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婚約破棄編

ルイーズside

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「これでようやくあんなクソ女ともおさらばだ」

 婚約破棄を告げたクリスは愉悦に浸っていた。理由は明白で王太子となった自身を着飾る私という最高の宝石を手に入れたからだった。

「……」

 しかしクリスは気がついていない。この状況で誰が一番得をするのかをーーそう。それは

(くくく……あははは!)

 私だっていうことを。

(やっぱりこの世界って私を中心に回ってるのね)
 
 私はなんでも手に入れてきた。欲しいものはすべて、この手の中に収まる運命にある。財産も、地位も。

(私が願えばなんでも手に入る……ああ。自分が怖いわ)

 私は教室を出る間際にチラリと背後でうずくまるセシルを

(惨めねぇ。あははは!!)

 嘲笑ってやった。やっぱり生まれた時からなんでも持ってるやつの絶望した顔を見るのってたまらないわぁ。
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