私とレントはお父様達の前に立ち、入り口を遮った。
「くぉぉぉ!」
誰も通れないように。
「そ、そこを退いてくれェェ!」
立ちはだかる私とレントに懇願するように手を伸ばすお父様とケントス国王ーーその様子はまるでゾンビのようで、二人がそんな姿になってしまった元凶とはいえ、流石にひいた。
「うわっきも」
隣ではレントが辛辣な言葉を口にしていた。しかしこれがレントだ。いついかなる時も素直なのだ。でも、時と場合で使い分けろと思ってしまった。
「き、キモいって……」
「ぐぉぉぉ!!き、キモいだと……」
だって素直に放った言葉のナイフほど人の心に深く刺さるモノはないのだから。でも、今の私達にとっては良い方向へと転んでくれた。
(よくやったわレント!あと一押し!)
(なんだかよくわからねえけど……おう!)
私とレントは頷きあうと少し微笑んだあとお父様達へと向き直った。
「ぐ、くっ!」
「な、何が望みだ!」
限界寸前のお父様達はその場に座り込み滝のような脂汗を流していた。よっぽど限界なのかここで漏らしたら自分たちの尊厳は地に伏してしまうとあって私とレントが二人から引き出したかった言葉が出てきた。
(やった!)
(勝った!)
作戦通りの状況を作り出し、勝利が目前に迫ったことが嬉しくて油断はしていなかったが少しだけ舞い上がってしまった。そう。それが良くなかった。
「なりませんよ!」
それがほんの少しの隙を生んでしまう結果となった。ずっと警戒して入り込む余地を与えていなかった私のお母様にして、この作戦の最大の障害となりうるエミルという存在の攻撃を許してしまった。
「は、はい!」
「す、すみません!」
やはり最大の障害とあってエミルの放った一撃は重く、私とレントが作り出した流れは一瞬にして断ち切られ
「あなた達も良いですね?」
完全に持っていかれてしまった。それになにより
「は、はい!」
私のお母様は怒ると……ものすごっつ怖い!
「はい!」
お母様の威圧に気圧されてしまった私とレントに、もはや逆らう勇気などなく婚約という望まぬ結末を迎えてしまった。
「よろしい」
母は笑い、
「す、」
「スッキリー」
お父様達はお花畑で爽やかな笑顔を浮かべ、
「は、」
「はは」
私とレントは乾いた笑顔を浮かべた。
………
……
…
一方で王城庭園では。
「おい。聞いたかルイーズ」
「なんでしょうか?」
クリスとルイーズがお茶をしていた。
「愚弟とあのゴリラ女が縁談をするらしいぞ」
「それはそれは」
「あはは!あの愚弟にお似合いの相手だよな。どっちもバカで使い物にならないクズときてる」
クリスはひとしきり笑ったあと
「まあ、婚約披露パーティーをやる時は主役よりも目立つように登場して俺とルイーズのパーティーの告知をしてやるか」
といい愉悦に浸っていた。一方のルイーズは、
(あの女、クリスが現れたらどんな顔するのかしらねぇ)
こちらは維持の悪い笑みを浮かべていた。
(ふふ。楽しみねぇ)
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